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» 2018年06月05日 13時30分 公開

本田雅一のクロスオーバーデジタル:なぜAppleは「iOSとmacOSを統合しない」と断言したのか WWDC 2018現地レポート (1/2)

毎年恒例の米Apple開発者会議「WWDC 2018」が開催。一部で期待された新ハードウェアの発表はなかったものの、今後のmacOSとiOSについて注目すべきトピックがあった。現地からレポートする。

[本田雅一,ITmedia]

 米Appleは米カリフォルニア州サンノゼで6月4日(現地時間)、同社製品向けソフトウェアの開発者会議「WWDC 2018」を開始した。例年、このイベントの基調講演では、Appleが提供する各ジャンルのコンピュータ用基本ソフト(OS)の刷新内容を公開し、年末に向けてどのような改良がソフトウェアの面からなされるのかを明らかにする。

WWDC 2018 米Appleが毎年開催している開発者会議「WWDC 2018」の基調講演に登壇したティム・クックCEO

ハードの発表がなかった一方、OSの改良は多岐にわたる

 その内容によっては関連するハードウェアの新製品が公開される場合もある。2017年のWWDCでは開発者向けの液晶一体型デスクトップ「iMac Pro」や、画面サイズが変更された「10.5インチiPad Pro」などがアナウンスされている。一方で2016年のWWDCは大幅なOSの刷新が発表された一方、新しいハードウェアは発表されなかった。

 今回は後者だ。すなわち新たなハードウェアの発表は伴わないものの、iPhoneやiPad向けの「iOS」、Mac向けの「macOS」、Apple Watch向けの「watchOS」といったOSの改良に関しては比較的、大きなアップデートや更新が行われている。

WWDC 2018 次期iOS「iOS 12」は今秋リリース。パフォーマンスの改善や、新ARプラットフォーム「ARKit 2」、自分の顔をイメージしたアニ文字を作成できる「Memoji」、Siriのショートカット機能などが追加された。写真はFaceTimeのグループ通話機能で、Memojiを使ったティム・クックCEOと話しているデモの様子(詳細記事はこちら

 それぞれに掘り下げると、極めて多くの機能追加や開発者向けのメッセージに分解できるが、情報が膨大であるため、Apple自身のWebページを参照する方が、より正確に捉えることができるだろう。ここでは、幾つか印象的だった点について触れていきたい。

WWDC 2018 次期macOS「Mojave」も今秋リリース。「ダークモード」や、デスクトップのファイル自動整理機能「Stacks」、細かな機能の改良などが行われている(詳細記事はこちら

MacとiOSデバイス統合のうわさに「NO」

 それは、「MacとiOSデバイス(iPhone・iPad)のプラットフォーム統合」といううわさについてだ。この話を進めるためには、基調講演の最後に語られたMacの将来に関するうわさについての否定コメントから始めねばならない。

WWDC 2018 基調講演では、iOSとmacOSの統合に関するうわさをわざわざ取り上げた

 Appleがうわさについてコメントすることはほとんどない。その中には荒唐無稽な想像から生まれるものもあるが、漏れた情報の断片から想像が膨らまされている場合もある。部分的に正しい情報が誤って解釈されている場合、正しい情報へと更新するには自ら正確な情報を伝えねばならないため、あえて何も言わないということだ。

 しかし今回、あえて基調講演の中でうわさについてコメントしたのは、今年、そして来年のmacOSおよびiOSに強く関連するうわさだったからだろう。

 数カ月前ぐらいから、ネットのAppleユーザーコミュニティーでは、Appleの事業におけるiOSデバイスの比重が高まってきたことや、コンシューマー市場におけるパソコンの需要停滞などから、そう遠くない未来にmacOSとiOSが統合されるのではないか。あるいはApple独自開発のARMアーキテクチャ(iPhone・iPadで使われているアーキテクチャ)のプロセッサを搭載し、MacはIntel製プロセッサの採用をやめるのではないか、といったうわさが流れていた。

 これをAppleは今回、明確に否定した。正確には両プラットフォームの統合を否定したのみであり、プロセッサの変更までを否定したわけではないが、OSの統合を伴わないのであれば、Intel製プロセッサの採用をやめる合理性もない。

 すなわちハードウェア側のプラットフォームの核となる部分は、これからも変わりないといっているに等しい。開発者向けには安心してアプリ開発に集中を、そしてエンドユーザーに対しては将来性に関する漠然とした不安を取り除こうとしたのだろう。

 Appleのメッセージは明快だ。iOSデバイスとMacは、そもそもの目的や使われ方が異なる。異なる目的のために作られた道具なのだから、結果として違う製品になっているのは当然ということだ。

WWDC 2018 うわさに「NO」と回答
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