インタビュー
» 2018年05月03日 17時13分 公開

Synology Japan代表に聞く日本支社設立の狙い (1/2)

社長の蔡明宏氏にインタビュー。

[石川ひさよし,ITmedia]

 NAS製品を扱うSynologyが、4月初旬に日本支社を開設して1カ月が経とうとしている。今回、その日本支社を訪問するとともに、Synology Japanの代表取締役社長である蔡明宏氏に、日本支社設立の目的や今後の活動について聞いた。Synologyが日本市場をどのように見ているのだろうか。

神田駅からほどちかい場所にオフィスを構えるSynology Japan

サポートニーズに応えるための日本支社設立

―― Synologyといえばここ数年日本市場でもその名前を聞く機会が増えました。まずは今回、日本支社を設立したその背景について教えてください。

蔡氏 Synologyが日本市場に本格参入して3年から4年ほど経ち、年間の成長率は50%に達して大きくシェアを拡大できました。当初はコストパフォーマンスのよいNASボックスとして認知され、コンシューマーを中心に好評を得ておりましたが、このところビジネスユーザーも増えております。

蔡氏 ビジネスユーザーが拡大しますと、弊社への問い合わせも、仮想化やコンテナなど高度な内容が増え、また、Synology NAS用アプリを開発したいというお声もいただくようになりました。こうした声に素早く、手厚く対応していくために、日本支社を設立しました。

Synology Japan代表取締役社長の蔡明宏氏。台湾本社で重役を努めた経歴を持ち、ハードウェア設計にも明るい

―― 従来、サポートはどのように行われていたのでしょうか。

蔡氏 これまでは、日本のお客さまのサポートも台湾本社で行っており、そのタイムラグ解消が課題となっていました。日本支社設立によって、お客さまへのサポートがタイムリーに、シームレスに行なわれるよう変わります。

蔡氏 また、今後、問い合わせに対して日本語で対応できるよう、サポート体制の準備を進めております。本社からの(英語での)返信を機械翻訳するようなものではなく、正しい情報をお客さまに届けられるように変わります。

―― 日本支社の業務はどのような内容か教えていただけますか。

蔡氏 コンシューマー向け製品では、例えば、テレビ録画データの扱いなどがNASの目玉機能に挙げられます。我々は2017年末、DiXiM Media Serverアプリをリリースしました。日本ではDTCP-IPをはじめ、世界市場とは異なる特殊な対応が必要で難しいところです。こうしたところは、日本のベンダーと協力して開発していく必要があります。

蔡氏 ビジネス向け製品では、Western DigitalやSeagateといったHDDベンダーとの互換性確認が最も重要な業務になりますが、その他にもUPS(無停電電源装置)やIPカメラメーカーの機器との互換性確認も必要です。日本国内にはUPSメーカーもIPカメラメーカーもありますので、今後より円滑に行えるようになります。

―― 例えば、IPカメラのサポートリストを見ますと、グローバルメーカーは充実していますが、日本のメーカー、日本で手軽に購入できる製品はあまり掲載されていないようです。これが変わるということですか?

蔡氏 はい。パナソニックなど大手メーカーを中心に検証を進めていきたいと考えています。

Network “Application” Storageを掲げてビジネスシェア拡大を狙う

―― 日本市場では今どのようなSynology製品が好調でしょうか。コンシューマー、ビジネス各分野について教えてください。

蔡氏 旧モデルになりますがコンシューマー向けの低価格モデル「DS216j」が、Amazonを中心に大変好評でホームユーザーに広く導入いただきました。DS216jはコストパフォーマンスの高いモデルであるとともに、家庭に置いても馴染みやすいデザインを取り入れています。

蔡氏 そして最近では、このDS261jをお使いのユーザーの口コミを見られたビジネスユーザーが、機能や信頼性を重視して企業用途に「plus」シリーズを選択するといった良いサイクルが生まれてきています。

蔡氏 その他、日本市場では映像製作の現場を中心に1U〜3Uのラックマウントタイプを導入いただいております。ベイ数の多いラックマウントモデルは大容量のデータを安全に扱うニーズに適しておりますし、そこにコストパフォーマンスの良さという点でSynologyをお選びいただいております。

―― 日本市場におけるコンシューマーとビジネスの比率はどのくらいでしょうか。グローバル市場と比べて何か特徴はありますか。

蔡氏 日本市場では、現在コンシューマーが6、ビジネスが4といった比率になります。古くから展開している欧米では、これが5:5くらいになります。この点で、今後の日本市場ではビジネスユーザーの拡大が課題といえます。そのためにも、日本支社を置くことは重要な一歩でした。

―― ビジネスユーザー拡大のためのカギは何でしょうか。

蔡氏 まず、サポート体制の拡充が挙げられますが、その他で特に注目しているのは、現在企業内で運用されている多数のWindowsサーバの存在です。Windowsサーバでは、さまざまな機能を実現するために多数の有償ソフトウェアが必要になります。この点、高コストといわざるを得ません。

蔡氏 我々は最近、NAS(Network Attached Storage)を文字って「Network Application Storage」といったキャッチコピーを用いています。SynologyのNAS上では、単にファイルサーバやバックアップとしてだけではなく、さまざまなアプリケーションを運用できる点をアピールしたコピーです。

蔡氏 例えば、メールやカレンダー、チャット、オフィスアプリケーション、クラウドなどがSynologyのNAS上で運用できます。全て無償というわけではありませんが、Windowsサーバと比べれば大幅なコストダウンが実現できます。そして、一般的にはファイルサーバとアプリケーションサーバは分けて運用されていますが、SynologyのNASの高性能モデルなら、そうした機能を1台に集約できます。もちろん、ウィルススキャンのようなセキュリティ機能もありますし、管理者には必須のレポート機能も搭載しています。こうした点で、業務における管理コストを大幅に抑えることが可能です。

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