「App Storeはほとんど死んだ」――UEI清水氏らが考えるスマホ時代の稼ぎ方(1/2 ページ)

» 2011年06月14日 13時37分 公開
[山田祐介,ITmedia]

 通信キャリア各社がスマートフォンに注力し、モバイルビジネスの主戦場はスマートフォンへとシフトしている。スマートフォン向けアプリビジネスでは、「マーケットで容易にアプリを配信できる」「世界を相手にビジネスができる」といった魅力が語られてきた一方、「マーケットでアプリが埋もれる」「有料コンテンツが売れない」など、ビジネスの難しさも長らく指摘されてきた。

 「ひとつ確実に言えるのが、App Storeはほとんど死んだということ」――。6月10日に開催された「Interop Tokyo 2011」で、ユビキタスエンターテインメント(UEI)の清水亮代表取締役社長と、クウジットの開発部 シニアアーキテクト、三屋光史朗氏らが「スマートフォンアプリ時代のビジネス戦略」と題した講演を行った。清水氏はアプリマーケットが置かれた厳しい状況を指摘し、その中で「小さい会社ながら億単位で稼いでいる」という同社流のビジネス戦略を説明。三屋氏は、同社が注力するユーザーの位置や行動と連動したサービスへの期待を語った。

「子ども食い」が始まったiOS――「残るのはエンターテインメント」

photo UEIの清水氏

 ユビキタスエンターテインメントは2003年8月に設立し、モバイル向けサービス/ソリューションを中心に事業を展開。2008年にiPhone向けアウトラインプロセッサ「ZeptoLiner」やノートアプリ「Zeptopad」を開発するなど、早くからスマートフォン事業に着手している。

 テクノロジーの変化の節目に起こる「ソフトがない状態」を先取りし、サービスを放つのが清水氏の考える成功の1要素。そのため、同社ではR&D活動に力を入れており、これまでも研究成果を生かしたプロダクトを展開してきた。例えばZeptopadは、iPhone登場以前から着目していたマルチタッチUIを積極的に取り入れたことで、App Storeのトップセールスにランクインしつづけるなど好評を博したという。さらにこの春には、大学生を中心とした研究開発部門「秋葉原リサーチセンター」(ARC)も立ち上げ、さらに活動を推進する考えだ。


photo タッチパネルならではのUIをいち早く取り入れた「Zeptopad」

 先端技術を追いかけつつ、長年スマートフォンのアプリビジネスを見てきた清水氏だが、その現状に対しては厳しい考えを示す。「ひとつ確実に言えるのが、App Storeはほとんど死んだということ」(清水氏)。「iOSはiOS 4でほとんど進化が止まっている。次に起こるのはカニバリズムというか、子ども食いのような考え方。自分たちのマーケットにある“美味しそうなアプリ”の機能をOSに取り組んでいく」(清水氏)

 6月のWWDC(Appleの開発者会議)で発表されたiOS 5には、ロック画面から素早く利用できるカメラ機能やTwitter連携機能、クラウドを使ったコンテンツ共有機能などが追加された。こうした新機能は、例えば高速起動を売りにするカメラアプリや各種のTwitterアプリ、Dropboxなどのクラウドアプリを不要にする要因になりかねない。人気の高いサービスがAppleに“回収”されてしまう状況は、サードパーティーにとって厳しいものだ。

 この事態は清水氏にとって既視感のあるものでもある。「昔はマイクロソフトがやっていたこと。CD-Rの書き込みソフトが売れていた時に、それがOSの機能として組み込まれた」(清水氏)。さらに、「生き残るのはゲームもしくはエンターテインメントだけだと思う」(清水氏)とも。「現状では(UEIは)あまりエンターテインメントをやっていないが、最後に残るのはエンターテインメントだと思っている。社名にもその思いがこもっている」(清水氏)

 さらに、iOSの対抗馬として期待されているAndroidに対しても、「Androidマーケットはいまだに壊れている」と清水氏は悲観的だ。「有料アプリの多くが100ダウンロードに満たないという調査もある。これでは学生のバイト代にしかならない」(清水氏)。

 Androidマーケットは登場した当初、ランキングをはじめとする回遊性向上の仕組みがなかったり、24時間返品ができるためにコンテンツの“タダ読み”が成立してしまったりと、いくつかの課題を抱えていた。Googleはマーケットを徐々に改善しているものの、清水氏にとっては積極的にアプリを配信したい状況にないようだ。

 同氏はむしろ、通信キャリアが用意する独自マーケットに期待を寄せている。「今年の年末から来年にかけて、“日の丸キャリア”が独自の課金手段などを整備した“正しいAndroidマーケット”を用意してくれることに期待する」(清水氏)

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