2017年を振り替えるというテーマで書き始めてみたが、そもそも振り返るだけの大きな動きがなかった。1つ驚きがあったとしたら、それはMicrosoftがARMアーキテクチャ向けのWindowsプロジェクトをリブートしたことだ。
MicrosoftがQualcommと共同で発表した「ARM版のWindows 10 S」と、かつての「Windows RT」との違いは、Intel向けに開発されたアプリケーションコードの自動翻訳機能を搭載していること、そしてそれらの機能をシステムLSIを提供するQualcommと共同で開発、調整していることだろう。
その結果、Qualcommのプラットフォーム(Snapdragon)が得意とするワイヤレス通信や省電力を生かした製品開発ができる。「製品開発」と書いたが、それらによって生まれてくる製品が従来とは異なる体験をもたらすようになれば、当然ながら次の段階では商品企画そのものが変わり、最終的には新しい商品ジャンルを生み出すことになるだろう。
Microsoftが掲げた新しいPCのコンセプト「Always Connected PC(常時接続PC)」。これを具現化するSnapdragon 835搭載Windows 10 Sデバイスは、LTEの内蔵による常時接続かつ20時間超ものロングバッテリーが特徴となる
筆者の視点でこの動きを俯瞰すると、「パーソナルコンピュータの再定義」の動きに見える。スマートフォン・タブレットへとPC市場の一部がスライドする中で生まれてきた、ハイブリッド型の製品をいったん整理し、新たな道具として再構築するためのたたき台となれば、2018年から2019年にかけて「パーソナルコンピュータ」そのもののカタチ、使い方提案などに新たなアプローチが見られるようになるだろう。
- 2016年のPC動向を振り返って思うこと
この状況は「つまらない」のか、「落ち着いている」のか。
- 2015年のPC/スマートデバイス動向を冷静に振り返る
よりよく進化した製品は数多く見られたが、2016年以降の大きな流れを生み出すような「メガトレンド」は見いだせない――そんな1年だったのではないだろうか。
- 2014年のPC/スマートデバイス動向を冷静に振り返る
iPadの登場から4年半あまり。すっかりタブレットは一般化し、昨今はスマートフォンとの境界が曖昧になりつつある。こうした流れにMicrosoftは最適な対応ができず、WindowsとPCの停滞を招いたことは否めない。しかし、2014年は目に見える変化が現れてきた。
- 2013年のタブレットを冷静に振り返る
昨年はタブレットのサイズバリエーションが広がった1年だったが、今年はWindows PCがタブレットにより近づく動きが目立った。タブレット市場のトレントを振り返りつつ、個人的に印象深い製品を挙げていこう。
- 2012年のタブレットを冷静に振り返る
iPad mini、Nexus 7、Surface、Kindle Fire HD……。刺激的な製品が多数投入された2012年のタブレット市場だが、業界全体のメガトレンドとしてはゆったりしたものだった。
- 2011年のタブレット端末を冷静に振り返る
さまざまなタブレット端末が登場した2011年。相変わらずの強さを見せたiPad 2、国内勢も本腰を入れ始めたAndroidタブレット、そしてHPのwebOS端末撤退と、ニュースは多かったが、期待通りに盛り上がったかと問われると疑問符が付く。
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