Appleが6月4日(米国時間)、開発者向けのカンファレンス「WWDC 2018」にて、iOS向けの最新OS「iOS 12」の詳細を発表した。デベロッパープレビューを同日に配布し、パブリックβを6月末に配布する予定。一般向けには2018年秋リリースする。
対応機種は、iPhoneが「iPhone 5s」以降、iPadが「iPad mini 2」以降、iPodが「iPod touch(第6世代)」で、iOS 11と変わらない。2013年に発売されたiPhone 5sは、約6年にわたって最新OSが利用できることになる。
iOS 12は、パフォーマンスの改善が特徴の1つ。iOS 11.4とiOS 12のiPhone 6 Plusで比較した場合、カメラの起動速度は70%速く、アプリの起動は2倍速くなり、文字入力をする際のキーボードの表示は50%高速になったという。パフォーマンス改善は、iPhone 5sを含む全てのiOS 12対応機種が対象になる。
AR(拡張現実)アプリを開発するためのプラットフォーム「ARKit」は「ARKit 2」にバージョンアップ。顔認証の精度が向上し、3D物体認識やマルチユーザーにも対応する。新たに「USDZ」というファイルフォーマットを採用し、メッセージ、Safari、メール、ファイルなどのアプリでもARコンテンツを活用できるようになる。
iPhone Xのインカメラを活用し、ユーザーの顔の動きに呼応したアニメーション付き絵文字をメッセージアプリで送信できる「アニ文字」は、新たに舌の動きも表現可能になる他、お化け、コアラ、虎、ティラノサウルスの素材が追加される。iOS 12ではさらに、自分の顔をイメージしたアニ文字を作成できる「Memoji」が提供される。肌色、髪形、メガネなどを選択して自分の顔を作成し、メッセージアプリで送信できる。
メッセージアプリからカメラを起動して自撮りした写真をサードパーティーのアプリで加工して送ったり、アニ文字やスタンプを組み合わせた動画を送ったりもできる。
FaceTimeは最大32人のグループ通話に対応。グループ通話に参加しているユーザーはタイル状に表示され、発言をした人のタイルが自動で大きく表示される。任意のユーザーのタイルを大きく表示することも可能。自分の顔に、アニ文字やMemojiのキャラクターを重ねて表示する使い方もできる。ビジネスシーンでのテレビ電話にも活用できそうだ。
Siriにはショートカット機能が追加され、特定の音声コマンドでアプリを起動できるようになる。例えば「ヘイ Siri、鍵をなくした」と言うとBluetoothトラッカーを活用した「Tile」アプリが起動する、「家に帰る」と言うとメッセージやラジオアプリが起動する……といった具合。どの言葉でどのアプリを起動させるかは自由にカスタマイズできる。
写真アプリは従来の「メモリー」と「共有」が統合され、「For You」タブが新設。シーンごとの写真が表示され、一緒に写っている人などにシェアを勧めてくれるので、より簡単にシェアできるようになる。「検索」タブも新設され、イベント、人、場所、グループなどから写真の検索ができる。
通知や着信をオフにする「おやすみモード(Do Not Disturb)」は、特定の時間、場所、操作などから自動設定されるようになる。通知機能も改善し、同じアプリからの通知をグルーピングして1つにまとめられるようになる。
新たに提供される「Screen Time」では、iPhoneの使用時間、よく使うアプリ、通知の回数など詳細な利用状況を確認したり、特定アプリの利用時間を制限したりできる。さらに、ファミリー共有を活用し、親のiPhoneから、連携している子どものiPhoneの利用状況確認やアプリの利用時間制限も可能。
「CarPlay」では、新たにサードパーティーのナビアプリも利用できるようになる。
「ボイスメモ」はiPadでも利用可能になり、iCloudでの同期によって、複数のiOSデバイスで録音データを管理できる。
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