レビュー
» 2018年07月27日 15時08分 公開

Surface Book 2を漫画家がガチで仕事に使ったらどうなる? (1/2)

漫画「AIの遺電子」で第21回文化庁メディア芸術祭マンガ部門の優秀賞を受賞した山田胡瓜氏が「Surface Book 2」をレビュー。仕事で使ってみた結果は……?

[山田胡瓜,ITmedia]
普段の仕事場。机の表面が剥げてきたので次は昇降機能付きの机が欲しい

 漫画家というのは、とにかく引きこもりがちだ。

 毎日寝て起きる家が仕事場なのである。起きたら机に向かい、夜になったら寝る。出掛けるのはせいぜいコンビニだ。こんな生活をずっと続けていると、気持ちが晴れないし外に繰り出したくなる。

 「だったらもう、外で漫画を描けばいいのではないか」

 1年ほど前からそう考えていた。というのも、そのころから仕事がフルデジタルになったからだ。出先で紙の制作環境を持ち歩くのはちょっと大変だし人目も気になるところだが、PCで全て済ませるのなら、外でもできるかもしれない。仕事を言い訳に新しいPCやガジェットも手に入るし、一石二鳥である。

 そんなわけで、(1)モバイル性が高く、(2)ペン入力に優れ、(3)絵を描くための性能と拡張性を備え、(4)イラストソフトの「CLIP STUDIO PAINT」が利用できる――そんなマシンがないものかと、ときおり新製品をチェックしていたのだが、決定打がない。どれも「あちらが立てばこちらが立たず」という感じがある。

 一番素直に考えればワコムの「MobileStudio Pro」を使えばいいのだろうが、個人的にはペン性能は信頼できるものの、PCとしてクオリティー、費用対効果のバランスに不満がある。Appleの「iPad Pro」は製品としてのクオリティーもペン性能も素晴らしいのだが、OSに起因する「あれができない、これができない」があるのと、外部ディスプレイといった各種の周辺機器が使えないというネックがある。

モバイルお絵描きマシンを探していた筆者の下にやってきた、「Surface Book 2」15型モデル

 そんな折り、「Surface Book 2」の15型モデルが日本でも発売された。高性能で画面がデカくて新型のSurfaceペンに対応したMicrosoft謹製2in1とくれば、「お絵描きに使えるのではないか」と期待が高まる。

 そんな話をPC USERの編集Gにしたところ、日本マイクロソフトからSurface Book 2を使う機会を頂いた。そこで、実際にSurface Book 2を実際に漫画制作の現場に取り入れ、どんな利点や気になる点があるのか、順次レポートしていきたい。

第一印象は「微妙」だったが……

 早速だが、実際に作画に使ってみた印象をズバリ書く。ペン性能は個人的にはワコムが一番良い。が、新型のSurface Penも結構頑張っている。いろいろとクセがあり、最初の印象は良くなかったが、使っているうちに慣れて、いい感じに描けるようになった。「使えるのは下書きまでかな……」とう最初の印象は、今では「ペン入れもいけそうだな」に変わった。

新しくなったSurface Pen。ディスプレイに磁石でピタッとくっつくのがいい。4096段階の圧力感度と傾き検知機能を備え、スペック的には十分だが、ワコムと比べるとフィーリングが異なる

 ペン入力でまず気になったのが、ペンのカーソル位置がホバリング時に微妙にズレていて、接地した瞬間にカーソルがジャンプしてしまうこと。ペンを垂直にしているとこの問題は起きにくくなるが、普段はある程度ペンを寝かせて使うので、どうしてもズレが気になる。筆者以外にもこの問題を指摘している人はいるが、根本的には解消できないようだ。

消しゴムボタンは筆圧でコントロールできないのが残念。でもついててよかった

 ちなみに、Twitterアカウント「Surface Japan」が、ズレが気になる向けに「ペンのポインタを非表示にする方法」を案内している。

 試してみると確かにズレの違和感は解消されるのだが、やはり、ポインタが出ている状態でズレがなくなるのがベスト。「狙い通りの位置で描ける」感じは、ワコムに分があるなという印象だ。

 また、ディスプレイを反対に装着したスタジオモードで絵を描くときに、カーソルがペン先より右側に寄り気味なのも気になった。スタジオモードだとディスプレイの天地が逆になるのが影響しているのかもしれない(個体差の可能性もある)。

 最初のうちはこうしたズレの問題が気になって作画に集中できなかったのだが、使っているうちにだんだん慣れてきて、思った感じで描けるようになってきた。筆圧の出方もワコムとは違っていて、ある力以上を加えるとドバっと線が太くなるような感じだったのだが、このあたりも慣れてくるとある程度コントロールできるようになった。

Cintiq Pro 16で描いた絵
同じ絵を下書きにして Surface Penで描いてみた。ある筆力以上で線がモコっと太くなりがちと感じた
ちょっと慣れてきた
ペンに慣れた結果、わりと満足のいく絵が描けるようになった
こちらがCintiq Pro 16で描いた元の線画

 というわけで、ペンのフィーリングはベストではないものの、慣れればペン入れも可能、というのが個人的な感想。あと、注意点として、バッテリー設定を「最も高いパフォーマンス」にしないと、ペンの真価を発揮できないという点も指摘したい。かなり反応速度が変わるので、本気で絵を描く際はケチらず最高パフォーマンスにした方がいいと思う。逆に、ラフや下書き程度ならデフォルトの設定で問題ない(モッサリはするけど)。

 必要十分な手応えを感じたので、いざ実戦投入だ。

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