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さて、ようやくPolaris世代のGPUが登場したわけだが、ここでRadeon RX 480のポジションを把握しておこう。Radeon RX 480が、発表当時で199〜250ドルという価格を提示した通り、ミドルレンジを狙った製品である。
現在のところNVIDIAのGeForce GTX 1080/1070はハイエンドセグメントにあたるので直接は競合しない。エンスージアスト向けを最後に取っておくことは両者共通として、新世代GPUのリリースに関し、AMDはミドルレンジから、NVIDIAはハイエンドからと選択を分けたことになる。
それではRadeon RX 480の仕様を確認しておこう。
製品名 | Radeon RX480 | Radeon R9 380X | Radeon R9 390X |
---|---|---|---|
コードネーム | Polaris 10 | Tonga | Hawaii |
GCN Units | 36 | 32 | 44 |
ストリームプロセッサ数 | 2304 | 2048 | 2816 |
テクスチャユニット | 144 | 128 | 176 |
ROPユニット | 32 | 32 | 64 |
GPUクロック(MHz) | 1120 | N/A | N/A |
最大GPUクロック(MHz) | 1266 | 970 | 1050 |
メモリ(Gbps) | 8 | 5.7 | 6 |
メモリクロック(GHz) | 2000 | 1425 | 1500 |
メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 |
メモリ接続バス幅(bit) | 256 | 256 | 512 |
メモリ帯域幅(GB/sec) | 224 | 182.4 | 384 |
メモリ容量(MB) | 4096/8192 | 4096 | 8192 |
Board Power(W) | 150 | 190 | 275 |
補助電源レイアウト | 6 | 6+6 | 6+8 |
プロセス | 14nm FinFET | 28nm | 28nm |
まず、前世代との大きな違いが製造プロセスだ。AMDが採用したのはGlobal Foundriesの14nm FinFETプロセス。先代の28nmプロセスから微細化が進んだ。半導体プロセスにおいて、微細化が進めば、単位面積あたりのトランジスタ数を増やすことができ、あるいは消費電力や動作クロックの引き上げといった点でメリットが生まれる。
Radeon RX 480のGCNユニット数は36基、ストリームプロセッサ数は2304基となった。同じセグメントで比較をすると、Radeon R9 380XからはGCNユニット数が4基、ストリームプロセッサ数は256基増加している。あわせてテクスチャユニットも16基増加しているので、このあたりでパフォーマンスの向上が予想できる。
また、Radeon RX 480のGPUクロックは、定格が1120MHz、最大クロックが1266MHzとされている。従来モデルでは最大クロックのみ表記されるのが通例だったため、これで比較をすると、Radeon R9 380Xから296MHzほど引き上げられた格好だ。
ライバルのNVIDIAがGeForce GTX 980→1080でも大きく動作クロックを引き上げてきたが、Radeon RX 480もそこまでではないにせよクロックを引き上げた。ミドルレンジ〜ハイエンド製品における、14/16nmプロセス世代の一つの特徴になりそうだ。
メモリバス幅が256bitに抑えられている点ではRadeon R9 380Xと同じだ。GDDR5という点でも同じである。ただし、8Gbps品を採用しているので、5.7GbpsだったRadeon R9 380Xよりも帯域を向上させている。また、メモリ容量は8GB/4GBモデルがラインアップされる。4GBのみだったRadeon R9 380Xと比べ、高解像度、高品質テクスチャ使用時のパフォーマンスが向上しているものと考えられる。
最後が消費電力と補助電源コネクタのレイアウト。Radeon RX 480のBoard Powerとして示された値は150Wだ。これはRadeon R9 380Xの190Wからは40W引き下げられている。補助電源コネクタも6ピン2基だったRadeon R9 380Xから1基削減された。
さて、このようにパフォーマンスに関しては、ストリームプロセッサを増やし、より高クロックとなり、メモリ容量・メモリクロックも向上し、その上で省電力というのがRadeon RX 480の特徴である。
ただし、これはRadeon R9 380Xに対しての比較だ。一つ上のセグメントであるRadeon R9 390Xと比較すると、GPUとメモリはより高クロックだが、ストリームプロセッサ数やテクスチャユニット、ROPユニットなどの数ではまだまだ差がある。
アーキテクチャ面で、シェーダー効率の向上やジオメトリ演算性能の向上を掲げている。メモリも高クロックであるが、バス幅が半分なので、帯域幅ではまだRadeon R9 390Xには及ばない。ただし、Polarisではメモリ圧縮技術が向上しているという。そのメモリ圧縮によってどこまでメモリの実効効率が向上するのかがポイントになるだろう。
ここからはリファレンスデザインカードの特徴を見ていこう。まずクーラーの構造は、後部にブロワーファンを搭載するRadeon Rシリーズで馴染みのあるものを採用している。ただし基板自体は一回り小さいため、これまで見てきた中では、例えばGeForce GTX 960のリファレンスデザインカードに近い。
映像出力端子は、DisplayPort×3、HDMI×1のレイアウトだ。DisplayPortはバージョン1.4、HDMIは記載がないが、おそらくはバージョン2.0対応だろう。端子は1列に収まっており、その上には小さなスリット、2段目には通常のスリットがあり、排気効率はよさそうだ。ただし、そのぶん、ベンチマーク中はブラケット部がかなり高温になった。
補助電源コネクタは、カード上部の中央からやや後方、基板部の端にある。リファレンスカードなので6ピン1基だが、オリジナルクーラーモデル登場時にはまたレイアウトが変わることもあるだろう。ただ、6ピン1基でよいのは手軽だ。
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