スマートスピーカーの聞き取り性能を徹底比較(スタンダードモデル編)山口真弘のスマートスピーカー暮らし(1/2 ページ)

» 2018年09月22日 07時00分 公開
[山口真弘ITmedia]

 本企画では、2018年9月時点で国内で市販されている、サードパーティー各社の製品を除いたスマートスピーカー9製品について、距離および音量を変えつつ、聞き取り性能をチェックする。第2回は、スタンダードモデルとでも呼ぶべき縦長スピーカー形状の3製品、「Amazon Echo」「Google Home」「Clova Friends」を取り扱う。

 テストの詳しい方法、およびコンパクトモデルの結果については前回の記事を参照いただきたい。また「Echo Plus(第1世代)」など、縦長スピーカー形状のモデルの中でもサイズがひとまわり大きい製品のテスト結果については、次回紹介する。

smartspeaker 今回は各社のスタンダードモデル3製品(Echo、Google Home、Clova Friends)の結果をお届けする

Amazon Echoのテスト結果

Echo 「Amazon Echo」。円柱状のボディーが特徴。ちなみに製品としては第2世代に相当する
Echo 音量「小」での聞き取りテストの結果。Echo PlusやEcho Spotと並びトップクラスの性能だ
Echo 音量「中」での聞き取りテストの結果。全域にわたって聞き取りが可能だ
Echo 音量「大」での聞き取りテストの結果。全域にわたって聞き取りが可能だ

 Echoは、音量「大」および「中」では、高さ1.5m×奥行き2.5mの範囲全域においてムラなく聞き取りが行える。距離によって聞き取りムラが発生しがちなコンパクトモデルの「Echo Dot」に比べると反応の良さは明らかで、本製品の性能の高さをうかがい知ることができる。

 音量「小」では、水平・垂直ともに0.75〜1m以内の範囲に限れば、ほとんどムラもなく聞き取ることができ、これは今回テストした9製品の中で最も優秀だ。ベッドサイドに置き、近い距離から小声で操作するという用途においては、現行のスマートスピーカーの中で、最もふさわしい製品だ。

 また面白いのが、高さがゼロ、つまり本製品を置いたデスクないしは棚と同じ高さからであれば、1.5mという比較的離れた位置からでも、安定して聞き取りができていることだ。もし遠くから呼び掛けて反応してくれない場合は、本製品と同じ高さまで目線を下げて呼び掛ければ、うまく反応してくれることもありそうだ。

Google Homeのテスト結果

Google Home 「Google Home」。ナナメにカットされた天板が特徴的
Google Home 音量「小」での聞き取りテストの結果。聞き取り範囲が狭くコンパクトモデルとも大差ない
Google Home 音量「中」での聞き取りテストの結果。一部にエアポケットのような聞き取り不可ゾーンがある
Google Home 音量「大」での聞き取りテストの結果。全域にわたって聞き取りが可能だ

 Google Homeは、全体的には前述のEchoとよく似ており、特に音量「大」においてはEchoと同様、全域にわたってムラなく聞き取りができている。水平方向と垂直方向とで、そう明確に指向性がみられないのは、コンパクトモデルである「Google Home Mini」と共通する特徴だ。

 一方、音量「中」は、距離が1.5mを超えたところから、一部に聞き取りのムラがみられるようになる。特に高さ0.25〜0.5m、奥行き1.5〜2.0mの範囲にかけて、どうやっても聞き取られないエアポケットのようなゾーンがあるのが、やや気になるところだ。

 また音量「小」は、ライバルとなるEchoに比べると明らかに聞き取り範囲が狭く、コンパクトモデルであるGoogle Home Miniと比べてもそう大差はない。一定の音量が出せる環境でこそ、実力を発揮できるモデルといえそうだ。

Clova Friendsのテスト結果

Clova Friends 「Clova Friends」。Clova Friends Miniの兄貴分に当たるモデル
Clova Friends 音量「小」での聞き取りテストの結果。コンパクトモデル並の聞き取り性能しかない
Clova Friends 音量「中」での聞き取りテストの結果。範囲はお世辞にも広くないがムラは少ない
Clova Friends 音量「大」での聞き取りテストの結果。1.75mまでは聞き取り性能が高く、ムラも少ない

 Clova Friendsは、音量「大」の場合、距離が2mを超えると聞き取りがかなり怪しくなってくるが、1.75mまでの範囲であれば、ほぼ問題なく聞き取りが行え、ムラもそれほどない。

 音量を「中」に下げると聞き取り性能はガクンと下がり、実質的に高さ1m×奥行き1mの範囲しか聞き取れなくなるが、この範囲内は聞き取りムラもほとんどないため、運用でカバーできる。つまり、この聞き取り可能範囲に入るよう自分から近づけばよい。もちろん声量自体を大きくするのも有効だ。傾向が明確な分、ストレスがたまることは少ないだろう。

 ただし音量が「小」にまで下がってしまうと、本体のわずか0.25m手前であっても聞き取りが怪しくなり、実質使い物にならなくなってしまう。前回紹介した、弟分である「Clova Friends Mini」と同様、個人のデスク上やベッドサイドに置き、近距離から話し掛けることを前提とした製品といえる。

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