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AIをクラウドからエッジへ Microsoft開発者イベント「Build 2018」を読み解く鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/4 ページ)

» 2018年05月10日 17時30分 公開

 米Microsoftは5月7日から9日までの3日間(米国時間)、米ワシントン州シアトルで開発者会議「Build 2018」を開催した。

 初日の基調講演では、サティア・ナデラCEOとクラウド&エンタープライズ部門担当エグゼクティブバイスプレジデントのスコット・ガスリー氏が登壇し、近年同社が力を入れる「Intelligent Cloud(インテリジェントクラウド)」と「Intelligent Edge(インテリジェントエッジ)」の最新動向を解説している。そのハイライトを見ていこう。

Build 2018 米Microsoftのサティア・ナデラCEO

「Azure IoT Edge」でエッジ側を強化するMicrosoft

 近年、MicrosoftはAIとクラウドに注力しており、今回のBuildでもこの点を強調すると予想していたが、基調講演でまずアピールしたのはIntelligent CloudよりもむしろIntelligent Edgeの方だった。

 同社は3月に新しいAPI「Windows ML(Machine Learning)」を発表したが、これはディープニューラルネットワーク(DNN)の学習済みライブラリをPCのようなエッジデバイスに載せて、クラウドへの接続を必須としなくてもAIの仕組みを活用できるようにするものだ。このように、機械学習ライブラリを使った処理高速化の活用範囲を広げていく方針を進めている。

 Windows MLそのものは、Windows 10搭載のWindows Mixed Reality対応ヘッドマウントディスプレイ「HoloLens」のような、Microsoft純正の「エッジデバイス」にも搭載が可能だ。また、スマートフォンに言語翻訳や音声認識のためのDNNライブラリを載せて、従来よりも高度な携帯型の翻訳サービスを実現する仕組みが提案されていたりする。

 こうした中、同社がBuild 2018で発表したのが「Azure IoT Edge」ランタイムのオープンソース化だ。Azure IoT Edgeは、スマートフォンなどを含む各種エッジデバイス側のフロントエンドで、Azure IoT Hubを通じてAzure上のアプリケーションや各種サービスと接続される。

Build 2018 「Azure IoT Hub」への接続ポイントとなる「Azure IoT Edge」のランタイムをオープンソース化すると発表。プラットフォームはWindowsとLinuxに対応する

 Azure IoT Edgeの特徴は、デバイスの動作に必要なアプリケーションの開発に標準的なツールを利用できる点にあるが、今回はさらに「Custom Vision」と呼ばれるDNNの学習済みライブラリの搭載が可能になった。

 例えば、Azure IoT Edgeに対応したドローンに施設の異常を検知できるライブラリを搭載すれば、ドローンの撮影した画像をいちいちクラウドにフィードバックせずとも、その場で状態異常を発見してすぐに対策が可能だ。

 また監視や移動中の対障害物検知といった用途では特にレスポンスが重視されるため、クラウドとの通信から画像解析を経てのフィードバックにかかる数秒の時間が致命的となるが、エッジ側でこれを処理すれば遅延を低減できる。

 この仕組みを実現するため、MicrosoftはQualcommとDJIの2社との提携も発表した。

 具体的には、カメラを使った「Computer Vision AI(画像認識)」を組み込むための開発キットの提供でQualcommと提携し、「Azure Machine Learning(ML)」サービスを使ったCustom Visionの構築支援の他、Qualcommハードウェアを利用したDNNの高速処理の仕組みを開発者らは利用できるようになる。

Build 2018 ディープラーニングに対応したインテリジェントカメラ向けに、Qualcommとの提携で「AI Developer Kit」を提供

 またドローンメーカーのDJIとの提携では、DJIがWindows 10用のSDKを新たに提供し、ドローンからPCへのリアルタイムでの画像転送や制御を容易にする。将来的にDJIが提供するソリューションにおけるクラウドパートナーとしてMicrosoftのAzureが選ばれ、さまざまな分野で同様の仕組みを提案していくことも提携に含まれる。

Build 2018 DJIとの提携では、Azure IoT Edgeとインテリジェントカメラを組み合わせたドローンのソリューションを提供
Build 2018 ドローンを使ったパイプの遠隔検査をデモストレーション
Build 2018 ドローンがカメラで取得した映像から、パイプの異常箇所を自動的に認識してレポートする
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