「なろう」作家を狙い撃ち!? 「一太郎2018」発売直前レビュー(1/4 ページ)

» 2018年02月08日 15時46分 公開
[瓜生聖ITmedia]

出力を極めた一太郎2018

2月9日発売の一太郎2018 Premium。

 PCがビジネスや家庭で利用されるようになった当初から、日本語ワードプロセッサのニーズは大きかった。これはPCが普及する前にワープロ専用機の時代があったことからもうかがい知ることができる。

 それでは、現在の状況はどうだろう。印刷やデザインをなりわいとしないユーザーにとって、現在の日本語ワープロソフトはすでに十分すぎる機能を持っている。だが、それ以前にワープロソフトを必要とするシーンが減っているのではないだろうか。

 報告書や設計書などであればExcelを使うことが多いだろうし、説明資料であれば図が中心で、自由なレイアウトがしやすいPowerPointが主力だ。メールでの連絡であれば本文のテキスト、Webで共有する情報はブログツールなどで生成されるHTMLで十分事足りる。

 PCがコモディティ化し、用途に応じたさまざまなツールが円熟期に入った現在では、日本語ワープロソフトを使う局面はマニュアルや契約書、プレスリリースや送付状など限定的なものになりがちだ。

 個人に目を向けるとさらに激しい2極化が見られ、ほとんどワープロソフトを使わないという人も少なくない。その半面、継続的に使っている人は、他のツールでは代用できない機能や品質を求める傾向にあるようだ。

 その代表的な用途の1つが小説や論文などの長い文書、そしてそれを同人誌や電子出版するというものだ。単に長いテキストであればテキストエディタで十分だし、1ページ程度のチラシなどであればPublisherなどでもいい。企業ユースであればInDesignのような組版ソフトを使うのだろうが、個人には少しハードルが高い。

 用途に応じてツールを選ぶ時代だからこそ、日本語ワードプロセッサには美しい文書を出力する専門性が求められる。

 そうした専門性という点において、一太郎シリーズはWordとは一線を画す存在だ。そして、今回の一太郎2018が「出力を極める」ことに特化したのは必然なのかもしれない。

「やりたいこと」ができるインタフェース

 一太郎2018のバージョン番号は28。1985年8月にPC-9801用として登場してから実に33年という歴史を積み重ねた結果、非常に豊富な機能や設定を持つに至っている。

 その結果、自分のしたいことを実現するための機能がどこにあるのか探し出すのが難しかったり、そもそもそのような機能があることを知らなかったりすることもある。そのためのソリューションの1つが、一太郎2017から搭載されたオーダーメイド機能だ。

 オーダーメイド機能は用途によって機能の設定やツールパレットの表示を切り替え、ユーザーごとに使いやすい操作環境を実現するもので、「ツール>オーダーメイド」からアクセスする。

 実のところ、オーダーメイド機能で設定可能な項目の多くはファイルメニューや表示メニュー、ツールメニューなど別のメニューからも設定できる。オーダーメイド機能は「使いやすくしたい」という「やりたいこと」から、分散しているメニューに1アクションで到達できるところにメリットがある。

一太郎オーダーメイドはユーザーの用途や利用スタイルに応じて使いやすいインタフェースを一括で設定する

 

 同様に、出力を極めた一太郎2018では「出力したい」というユーザーの目的が最短で達せられるよう「アウトプットナビ」が搭載された。

 アウトプットナビではプリンター印刷、冊子作成、PDFや電子書籍、画像変換、メール送信、小説投稿、コンビニプリントの7項目が1つのナビゲーションに集約されている。

 個々のメニューには「ファイル>印刷」や、「ファイル>他形式の保存/開く」など、既存のメニュー体系からもアクセスできるが、アウトプットナビでは「冊子を作りたい」「電子書籍にしたい」といった目的からアクセスしやすくなっている。

 また、印刷の設定メニューなどもデザインが一新され、分かりやすくなった。

アウトプットナビはプリンタ印刷から電子書籍、小説投稿やコンビニプリントまで全ての出力をまとめた機能

一太郎2017の印刷ダイアログでは特殊印刷が設定タブの一部に含まれていたが、一太郎2018では独立して分かりやすくなった

新しく追加された折り本は切り込みを入れて折るタイプ(2種)と、つづら折りの3パターンから選択

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年03月19日 更新
  1. 無償版「Copilot」でもフルタイムでGPT-4 Turboが利用可能に/「Copilot for Security」が4月1日から一般提供開始 (2024年03月17日)
  2. 外付けGPU「ONEXGPU」でビジネスノートPCをパワーアップしてみた オンライン会議における“もっさり”の解決策になる? (2024年03月19日)
  3. ナゼか小型タブレットでお絵描きにハマりそう! NECPC「LAVIE Tab T14/T9」 の実機を試して分かった驚き (2024年03月18日)
  4. 最高6.2GHzで動作するCoreプロセッサ現行最上位の「Core i9-14900KS」がデビュー! (2024年03月18日)
  5. 総務省がCHUWI(ツーウェイ)を「行政指導」 一部モデルで認証の取得漏れなどが判明 当該機種では「5GHz帯Wi-Fi」は使わないように (2023年04月13日)
  6. ロープロで2スロット厚! NVIDIA RTX 2000 “Ada世代”のグラフィックスカードが登場! (2024年03月16日)
  7. 新「M3 MacBook Air」は守備範囲の広さが魅力 MacBook Proとの違いはある? 買い替え検討者に伝えたい注目ポイント (2024年03月14日)
  8. PCの累計生産台数5000万台突破目前! 「島根富士通」が出雲にある理由 (2024年03月15日)
  9. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  10. Copilotで画像を生成できる「Image Creator」を試してみよう (2024年03月15日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー