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「VAIO Z」クラムシェルモデル徹底検証――Surface Book/Pro 4と比べた性能は?最上位モバイルPC対決(5/8 ページ)

» 2016年02月26日 06時00分 公開
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Surface Pro 4も圧倒するグラフィックス性能

 3D描画性能のテストは、Futuremarkの3DMarkで行った。Sky DiverとCloud GateはメインストリームPC(CPU内蔵GPUシステム)向けのテストで、前者がDirectX 11ベース、後者がDirectX 10ベースのテストだ。Fire StrikeはゲーミングPC(グラフィックスカード搭載システム)向け、Ice Storm Unlimitedはスマートフォンやタブレットが対象だが、参考までに掲載した。

 というわけで、VAIO ZではSky Diverが最も参考になるが、項目の内訳にも注目したい。ゲームシーンの描画フレームレートからスコアを出すGraphics Scoreは純粋な描画性能の目安、CPUで物理演算を行うPhysics ScoreはCPUのマルチスレッド性能、Combined ScoreはCPUとGPUが連携して演算を行うテストの結果を示しており、GPGPU性能の目安になる。

 結果を見ると、CPU内蔵GPU採用モデルとしてはVAIO Zの健闘ぶりが目立つ。外部GPUを搭載するSurface Bookと比較して、高負荷なFire Strikeでは20.6%劣る結果となったが、Sky Diverでは2.4%まで差を縮め、描画負荷の軽いCloud Gate、ICE Storm Unlimitedではスコアが逆転している。Surface Bookの外部GPUによるアドバンテージをほとんど感じさせない描画性能と言える。

 似たスペックのIntel Iris Graphics 540を搭載するSurface Pro 4と比較すると、その優位は明確だ。Sky Diverで28%、Fire Strikeで26.9%と意外なほど差が付いた。Sky Diverの項目を見ると、Graphicsで32%、Physicsで6.5%、Combinedで32.9%の差だ。CPU性能の差は少ないが、描画性能とGPGPU性能で大きな差が付いていることが分かる。Fire Strikeでも同じ傾向だ。GPUコアのスペックは最大50MHzしかないが、純粋なグラフィックス性能が大きく違うのは意外だった。これはTDP枠の違いによるところが大きい。

 逆に言えば、48基のEUをフルに動作させるうえで、TDP 15ワットという電力リミットは少し低すぎるということもありそうだ。VAIO S11の結果も合わせて比べて見ると、それがよく分かる。VAIO S11のSky DiverのGraphicsスコアを100とすると、VAIO Zは169、Surface Pro 4は128だ。EUで2倍の差があるSurface Pro 4とVAIO S11の差より、EUが同じVAIO ZとSurface Pro 4の差のほうが大きい。とにかく、VAIO Zが際立つ結果だ。

 ちなみに、約1年前に測定した先代モデルのスコア(3DMarkのバージョン1.4.828で実施)は、Sky Diverで4114、Fire Strikeで994と、VAIO S11に近いスコアだった。これと比べても大きく進歩したことになる。

3DMark 1.5.915 3DMark 1.5.915のスコア
3DMark 1.5.915のスコア比較
モデル VAIO Zクラムシェルモデル VAIO S11(LTE) Surface Pro 4(Core i7) Surface Book(Core i7)
GPU Intel Iris Graphics 550 Intel HD Graphics 520 Intel Iris Graphics 540 NVIDIA GeForce GPU
Fire Strike
Fire Strike 1513 913 1192 1906
Graphics Score 1603 981 1256 2042
Physics Score 5844 5004 5467 5376
Combined Score 598 333 468 774
Sky Diver
Sky Diver 6260 3941 4890 6409
Graphics Score 6388 3781 4838 6550
Physics Score 5814 5101 5461 5372
Combined Score 6053 3857 4552 7352
Cloud Gate
Cloud Gate 8592 6471 7477 7826
Graphics Score 12953 8505 11259 11307
Physics Score 3945 3523 3437 3767
ICE Storm Unlimited
ICE Storm Unlimited 107867 69750 84878 87872
Graphics Score 157328 83311 109214 122278
Physics Score 51358 44435 47687 44273

 FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドベンチマーク(FF14ベンチ)も実行した。こちらもやはりVAIO Zが採用するCPU内蔵GPUの優秀さが目立つ結果だ。Surface Pro 4とVAIO S11の差より、VAIO ZとSurface Pro 4の差のほうが大きい。DirectX 9モードの標準品質(ノートPC)では、1280×720ピクセルで最高評価の「非常に快適」を得たほか、1920×1080ピクセルでも「とても快適」評価を得ている。

 外部GPUを採用するSurface Bookとの比較では、DirectX 11モードにおいて3DMarkよりもスコアで引き離されたが、CPU内蔵GPUとしては満足できる結果と言える。

FF11ベンチ(1) FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドのスコア。標準品質(ノートPC)/1920×1080(DX11)
FF11ベンチ(2) FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドのスコア。標準品質(ノートPC)/1280×720(DX11)
FF11ベンチ(3) FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドのスコア。標準品質(ノートPC)/1920×1080(DX9)
FF11ベンチ(4) FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドのスコア。標準品質(ノートPC)/1280×720(DX9)
FINAL FANTASY XIV:蒼天のイシュガルドのスコア比較
モデル VAIO Zクラムシェルモデル VAIO S11(LTE) Surface Pro 4(Core i7) Surface Book(Core i7)
GPU Intel Iris Graphics 550 Intel HD Graphics 520 Intel Iris Graphics 540 NVIDIA GeForce GPU
標準品質(ノートPC)/1920×1080(DX11) 3422(やや快適) 2505(やや快適) 4647(快適)
標準品質(ノートPC)/1280×720(DX11) 5892(とても快適) 3488(やや快適) 4344(快適) 8897(非常に快適)
標準品質(ノートPC)/1920×1080(DX9) 5020(とても快適) 2892(やや快適) 3879(快適) エラー
標準品質(ノートPC)/1280×720(DX9) 8442(非常に快適) 5210(とても快適) 6671(とても快適) エラー

 Open GLベースのテストとして、CINEBENCH R15におけるOpen GLテストの結果も掲載しておく。こちらは、Surface Pro 4との差は少なめだが、VAIO S11比で57%アップ、先代モデルからの81.6%アップと、優秀な結果であることは変わらない。

CINEBENCH R15のスコア比較
モデル VAIO Zクラムシェルモデル VAIO S11(LTE) Surface Pro 4(Core i7) Surface Book(Core i7)
CPU Core i7-6567U Core i7-6500U Core i7-6650U Core i7-6600U
Open GL(fps) 66.38 42.39 59.51 65.54
リファレンスマッチ 97.80% 97.90% 97.80% 99.60%

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