Coffee Lake-S(開発コード名)の第8世代Core i7により、Intelのメインストリームに6コアが投入されるわけだが、一方で国内での販売開始は11月になるという話もある。それが正しいのならばあと1カ月待つことになるが、先行してサンプルを入手することができた。とりあえず、このベンチマークの結果を眺めて、発売までにアップグレードプランを練ってみてはいかがだろうか。
2017年は、エンスージアストはもちろん、メインストリームプラットフォームでもコアが増えた。Intelに関して言えば、エンスージアスト向けのLGA 2066ではCore i9-7980XEが18コア/36スレッドへ、メインストリーム向けでは先月発表されたCoffee Lake-SのCore i7で6コア/12スレッドへ、コア数を拡大している。
Coffee Lake-SはKaby Lake-Sとアーキテクチャ的には同じだ。製造プロセスは14nm+から14nm++へと、微細化レベルでは同一だが、改良を重ねることで性能を向上させている。この点では、まだアップグレードを検討するきっかけとしては薄いかもしれない。
ただし、コア数が増え、コア数に合わせてキャッシュも増え、さらに(ベースクロックは低いが)Turbo Boost時の最大クロックが高まったことで、現行第7世代のCoreのパフォーマンスを40%上回ったとしている。
スペックについては今回試す2つのCoffee Lake-Sに絞って話を進めよう。まず、Core i7-8700Kは、Coffee Lake-Sの最上位モデルとなる。倍率変更可能なアンロックモデルである。Core i7-7700Kと比較した際のポイントは、コア数/スレッド数が2C/4T増える点と、キャッシュも4MB増加、メモリがDDR4-2666に対応することで帯域が拡大しているといった3点だろう。
動作クロックについては、Core i7-8700Kはベースが低め、ターボが高めという設定だ。つまりマルチスレッド時はコア数で、シングルスレッド時はクロックで、アドバンテージがあると考えられる。ただし、TDPについては4W増の95Wとされている。アーキテクチャが同じまま、微細化が進んでいないため、コア増加分の熱量を、クロック設定で抑えてもTDPとしては増加傾向にあるということだろう。
Core i5-8400は、2モデルあるCore i5の下位モデルとなる。下位というよりは低TDPモデルといったほうがよいだろうか。上位でアンロックモデルのCore i5-8600Kが95Wであるのに対し、Core i5-8400は65Wに抑えられている。
こうしたTDP分けは従来同様だ。コア/スレッド数は6C/6Tとなり、従来のCore i5同様、Hyper-Threading Technologyには対応しない。また、キャッシュも9MBなので、6コアとは言えCore i7からはスペックが落とされている。メモリについてはDDR4-2666で、Core i7と同じだ。クロックについては、ベースが2.8GHzとかなり低めで、Turbo Boost時は4GHzと、こちらもやや低めだ。
型番 | Core i7-8700K | Core i5-8400 | Core i7-7700K |
---|---|---|---|
コア数 | 6 | 6 | 4 |
スレッド数 | 12 | 6 | 8 |
ベースクロック | 3.7GHz | 2.8GHz | 4.2GHz |
ターボクロック | 4.7GHz | 4.0GHz | 4.5GHz |
LLC | 12MB | 9MB | 8MB |
TDP | 95W | 65W | 91W |
メモリ | DDR4-2666 | DDR4-2666 | DDR4-2400 |
iGPU | Intel UHD Graphics 630 | Intel UHD Graphics 630 | Intel HD Graphics 630 |
実行ユニット | 24 | 23 | 24 |
iGPU最大クロック | 1.20GHz | 1.05GHz | 1.15GHz |
さて、発表時にはあまり触れられなかったマザーボード側のスペックについても説明しておこう。まず、ソケット規格自体はLGA 1151のままなのだが、やっかいなことに第7世代Core以前のLGA 1151とは互換性がない。つまり、LGA 1151という同じ規格のまま、マザーボードが使いまわせないという理不尽なことになる。
マザーボードメーカー筋の話によると、この要因は「Intel MEとUEFIが異なるため」。では、旧マザーボードにCoffee Lake-Sを搭載した場合、あるいは新マザーボードにKaby Lake-Sを搭載した場合はどうなるのか。メーカー筋によると、壊れるようなことはないが、起動しないそうだ。
チップセットはIntel Z370を組み合わせる。ちなみに、Intel Z370も、基本的にはIntel Z270と大きく変わるところがない。例えば、Coffee Lake-SではPCI Expressレーン数が最大40に拡大しているが、Intel Z370の場合、Intel Z270同様に最大24レーンまでしか対応していない。Coffee Lake-Sの機能をフルに使えないという状況に陥っている。ただし、そこはマザーボードメーカー各社が、追加のハードウェアやソフトウェアで、Intel Z270搭載モデルからのアップグレードを図っているので、そこをチェックしたい。
今回はASUSTeKの「TUF Z370-PLUS GAMING」を試用した。ASUSTeKはTUFの位置づけを見直し、TUFの耐久性を、GAMINGセグメントにアレンジしたとのことだ。従来のTUFの特徴だったカバー「Thermal Armor」はなくなり基板がむき出しとなったが、サージや静電気に対する保護機能、高耐久部品などは受け継いでいる。
外観上で特徴となるのが、イエローのラインと、大胆な基板形状だろう。ブラック/グレー/イエローの配色や、ATX24ピン電源入力部や、左下オーディオ部分をカットした基板デザインは見るものに大きなインパクトを与える。
一方で、価格は控え目になるようだ。電源フェーズは最小限で、ゲーミングマザーに求められる機能以外ではそこまで多機能というわけでもなく、とくに背面インタフェースはかなり絞り込まれている印象だ。
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