連載
» 2010年07月09日 11時00分 UPDATE

iPhoneとビジネスのミライ:iPhoneの導入事例から見る、ビジネス活用の可能性 (1/2)

コンシューマー市場にとどまらず、今やビジネスの現場にも浸透し始めたiPhone。100台、1000台規模で一括導入した2社に、導入の背景や日々の活用シーン、導入効果を聞いた。

[手塚康夫(ジェナ),ITmedia]

 「再び、すべてを変える」――。こんなキャッチフレーズとともに登場したiPhone 4。6月24日の発売から3日間で世界における販売台数が170万台を超え、今なお国内では品薄な状態が続いている。

 筆者は6月15日の予約開始日に、約5時間ソフトバンク表参道店に並んで予約を行い、6月24日の発売日に3時間並んでようやく手に入れた。アップル純正アクセサリーのBumperを装備した筆者のiPhone 4は、日々のビジネスにおけるパートナーとして活躍している。

os_iphone4-b01.jpgPhoto 発売以来、品薄状態が続いているiPhone 4

 iPhone 4を使い始めた筆者が、iPhone 3GSと比較して実感したのは、「すべての性能が向上している」ということだった。もちろん、FaceTimeのようなビデオ通話や、Retinaディスプレイによる高精細な画面表示といったiPhone 4ならではの優れた点もあるが、マルチタスキングによる複数アプリケーション起動時の高速な動作や、バッテリー駆動時間の延長など、ビジネスにおいて本質的に必要とされている性能が向上していることに感銘を受けた。

 筆者は、企業向けiPhoneアプリケーションの開発やソリューション提供に携わる中で、次々に登場する新たなビジネスモデルや活用方法の多様性に日々興奮を覚えている。ビジネスの世界はiPhoneの登場で変わり、それを今、iPhone 4が再び変えようとしている。その瞬間に立ち会うことが、今から楽しみでならない。


 連載5回目となる今回は、iPhoneを導入し、ビジネスに活用しているフォーラムエンジニアリングとアイエスエフネットの2社にインタビューを行った。2社の事例から、iPhoneがビジネスの現場で果たす役割や実際の効果を見ていこう。

iPhoneが実現する「最先端と絆」――フォーラムエンジニアリングの導入事例

Photo フォーラムエンジニアリングの菅氏

 技術系の人材ビジネスに取り組むフォーラムエンジニアリングは、2011年に創業30周年を迎える歴史ある企業だ。全国20拠点で3000人の社員を擁し、多くの女性が営業の最前線で活躍していることも特徴の1つ。2010年7月には、住所と通勤時間を入力するだけで、希望条件の通勤圏内にある事業所情報や仕事情報を検索できる技術者転職支援サイト「エンジニアピット」をオープンしたばかりだ。

 同社では「最先端と絆」をキーワードに先進的な取り組みを行っている。営業車に電気自動車を採用したり、業務用途でiPhoneを導入したりといった施策はその一環といえるだろう。

 業務用途のiPhone 3G 150台の導入を担当した、同社システム企画課シニアマネージャーの菅氏に、導入の背景や活用方法を聞いた。

ITmedia(聞き手:手塚康夫) どのような経緯で、iPhoneを導入したのでしょうか。

菅氏 NIコンサルティングの日報システム「顧客深耕日報」を導入したことがきっかけでした。日報システムを現場で入力できる端末がiPhoneだったのです。導入の目的としては「行動管理」と「情報武装」が挙げられます。

 まず、行動管理ですが、弊社の営業スタッフは1人あたり約20社の顧客を担当しており、同時にすべてのお客様に対して定期的にアプローチすることが求められています。しかし、お客様の状況は業績で左右され、リアルタイムに変わるのでアクションを起こすタイミングの予測がとても難しいのです。こうした状況下で業績を向上させるためには、iPhoneの機能をフル活用して、お客様と限られた時間の中で密にコンタクトを取る必要がありました。弊社では、日報システム「顧客深耕日報」を利用することにより、営業スタッフが日報上で訪問する企業リストを作成し、毎週お客様へ効率的に訪問する仕組みを実現しています。

 さらにiPhoneは通常の携帯電話とは異なり、スマートフォンならではの優れたブラウザ機能や、さまざまなアプリケーションを活用して、必要な情報に素早くアクセスできます。これが情報武装の観点から見たメリットといえるでしょう。例えば、移動中にすきまの時間を利用して、これから訪問するお客様に関する情報を仕入れて、情報武装した状態でビジネスに臨む――といったことが可能になったのです。

 また、コストダウンが可能であることも、導入を決めた大きな理由の1つでした。現在の日報システムの環境を自社で全て開発しようとすると、億単位でコストが発生しますが、パッケージソフトとiPhoneを連携して活用することで、数千万レベルまでコストダウンできました。

ITmedia iPhoneで利用しているアプリケーション、ソリューションを教えてください。

菅氏 弊社では、早くからクラウド環境を取り入れており、「Google Apps」を活用しています。iPhoneでもメールはGmail、スケジュールはGoogleカレンダーを利用しています。

 営業部門では営業支援ツールの「顧客深耕日報」を採用しており、約150人の営業スタッフがiPhoneから日報を活用しています。現在、ターゲット企業として約1万部署が日報上に登録されており、社内の基幹システムとも連携しているため、非常に重要な営業資源となっています。これらのアプリケーションやソリューションにより、今やiPhoneはPCの代わりとなり、ほとんどの業務をiPhoneで遂行するスタッフが多くなりました。

ITmedia フォーラムエンジニアリング独自のiPhoneの活用方法はありますか。

菅氏 SMSの活用が挙げられます。弊社では「最先端と絆」というキーワードからも分かるように、コミュニケーションを重要視しています。社内外のコミュニケーションについては、メールを使うことが一般的かと思いますが、メールではついつい形式的な表現が多くなってしまいます。SMSでは口語に近い表現でコミュニケーションするので、形式的な表現が多いメールと比べてコミュニケーションの距離感がぐっと近くなり、いわゆる「絆」が生まれるのです。

 例えば、社内であれば役員と営業担当が直接SMSでやり取りすることがあります。社員が数千人いる会社で役員と気軽にコミュニケーションがとれる環境というのは、なかなかないのではないでしょうか。もちろん、お客様とSMSでやりとりすることで関係性を高めることも可能です。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.