ストレスを測れるウェアラブル機器が明らかにした「トランプショック」ITはみ出しコラム

» 2016年11月20日 06時00分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 シリコンバレーに拠点を置くベンチャーキャピタル(VC)、Scrum Venturesが渋谷で開催したイベントに行ってきました。「Inside Y Combinator」というセッションが気になったからです。Y Combinatorは、いわゆるインキュベーター(孵卵器)。まだ卵段階の起業家を育てる企業です。

 目利きのパートナー(泣く子も黙るピーター・ティール氏も2015年に参加しました)が「これは!」と思う卵に投資したり、教育したり、人材を紹介したりして育てます。成功した“卒業生”にはDropbox、Airbnb、Stripeなどがあります。

 spire 0 今回紹介する「Stripe」は、呼吸をモニタリングできるウェアラブル機器です

 渋谷のセッションでは、成長中の卒業生3社のCEOがパネルディスカッションをした後、それぞれサービス紹介のデモを行いました。

 spire 1 Y Combinatorの卒業生によるディスカッション

 その中で一番面白かった「Spire」をちょっとご紹介します。共同創業者でCEOのジョナサン・パーレイ氏はスタンフォード大学時代に劇団を率いていたそうで、観客を引き込むのはお手の物でした。

 Spireはウェアラブルな活動量計です。といってもフィットネス端末のようにカロリー消費や心拍数を測るのではなくて、心理状態をチェックして必要に応じてアドバイスしてくれるという変わり種。チェックに使うのは「呼吸」です。

 知らなかったのですが、9月から日本でもApple Storeで販売しています。お値段は1万2400円(税別)とちょっと高いけど、Apple Watchに比べたら安いもんです。

 spire 2 日本を含む世界のApple Storeで販売中

 1×2.5cmの小さい本体をクリップでベルトやブラジャーに付けておくことで、呼吸の頻度や長さ、深さなどをセンサーで検知してクラウドに送り、それをアルゴリズムが解析してスマートフォンで見せてくれます。

 spire 3 使い方

 分かるのは、リラックスしているか、緊張しているか、集中しているかです。緊張するのは必ずしも悪いことではないですが、ずーっと緊張(呼吸が浅くて速くて乱れている状態)していると失敗も多くなるし、疲れちゃいます。緊張状態が一定以上続くとSpireがそれを検知して、「緊張しているみたいですね。深呼吸しますか?」と連係しているスマートフォンのロック画面にプッシュ通知を表示します。

 呼吸は、人間が唯一自分で制御できる自律神経機能なのだそうです。意識的に呼吸を制御することで精神統一したり、リラックスしたりできることは、ヨガや座禅をやったことがあれば分かります。Spireは、呼吸の制御訓練も助けてくれます。呼吸を画面で視覚化し、緊張状態からリラックス状態に戻すのを手伝います。

 というような話をしてくれたので、1個買おうかなーと検討中です。どうやら現在もいろいろ開発しているらしく「ここでは言えないけど、新しいフォームファクタを開発中」だそうなので、将来的にはもっとグレードアップしそうですが、まだ当分先のことみたいだし。

 さて、続いてパーレイ氏が「one more thing……」として面白いデータを披露してくれました。

 spire 4 「トランプ・テンション」

 先日の米大統領選挙の開票速報中の米国ユーザーにおけるストレスグラフです。サンプル数が3000と少ないですが、トランプ氏がオハイオ州とフロリダ州で勝った時、(非常に重要だとされる)ペンシルベニア州で勝った時、そして、トランプ氏の勝利が確定した時がストレスのピークになっています。

 パーレイ氏によると、最後のピークは過去最高だったとのことで、「必ずしもみんながトランプ氏の当選を歓迎していたわけではないことが、これで証明されてしまった」と語っていました。

 こういうデータは個人の精神管理だけでなく、ビッグデータになったらいろいろ応用できそうですね。例えば、混雑する電車でストレスによるいざこざが発生しないようにする研究とか。いろいろ楽しみです。


バックナンバー

関連キーワード

ストレス | ウェアラブル | 活動量計


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月14日 更新
  1. きょう発売の「MacBook Neo」、もうAmazonで割安に (2026年03月11日)
  2. 新品は絶滅、中古は高騰──「令和にMDを聞きたい」と願った筆者が、理想の再生環境を整えるまでの一部始終 (2026年03月13日)
  3. M5 Max搭載「14インチMacBook Pro」がワークステーションを過去にする 80万円超の“最強”モバイル AI PCを試す (2026年03月13日)
  4. 12機能を凝縮したモニタースタンド型の「Anker 675 USB-C ドッキングステーション」が27%オフの2万3990円に (2026年03月11日)
  5. セールで買った日本HPの約990gノートPC「Pavilion Aero 13-bg」が想像以上に良かったので紹介したい (2026年03月11日)
  6. 3万円超でも納得の完成度 VIA対応の薄型メカニカルキーボード「AirOne Pro」を試す キータッチと携帯性を妥協したくない人向け (2026年03月12日)
  7. ワコム上位機に肉薄? 10万円で18.4型4K! 高コスパ液タブ「GAOMON Pro 19」の長所と弱点 (2026年03月13日)
  8. 「MacBook Neo」を試して分かった10万円切りの衝撃! ただの“安いMac”ではなく絶妙な引き算で生まれた1台 (2026年03月10日)
  9. 高音質・良好な装着感・バッテリー交換式――JBLのフラッグシップ「Quantum 950 WIRELESS」は妥協なきヘッドセットか (2026年03月12日)
  10. JBL、高機能ノイズキャンセリング機能を備えたワイヤレスヘッドフォン「JBL Live 780NC」「JBL Live 680NC」発表 (2026年03月13日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年