Samsung“画面折りたたみ端末”はスマホ巨大化の流れを変えられる?ITはみ出しコラム

» 2018年11月11日 06時00分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 韓国Samsung Electronicsが、だいぶ前から「出すよ、出すよ」と予告していた“画面を折りたためる”スマートフォンを11月7日(米太平洋時間)の開発者会議で初披露しました。

 といっても、全貌がはっきりしないように同社モバイルマーケティング担当上級副社長のジャスティン・デニソンさんが上着のポケットからプロトタイプを取り出すタイミングでステージが暗くなり、画面以外はシルエットでしか見えませんでした。

foldable 1 暗闇の中で「画面を折りたためるスマートフォン」のコンセプトモデルをデモ

 同社は2016年、韓国知的財産局に画面を折りたためる端末の特許を申請していましたが、その文書に添えられていた画像は二つ折りのお財布のような形状でした。

foldable 2 特許申請時のイメージ

 一方で今回披露された端末は、日本の新書のような縦長形状です。本のように開くと、内側に1画面の大きな「メインディスプレイ」が表示され、閉じると外側の片面に縦長の「カバーディスプレイ」が表示されます。折りたためる画面は、同社が新開発したフレキシブル有機ELディスプレイ「Infinity Flex Display」によるものです。

 暗闇でのデモでは、カバーディスプレイで見ていた画面の内容が、開くとメインディスプレイにも映し出される(逆も同じ)ことが分かりました。

foldable 3 開いたメインディスプレイ表示の様子
foldable 4 画面ごと真ん中から折りたたむと……
foldable 5 外型のカバーディスプレイが表示
foldable gif

GoogleもAndroidで“画面折りたたみ”をサポート

 これは単に端末のハードウェアを作ればいいというだけではなく、ソフトウェア側も対応しないとできないことです。Samsungは米Googleと協力して、OS(Android)を画面折りたたみ端末に対応させることも発表しました。

 ちなみにGoogleったら、せっかくSamsungが満を持してステージで発表したかったのに、数時間前に自社の開発者会議で「Samsungが折りたためる(Foldable)スマホを出すよー」と発表しちゃいました。

 Googleの開発者会議では折りたたみ端末のセッションも行われ、そこでSamsungのエンジニアがプロトタイプの画面構成を公表しました。

 カバーディスプレイはアスペクト比21:9(1960×840ピクセル)というかなり縦長の4.58型で、メインディスプレイはアスペクト比4.2:3(2152×1536ピクセル)という普通のタブレット的な画面比率の7.3型です。どちらも画素密度は420ppiと、解像度が高いですね。

foldable 6 カバーディスプレイとメインディスプレイの仕様

画面折りたたみはスマホ巨大化対策として有効?

 スマートフォンを折りたたむという発想は、「Galaxy Note」シリーズなどでスマートフォンがどんどん大画面化していく過程で当然のように出てきました。「大きくてポケットに入らなくなったらどうしよう、そうか、たたんじゃえばいいんだ」と。

 そして、「たたんだままでも、昔の携帯電話のように、外側にもディスプレイがあった方がいいよね」「いっそたたんだ状態で普通のスマホみたいに使えればいいんじゃない?」という流れで出てきたのが、今回の画面折りたたみスマホだと思います。

 カバーディスプレイとメインディスプレイでシームレスに同じもの(動画であれば再生の続き)を表示するのは、ユーザーにとっては当然あってほしい機能です。

 例えば、地図を表示して、もうちょっと広い範囲で見たいとき、普通のスマホではピンチインで表示範囲を広げますが、同時に地図の表示が細かくなります。画面サイズ自体が大きくなるわけではなく、画面上で地図を拡大・縮小表示するからです。

 この端末なら、縦長のカバーディスプレイで見ている地図が狭いと思ったら、開いてメインディスプレイに切り替えると、そこに同じ場所の地図が広い範囲で、しかも大きい画面で表示できるようになります。

foldable 7 縦長のカバーディスプレイで見ていた地図が、メインディスプレイではより広く大きな画面で表示できます

 メインディスプレイは、3画面までの「マルチウィンドウ」表示もできます。メインの大きい縦長画面と、その右の上下に2つの小さい画面を並べられるのです。SamsungはGalaxy Noteシリーズでマルチウィンドウを早くから採用してきた経緯があります。

foldable 8 3画面までの「マルチウィンドウ」表示ができます

 この機能もAndroidのOS自体がサポートします。Googleは「折りたたみとマルチディスプレイは今後Androidにとって重要になるから、アプリを対応させておいてね」と開発者に呼び掛けました。

 折りたたみは、「スマホ+子機」や「電脳メガネ」と並ぶ、“スマホ巨大化”対策の1つといえますが、これがメインストリームになるかどうかは製品の完成度によりそうです。アプリの開発者にとっては、しばらくは様子見したいのではないでしょうか(対応するのが大変そうですし)。

デモを見て気になる部分も

foldable 9 折りたたんだ状態の厚さが気になる?

 今回デニソンさんがステージで披露したプロトタイプは、たたんだ状態でかなり分厚い感じでした。

 デニソンさんは、偏光板を従来より45%も薄くすることで分厚くならないようにしたと言っています。多分、技術的にすごく大変だったと思いますが、素人から見るとまだ分厚そうです。デモ映像を見て、大人の男性の親指の幅くらいだとすると、20mmくらいありそうです。

 重さも気になります。開いたときにバランスがいいようにするには、重たいバッテリーをどう配置すればいいのでしょう(中央に沿って、左右に並べるとか?)。

 また、素人が心配なのは、何度も開け閉めしている間にメインディスプレイの中央に折り目がついちゃったりしないんだろうか、ということです。これについてはデニソンさんが、いろいろ新しい素材や接合方法を開発して「数十万回開閉しても大丈夫」と誇らしげに言ったので、大丈夫なんでしょう。

foldable 10 折りたためるディスプレイの内部構造

 いろいろと気になる画面折りたたみスマホですが、数カ月後には量産に入るそうです。店頭に並んだら、触って気になる部分を確かめたいですね。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年02月23日 更新
  1. モニター台とドッキングステーションが合体した「Anker USB-C ハブ 10-in-1 Monitor Stand」が28%オフの1万7990円で販売中 (2026年02月20日)
  2. 上下2画面で作業効率を大幅に高める「InnoView デュアル モバイルモニター」が36%オフの2万8212円に (2026年02月20日)
  3. マウスの概念が変わる! ロジクールG「PRO X2 SUPERSTRIKE」が切り開く“身体感覚”と直結する新たなクリック体験 (2026年02月18日)
  4. 内蔵タッチパッドが変形する「EWiN 折りたたみワイヤレスキーボード」が24%オフの5319円で販売中 (2026年02月20日)
  5. 16GB版と8GB版のすみ分けが進むRTX 5060 Ti――HDD「完売」報道の影響は? 今週末のアキバパーツ事情 (2026年02月21日)
  6. 音楽生成モデル「Lyria 3」をGeminiアプリに統合 日本語の歌詞にも対応/「ChatGPT」に新たなセキュリティ機能「Lockdown Mode」を導入 (2026年02月22日)
  7. 「UGREEN Revodok USB-C ハブ 6in1」が2000円で買える (2026年02月17日)
  8. 画面が伸びる! 勝手に回る! デジタル文房具の未来を拓くLenovoの“変態ギミック”搭載PC 3選 (2026年02月23日)
  9. ルンバが日本のために本気を出した! 「Roomba Mini」が示す“小が大を兼ねる”新基準とは (2026年02月21日)
  10. 微細な造形を圧倒的な解像度で実現する3Dプリンタ「ELEGOO Saturn 4 Ultra 16K」が20%オフの7万2798円に (2026年02月20日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年