米Microsoftが毎年開催している開発者カンファレンス「Build」。2018年の「Build 2018」は5月7〜9日(現地時間、以下同)に、前年同様に同社のお膝元であるワシントン州シアトルのワシントン州コンベンションセンターで開催する。2月8日に正式な開催日程が発表されたが、セッション関連の情報が出そろいつつあり、同社の注力ポイントが分かってきた。
初日にあたる5月7日午前の基調講演では、「Take in keynotes by Microsoft CEO Satya Nadella and other visionaries behind the Intelligent Cloud and Intelligent Edge.」というタイトルが掲げられている。サティア・ナデラCEOらが登壇し、Microsoftが掲げるテーマの「インテリジェントクラウド」と「インテリジェントエッジ」にあらためてフォーカスを当てた内容だ。
クラウド重視はここ数年のMicrosoftの傾向だが、この路線を踏襲しつつ、各社での取り組みが活発化しつつある「AI」でのプレゼンスを高めるのが今回のBuildでの狙いとなる。
Build 2018の計画当初は5月8〜10日の開催だったようだが、同じ会期でGoogleの開発者会議「Google I/O」が米カリフォルニア州マウンテンビューで開催される予定であり、完全なバッティングを避けるために開催日を1日前倒しにし、基調講演のタイミングをGoogleとずらす選択をしたようだ。
4月3日現在、公式サイトにはまだ初日の基調講演の時間が記されているのみで、2日目以降の基調講演の開催や、個別セッションのスケジュール詳細は不明だ。
初日の基調講演は5月7日午前8時半(PDT、日本時間で8日午前0時半)スタートで、3時間の長丁場となる。過去の慣例では、Buildの2日目はクラウド(Azure)や開発ツール関係の話題が集まることが多かったが、2018年はこれらの話題も含め、1日目の基調講演で全体的なプレビューを行うことになるだろう。
基調講演の登壇者としては、サティア・ナデラCEOをはじめ、クラウド&エンタープライズ部門エグゼクティブバイスプレジデントのスコット・ガスリー氏、Windows&デバイス部門エグゼクティブバイスプレジデントのテリー・マイヤーソン氏、AI&リサーチ部門エグゼクティブバイスプレジデントのハリー・シャム氏の4人の名前が挙がっている。
しかし、米Microsoftは3月29日に大規模な組織改編を発表し、同時にWindows事業を率いてきたマイヤーソン氏が退社することが明らかになっている。このことから、基調講演の登壇者には変更があるはずだ。
下記は個別セッションにおけるテーマだが、クラウドとAIを中心に、Windows周辺のインテリジェントエッジに話題が振られる布陣だ。先日、MicrosoftはWindows上で機械学習ライブラリを簡易に利用できる仕組み「Windows ML」を発表したが、これはHoloLensのようなデバイスからでも利用でき、同社の“エッジ”戦略を補強する存在にもなり得る。こうした話題も当然触れられるとみられる。
現在公開されているのは、下記にリストアップした「Featured Sessions」と呼ばれるもののみで、その詳細は当該ページで確認できる。XamarinやVisual Studioでの開発から始まり、例年フィーチャーされているIoT関連、話題のブロックチェーン、データベース関連のソリューションまで、ほぼAzureに関するクラウドの話題が占めている。この辺りのセッションでの見どころは、基調講演でガスリー氏が紹介するだろう。
これらのラインアップについて米ZDNetでMicrosoft動向を追い続けているメアリー・ジョー・フォリー氏は「データベース関連に偏りすぎている」と述べているが、この意図として、AIやビッグデータ分析に必要なデータ処理にデータベースが必要で、Microsoftの戦略を色濃く反映したものと指摘している。
また同氏の関係者の話で、2017年の同時期に発表されたXAML Standardの現在、ならびに今後の状況が説明されるのではないかと期待されている。UWP(Universal Windows Platform)におけるUIの根幹を成す技術だが、プラットフォームが拡散していく中で最新状況を見守っていきたい。
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