「なろう」作家を狙い撃ち!? 「一太郎2018」発売直前レビュー(4/4 ページ)

» 2018年02月08日 15時46分 公開
[瓜生聖ITmedia]
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付属のATOKは機能限定版

 今回の一太郎2018および最新版ATOKの発表の中で、最も衝撃が走ったニュースはATOKの提供方法を月額サービスである「ATOK Passport」に統一したことだろう。現行のATOK2017は継続してパッケージ販売されるものの、2018年2月1日より提供予定の「ATOK for Windows (Tech Ver.31)」に比べると1世代前の機能・性能のままということになる。

 これは単に営業戦略的にパッケージでの販売を取りやめた、という意味だけではなく、ATOKの機能がクラウドサービスとして継続的に提供されるものに移行したということでもある。

 そのため、今まで一般的だった「一太郎を購入してバンドルされているATOKを利用する」という方法ではフル機能の最新版ATOKを入手することはできなくなった。一太郎2018に付属するATOKにはクラウドサービスで提供される機能がほとんど含まれておらず、製品名も「ATOK for Windows一太郎2018 Limited」と機能限定版であることを示したものになっている。

 ATOK Passportは月額286円(税別)のベーシック、476円のプレミアムがあり、ともにWindows、Mac、Androidの最大10台にまでインストールして利用可能だ。ATOK Sync APで異なるデバイス間でも登録単語が同期でき、特にWindows、Mac間では変換候補の表示順、確定履歴の情報なども同期される。

 ATOK Passportで提供されるクラウドサービスにはATOKクラウド推測変換サービス、ATOKナントカ変換サービス(「なんとか」に続けて言葉の後半部分を入力して変換する)、ATOK Passportプレミアムで提供される8カ国語クラウド翻訳変換、ATOKクラウド辞典サービス、ATOKクラウド文章校正サービスがある。ベーシックとプレミアムは月単位でコースの変更が可能なので、利用状況に応じて切り替えてもいいだろう。

進化の余地はまだある? 一太郎の向かう先

 今回の一太郎のバージョンアップで、個人的に「最近の一太郎らしい」と感じたのは「まとめて改行削除」の空行処理の強化だ。今までの「指定した行数だけ残す」はロジック的に美しいが、今回追加された「2行以上の空行は1行だけ残す」という処理は1行の空行に対する例外処理を含んでいる。

 エンジニア的な観点だと「指定した行数以上の空行に対して以下を実行」と「指定した行数だけ残す」を組み合わせて実装してしまいそうだ。

 しかし、一太郎2018ではロジックとして美しいかどうかよりも、ユーザーが何を求めているかでインタフェースをデザインしているように思える。ユーザーの利便性を上げるためであれば、アウトプットナビのように機能的に重複したメニューの存在すらいとわない潔さだ。

 今後、ユーザーの利用目的が変われば、それに合わせて一太郎に追加される機能やインタフェースも変わりながら進化していくことだろう。一太郎は日本語ワードプロセッサのヘビーユーザーにこそ、使ってもらいたい製品だ。

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