Elite Sliceの本体インタフェース回りを見ていこう。
特筆すべきは、本体右側面にあるWindows Hello対応の指紋認証センサーだ。セキュリティの観点から、ビジネス向けノートPCでは搭載率が高まっている指紋認証センサーだが、デスクトップPCではそこまで普及していない。本体にセンサーを搭載している点でも、Elite Sliceは貴重な存在だ。
左側面にはUSB 3.1 Type-C端子とヘッドホン端子を備える。背面には、右から順にセキュリテイロックスロット、HDMI端子、DisplayPort端子、USB 3.1 Type-A端子×2、USB 3.1 Type-C端子、有線LAN(Ethernet)、電源ジャック、電源ボタンが用意されている。右端に近いHDMI端子は、ケーブルを接続するとやや斜めに外を向く感じになる。本体の丸みに合わせた基板設計であり、芸が細かい。HDMI端子の反対側にある電源ボタンもやや外側を向いているため、簡単に探し当てて押せる。
本体内部の話にはなるが、Elite SliceはTPM 2.0対応のセキュリティチップを搭載している。また、BIOSの状態を起動中も定期的に監視する「HP Sure Start with Dynamic Protection」にも対応している。
ここからはレビュー機のパフォーマンスをベンチマークテストを使ってチェックしていく。
まず、「CINEBENCH R15」でCPUの処理性能をチェックした。結果はマルチコア・マルチスレッドのパフォーマンスを示す「CPU」が695cb、シングルコアの結果を示す「CPU(Single Core)」が143cbだった。
デスクトップPC向けのCore i7の最上位モデルと比べると、CPUの結果は一段抑えられてはいるが、それでもモバイル向けの「Core i7-7600U」あたりと比べると約1.5倍のスコアを記録している。
一方、CPU(Single Core)のスコアはCore i7-7600Uよりも若干劣っている。これはターボブースト時の最大周波数がCore i7-7600Uの方が高いことが影響している。
シングルコア時のスコアが少々惜しいことになってしまったが、これだけの結果なら普段使いは間違いなく快適だ。
次に、「PCMark 10」で総合的な処理性能をチェックした。トータルスコアは2333と、統合GPUを利用している製品としては一般的な結果となった。
個別のスコアを見ていくと、PCの底力を示す「Essentials」テストでは各項目ともにバランスよい点数を出しており、トータルで7273ポイントを記録した。また、オフィスアプリケーションのパフォーマンスを試す「Productivity」テストでもバランス良く高いスコアを獲得し、トータルで6109ポイントとなった。基礎体力面とオフィスアプリの利用においては十分すぎるパフォーマンスを持っているといえる。
一方、写真・動画の編集パフォーマンスを試す「Digital Contents Creation」とゲームプレイ時のパフォーマンスを試す「Gaming」のトータルポイントはそれぞれ2764、653と振わなかった。これらのテストは外部GPUを搭載するPCに有利なテストで、それがないElite Sliceで厳しい結果になるのは仕方ない面もある。ただし、物理計算のパフォーマンスを測る「Physics」が8768と高スコアだったことからも分かる通り、CPUそのものの性能は間違いなく高い。
次に、「3DMark」でGPUの性能を測ってみた。先ほどのPCMarkの結果からも明らかなように、Elite SliceはGPUを駆使するテストにおいて圧倒的に不利な立場にある。果たしてどこまで健闘できるのだろうか。
結果はDirectX 11を使う「Fire Strike」が764、同じくDirectX 11を使う「Sky Driver」が3832、DirectX 10を使う「Cloud Gate」が6997、Direct X9を使う「Ice Storm」が55530となった。
これらを踏まえると、DirectX 11を使うゲームには力不足で、DirectX 10を使うゲームはそこまで快適ではなさそうだ。一方、DirectX 9を使うある軽量なゲームなら十分に楽しめそうだ。
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