第2世代Ryzenの省電力モデルと「StoreMI」を試してみる(2/4 ページ)

» 2018年06月21日 16時58分 公開
[石川ひさよしITmedia]

ゲーミング性能は?

 3DMarkのスコア妥当なところだと思われる。Graphicsスコアを見て分かるように、3D性能自体はどれも同じ程度である。分かれるのはPhysics/CPU Test。およそTMPGEncの結果に近いスコアの分布になっている。つまりグレード順であり価格順である。ただし、DirectX 12ではなく11の、Fire Strike UltraやFire Strikeについては、Ryzen 7 2700とRyzen 5 2600Xで逆転が生じている。これは、コア数よりもクロックの差が出たためと思われる。定格クロックで見るとRyzen 7 2700は3.2GHz、対するRyzen 5 2600Xは3.6GHz。このような逆転があったものの、3DMarkはあくまでベンチマークだ。実際のゲームでのフレームレートのほうが重要だろう。それでは続いてゲームベンチマークを見ていこう。

3DMark各種テストの3DMarksスコア
3DMark各種テストのGraphicsスコア
3DMark各種テストのPhysics/CPUスコア

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、4K時のRyzen 7 2700がやや低く感じたが、1つ下のフルHD時にはそこまで大きな差ではないため、ブレの範囲と言えそうだ。

 CPUの性能差が最も現れやすい低負荷の720p時は、先の3DMarkにおけるFire Strikeのように、「X」付きモデルの方がよいスコアだった。ここはやはりクロックが重視されそうな印象である。実際、8コア・16スレッド、6コア・12スレッドを使い切るタイトルも少ないため、以降も似たような傾向が出ていることは確かだ。

 もっとも、今回はGeForce GTX 1080 Tiという強力なGPUを用いており、それで720pの低画質を楽しむようなことはほぼないシチュエーションだ。GPU側を引き下げれば、今度は720pの低画質でもGPU負荷が高まるのでCPUの影響が表面化しづらくなる。あまりに低スペックのGPUなら、720pでも差がない程度に落ち着くかもしれない。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークのスコア

 Far Cry Primalは、GPU負荷が最も高い4Kではどの構成でも変わらず59fps。ただし負荷が軽くなると階段状のフレームレートになった。Ryzen 7よりもRyzen 5の方が高いフレームレートであるのは納得のいかないところだが、負荷が軽くなるごとにTDP 95W超のCPUがより高フレームレートで、TDP 65WのCPUはそれよりもフレームレートが低く出るという差は、ここまでの3Dベンチマークと同様に見える。

Far Cry Primal実行時のフレームレート

 The Divisionでは、差が生じたのが720pのみとなり、これまでと違う順だが基本的にはTDPが95W超のCPUの方が65WのCPUよりも高フレームレートのように見える。720pのみ差が生じたのは、ゲームエンジンの特性ではないだろうか。

The Division実行時のフレームレート

 Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsも4Kについては横並びだった。フルHD時で2fps程度の差がつき、これがここまでの3Dベンチマークの結果と同じような傾向なので、CPU性能差によるものと考えられる。720pではこれがさらに明確になる格好だ。

Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands実行時のフレームレート

 こうして見ると、タイトルによってはフルHDで差が生じ始めるものもある。重ねてとなるが、これはGPU次第なので、GeForce GTX 1080 Ti以外ではまた異なるが、仮にGeForce GTX 1080 Tiを選択するとなれば、Ryzen 7 2700よりも1万円安いRyzen 5 2600Xの方がコスパがよくなるかもしれない。ただし、性能だけではないのがPCだ。最後に消費電力と、それに関わりのある静音性を調べていく。

消費電力を測定

 消費電力計測の結果はおよそTDP通り。TDP 65Wの今回の2製品は、消費電力の点では期待した結果が出た。「X」の付かない第2世代Ryzenは、消費電力が低いぶん扱いやすさも向上しており、静音PCなどの用途に向いているだろう。Ryzen 7 2700は8コア、Ryzen 5 2600は6コアあり、ここまでのベンチマークスコアを見る限り、パフォーマンスとしては十分に高い。

 詳細を見ると、まずアイドル時の数字は(マザーボードが異なる意味で)誤差の範囲かもしれない。3DMark Time Spy Extreme時の結果を見ると、TDPほどの差がつかないものの、TDP 95W超のRyzen 7、同5と比べれば確実に低いといえそうだ。

 そして純粋にCPUに負荷のかかるCINEBENCH R15実行時では、TDPが105WのRyzen 7 2700Xが高く、次いで95WのRyzen 5 2600X。ちなみに、同じ65WのはずのRyzen 7 2700とRyzen 5 2600にも差がついているが、TDP枠としては65Wだがコア数もクロックも異なるため、実際には差が生じているのだろう。

消費電力の比較

 この結果を見ると、Ryzen 5 2600はなかなかの低消費電力だ。もちろんCINEBENCH R15やTMPGEnc、PCMark 10での性能差は考慮しなければならないが、十分なパフォーマンスはあるので、普段使いのPCとしてであれば経済性も静音性もよい選択肢といえる。

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