スマートスピーカーの聞き取り性能を徹底比較(大型・画面付きモデル編)山口真弘のスマートスピーカー暮らし(1/2 ページ)

» 2018年09月23日 06時00分 公開
[山口真弘ITmedia]

 本企画では、2018年9月時点で国内で市販されている、サードパーティー各社の製品を除いたスマートスピーカー9製品について、距離および音量を変えつつ、聞き取り性能をチェックする。

 第3回は、画面付きのモデル「Amazon Echo Spot」に加えて、第2回で紹介しきれなかった、縦長スピーカー形状のモデルの中でもサイズが一回り大きい「Amazon Echo Plus」と「Clova WAVE」をまとめて取り扱う。

 なおテストの詳しい方法、およびコンパクトモデルの結果については第1回で、スタンダードモデルの結果については第2回で紹介しているので、それぞれの記事を参照いただきたい。

smartspeaker 今回は画面付きモデル1製品(Echo Spot)と、大型モデル2製品(Echo Plus、Clova WAVE)の結果をお届けする

Amazon Echo Spotのテスト結果

Echo Spot 「Echo Spot」。円形ディスプレイを搭載する。今回は専用スタンドを装着してテストしている
Echo Spot 音量「小」での聞き取りテストの結果。この音量での聞き取り性能は「Echo」と並びトップクラスだ
Echo Spot 音量「中」での聞き取りテストの結果。全域にわたって聞き取りが可能だ
Echo Spot 音量「大」での聞き取りテストの結果。全域にわたって聞き取りが可能だ

 本体サイズだけ見るとコンパクトモデルに相当するEcho Spotだが、その聞き取り性能はコンパクトモデルと比較しても極めて高く、音量「大」および「中」であれば、高さ1.5m×奥行き2.5mの範囲全域においてムラなく聞き取りが行える。「Echo」と同水準の、聞き取り性能が極めて高いモデルだ。

 音量「小」では、高さ0.5m×奥行き0.75mの限られた範囲内はほぼ完全に聞き取れるのだが、それよりも範囲が広がると、聞き取れたり聞き取れなかったりと、他のEchoシリーズに比べて反応が気まぐれになる。逆に言うと、うまく聞き取ってくれない場合は、無理に近づくのではなく、同じ場所から二度、三度と話し掛けたほうが、反応されやすいかもしれない。

 ちなみに本体からの距離が1.5mまでに関しては、高さがゼロ、つまり本製品を置いたデスクないしは棚と同じ高さであれば、比較的聞き取られやすい。これは「Echo Dot(第2世代)」にもみられた傾向で、遠くから呼び掛けて反応してくれない場合は、本製品と同じ高さまで目線を下げて呼び掛ければ、小声であっても反応してくれる可能性がある。

Amazon Echo Plus(第1世代)のテスト結果

Echo Plus 「Echo Plus」(第1世代)。Echoに家電リモコン機能を追加したモデル
Echo Plus 音量「小」での聞き取りテストの結果。Echo、Echo Spotに次いで聞き取り性能が高い
Echo Plus 音量「中」での聞き取りテストの結果。全域にわたって聞き取りが可能だ
Echo Plus 音量「大」での聞き取りテストの結果。全域にわたって聞き取りが可能だ

 Echo Plusは、ハードウェアとしては第2世代にあたるEchoと違い、第1世代のフォームファクタ―を採用したモデルだ。10月30日にEcho Plusとしては第2世代となる新モデルが発売される。しかし性能が低いかというとそうではなく、音量「大」および「中」では全域にわたって聞き取りが可能であるなど、Echoと比べても遜色ない。

 音量「小」では、高さ0.5m×奥行き0.75mという範囲内はほぼ完全に聞き取れるのだが、それよりも範囲が広がると聞き取りが難しくなるなど、Echoおよび前述のEcho Spotに比べるとわずかに狭い傾向にあるようだ。高さがゼロ、つまり本体から見て真横の方向について、やや遠くでも聞き取られる場合があるのは、Echoと同様だ。

 ちなみに本製品は全長235mmと、とびきり背が高いことが特徴だが、その割には垂直方向の聞き取り性能はあまり高くない。Echoの場合、高さ0.5〜1.0mの範囲においては、1.5mより遠い距離であってもまれに聞き取れる場合があったが、本製品はそうした傾向はみられない。小声で使うのであれば、Echoに比べて近距離での利用にとどめた方がよいだろう。

Clova WAVEのテスト結果

Clova WAVE 「Clova WAVE」。円すいに似た形状が特徴
Clova WAVE 音量「小」での聞き取りテストの結果。コンパクトモデル並の聞き取り性能しかない
Clova WAVE 音量「中」での聞き取りテストの結果。全体的に貧弱で、かつ反応にムラがあるのも気になる
Clova WAVE 音量「大」での聞き取りテストの結果。他製品の音量「中」相当の性能しかなく実用性は低い

 国内初のスマートスピーカーとして登場しながら、性能面ではあまりよい評判を聞かないClova WAVEだが、今回のテストの結果はそれを裏付ける内容となっている。

 今回テストしてるスマートスピーカーほぼ全てが全域にわたって聞き取り可能な音量「大」でも、本製品が安定して聞き取れるのは高さ0.75m×奥行き0.5mという、ごく限られた範囲でしかない。その他の範囲は、全く聞き取れないわけではないのだが、聞き取れたり聞き取れなかったりとムラがあるのが、逆にストレスになり得る。

 また音量「小」ともなると、安定して聞き取れるのは直上0.25mと正面0.25mのみというありさまである。本製品の全長は約0.2m(=201.05mm)なので、高さ0.25mというのは、製品の天板から約5cmしか離れていない。そこでは辛うじて聞き取れるものの、さらに0.25m上、高さ0.5mになると全く聞き取れないなど、かなり絶望的な性能だ。

 ただし音量「大」に限れば、まだ使いようはある。というのも本製品は、垂直方向に比べて水平方向の聞き取り性能が高く、1.75m離れた距離からでも聞き取れるケースがあるため、なるべく高い位置に本製品を置くことで、聞き取られやすくなる可能性があるからだ。

 本製品のテレビCMでは、胸元近くの高さに置いた本製品に出演者が話し掛けるシーンがあるが、今回のテスト結果を見る限り、この指向性を生かした演出だったのかもしれない。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年03月19日 更新
  1. 無償版「Copilot」でもフルタイムでGPT-4 Turboが利用可能に/「Copilot for Security」が4月1日から一般提供開始 (2024年03月17日)
  2. ナゼか小型タブレットでお絵描きにハマりそう! NECPC「LAVIE Tab T14/T9」 の実機を試して分かった驚き (2024年03月18日)
  3. 最高6.2GHzで動作するCoreプロセッサ現行最上位の「Core i9-14900KS」がデビュー! (2024年03月18日)
  4. 総務省がCHUWI(ツーウェイ)を「行政指導」 一部モデルで認証の取得漏れなどが判明 当該機種では「5GHz帯Wi-Fi」は使わないように (2023年04月13日)
  5. ロープロで2スロット厚! NVIDIA RTX 2000 “Ada世代”のグラフィックスカードが登場! (2024年03月16日)
  6. 外付けGPU「ONEXGPU」でビジネスノートPCをパワーアップしてみた オンライン会議における“もっさり”の解決策になる? (2024年03月19日)
  7. 新「M3 MacBook Air」は守備範囲の広さが魅力 MacBook Proとの違いはある? 買い替え検討者に伝えたい注目ポイント (2024年03月14日)
  8. PCの累計生産台数5000万台突破目前! 「島根富士通」が出雲にある理由 (2024年03月15日)
  9. Copilotで画像を生成できる「Image Creator」を試してみよう (2024年03月15日)
  10. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー