M.3 SSD、Z-SSD、64層V-NANDなどSSDの最新動向(3/3 ページ)

» 2017年07月12日 16時51分 公開
[鈴木雅暢ITmedia]
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Samsungのこれからの取り組み

 続いてSamsung ElectronicsのJinman Han氏が登壇し、SamsungのSSD技術や今後の取り組みについて語った。

SamsungのSSD技術や今後の取り組みについて語ったSamsung Electronics メモリ事業部商品企画チーム長のJinman Han氏

 技術については、業界に先駆けて3次元NAND技術を採用した「V-NAND」の技術革新を続けており、64層の「第4世代V-NAND」の量産を開始したことを紹介。TLCパッケージ1枚で1TBの容量を実現できるため、片面実装で4TBのM.2 SSD、1TBのワンパッケージBGA SSDなどを製造できる。

Samsungは、業界に先駆けて3DNAND技術を導入した「V-NAND」を投入。2017年から64層、記録密度512Gビットの第4世代V-NANDの量産を開始したことを紹介

第4世代V-NANDでは、ワンパッケージで1TBの容量に達する。片面実装のM.2 SSDで4TB、HHHLカードタイプなら16TBの大容量が可能

 データセンター向けの技術では、データセンターのHDDをSSDで置き換えることにより省スペース、かつ高いQoS(Quality of Service)を実現できることを強調。Samsungが新たに提唱する「M.3」フォームファクターを採用した「PM983 M.3」や低レイテンシのZ-NANDを搭載する「Z-SSD(SZ985)」を紹介した。

 M.3は、端子形状とカードの長さはM.2と共通化しつつ、幅30.5mmとM.2(標準22mm)よりも幅が広い形状を採用することで、M.2の2倍のNANDフラッシュメモリを搭載可能にし、ホットプラグにも対応する。フロントからM.3 SSDがホットスワップが可能な超大容量(最大1PB)の1Uラックマウントサーバーを構築できる。データセンターの省スペース化にきわめて有用といえるだろう。

データセンター向けの新しいカード型フォームファクター「M.3」を紹介。端子形状をM.2と共通化しつつ、基板の幅が広い形状を採用することで、M.2の2倍のNANDフラッシュメモリを搭載可能にしている。ホットプラグにも対応し、フロントローディングが可能。大容量の1Uラックマウントサーバーを構築できる

 また、クライアントSSDの新たな市場として自動運転用途を取り上げた。自動運転では1秒で1GBものデータがセンサーされ、1時間では3.6TBにも上るという。このために高速大容量かつ幅広い環境(AEC-Q100 Grade 2)に対応する車載用SSDの準備をしていることを明らかにした。コンシューマー用途では、PCI Express x4/NVMe対応の960 PROがハイエンドのゲーミングPCで多く採用されていることを述べるとともに、家庭用ゲーム機向けのSSD、ワンパッケージのBGA SSDなどを紹介した。

 Jinman Han氏はSamsungのSSDマーケットシェアについても触れ、2002年以来、NANDフラッシュのマーケットシェアNo.1を継続しているほか、5年以上に渡ってクライアントSSDをリードしていることを紹介。競争の激しいエンタープライズ分野でもNo.1のシェアを獲得し、これからも各分野でリーダーシップを継続していく考えを示した。

低レイテンシの特別設計の「Z-NAND」を採用した「Z-SSD(SZ985)」を紹介。AFA(オールフラッシュアレイ)サーバーのキャッシュに最適としている

自動運転の需要を見据え、車載用規格「AEC-Q100 Grade 2」を満たす車載用SSDを準備していることを明らかにした

960 PROがハイエンドゲーミングPCに多く採用されている、家庭用ゲーム機向けのSSDも準備しているという

ワンパッケージでSSDのフル機能を備えるBGA SSD。モバイルPCやタブレットの小型薄型に大きく貢献できる

SSDラインアップ。OEM向け製品には「SM981」「PM881」といった現行ラインアップにはない新製品の名前も見える

会場に展示されていたBGA SSD(PM971)。20×16mmのパッケージにSSDのフル機能を集約している

BGA SSD「PM971」のスペック。容量は最大512GBで、シーケンシャルリード1500MB/s、シーケンシャルライト900MB/sと記載されている

 最後にHan氏は、顧客にベストなSSDを安定して提供し続け、共にこれからの未来を作っていきたいという言葉で発表を締めくくった。

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