連載
» 2017年12月26日 15時00分 公開

鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:「Windows on Snapdragon」はPCのゲームチェンジャーになれる? その疑問と可能性 (1/3)

ついに実際のPC製品が発表された「Windows on Snapdragon」。その発売時期や今後の見通しを考察する。

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 「Windows on Snapdragon」――つまり、スマートフォン向けプロセッサで知られるQualcommのSnapdragon 835を搭載し、PC向けのWindows 10が動作する新しいデバイスが2018年にやって来る。LTEを内蔵して常時接続で20時間超ものバッテリー駆動を目指す新世代のPCだ。

Windows on Snapdragon QualcommのSnapdragon 835プロセッサを搭載し、スマートフォン向けのモバイルOS「Windows 10 Mobile」ではなく、PC向けの「Windows 10」が動作する新しいプラットフォームが登場。これを採用した新しいPCが2018年にやって来る

 米Qualcommは12月5日(現地時間)に米ハワイ州マウイ島で開催したイベント「Snapdragon Tech Summit 2017」で、このWindows on Snapdragonを正式発表。ASUSTeK ComputerとHPのローンチパートナー2社が最初の製品を披露した。

Windows on Snapdragon 12月初旬のイベントで公開された「ASUS NovaGo」

 今回は現地での取材に加えて、その後に出てきた情報も含めて俯瞰(ふかん)しつつ、この新しいデバイスがどのような可能性を秘めているのかを探る。

2017年末は発表のみ、メインの商戦は2018年後半からか

 まず気になるのは、Windows on Snapdragonデバイスの発売時期だ。会場で発表されたHPの「HP Envy x2」については、うわさ通り「2018年春以降」と登場時期が明言されたが、ASUSの「ASUS NovaGo」は登場時期が明かされていない。

Windows on Snapdragon HPの「HP Envy x2」は2018年の春以降に発売

 もう1社のローンチパートナーであるLenovoは、2018年1月初旬に米ネバダ州ラスベガスで開催される恒例のイベント「CES 2018」で製品発表会を予定しており、ここでWindows on Snapdragonデバイスを発表するとみられる。

 だが、その後に得た複数の情報を総合する限り、これらメーカーからの製品出荷時期は2018年第2四半期、具体的には4月後半以降になる可能性が高い。

 MicrosoftやWindows系のリーク情報で知られるWalkingCatがTwitterに投稿した資料によれば、Snapdragon on Windowsを含んだLTEモデム内蔵の新しいPCカテゴリーである「Always Connected PC」の広域展開を想定したシナリオとして、「Next release of Windows 10」以降でのサポートを見込んでいるという

 この資料は、Microsoftが2017年11月末から12月初旬にかけて開催した開発者向けイベント「WinHEC Fall 2017」のセッションスライドだ。ここでは「eSIM」の対応シナリオが「General(Legacy SIM/eSIM)」「Consumer eSIM」「Enterprise eSIM」の3種類に分類されており、後の2つについては「Windows 10の次期リリース(Next release of Windows 10)」でのサポートと書かれている。

 Windows 10の次期リリースとは現在開発中の「Redstone 4(RS4)」。Fall Creators Updateに続くWindows 10の大型アップデートで、「1803」というバージョン番号から分かるように、2018年4月(恐らく4月半ば以降)にリリースの予定だ。これを目安とするならば、メーカーからの出荷時期は2018年4月以降と考えるのが妥当だろう。

Windows on Snapdragon WinHEC Fall 2017で公開された「Always Connected PC」における「eSIM」の対応シナリオ

 Always Connected PCはeSIMの利用を推奨しているが、実際の展開手段については各メーカーの判断に委ねている。また展開地域や提携先キャリアによって異なる対応デバイスを用意する可能性にも言及しており、デバイスを展開するメーカーの裁量による部分が大きい。

 ここで問題となるのは「Consumer eSIM」の欄にある「simple profile switching in OOBE(Out-Of-Box Experience)」の部分だ。つまり「デバイスを箱から取り出してセットアップする体験(OOBE)時に、通信キャリアの選択とeSIMのプロビジョニングを行える」機能の実装がRS4以降のタイミングになる。

 Windows on Snapdragonデバイスの売り方は幾つか考えられるが、量販店やオンラインストアではキャリア契約の問題から、前述のOOBE向けのソリューションが必須だ。従って、当面は携帯キャリアショップでの販売、または携帯キャリアや関連パートナーからのダイレクトセールスに頼らざるを得ない。

 なお、エンタープライズ向けの販売シナリオはまだ先になるとMicrosoftは考えており、当初は主にコンシューマーをターゲットとする点から、2018年前半の販路は携帯キャリアショップ(あるいはそのオンラインストア)経由に限定される。

 特に日本ではこうした用途を想定した販売網がまだできていないため、販売開始時は少なくとも「2018年後半以降」を見込んでいると推察する。

Windows on Snapdragon ソリューション別の展開例。現状では携帯キャリアのみが販路となる
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

「Windows 7」サポート終了 対策ナビ

この記事が気に入ったら
ITmedia PC USER に「いいね!」しよう