Google Walletは“広告”のため――キーパーソンが語る海外NFC事情Open Mobile Summit 2011 San Francisco(1/2 ページ)

» 2011年11月28日 18時22分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 急速に普及し始めたスマートフォンはモバイル業界の勢力図を大きく塗り替え、新たな市場やビジネスモデルを次々と生み出してきた。世界的にスマートフォンが普及期に入った今、それを土台としたトレンドとして、ソーシャルとコマースが注目を集めている。

 11月初旬に米サンフランシスコで開催されたモバイル系イベント「Open Mobile Summit Sun Francisco 2011」のモバイル決済をテーマとしたパネルに、NFCを活用した決済サービス「Google Wallet」を推進するGoogle、デジタル決済大手のPayPal、クレジットカードのVisa、金融機関のCiti Groupの4社のキーパーソンが登場し、意見を戦わせた。

Photo 左からGoogleのオサマ・ベディエ(Osama Badier)氏、Visaのビル・ガジャ(Bill Gadja)氏、Citiのディクソン・チュー(Dickson Chu)氏、PayPalのデビッド・マーカス(David Marcus)氏

モバイル決済は当面乱立状態?――火花を散らすGoogleとPayPal

 おサイフケータイが普及している日本と違い、世界のほとんどの国では携帯電話を利用した決済サービスはこれからスタートする。この市場でのデファクトスタンダードを目指すGoogleは、5月にNFCを利用したGoogle Walletを発表。9月に米国でサービスを立ち上げた

 対するPayPalもモバイル決済を強化しており、PayPalアカウントの所有者がモバイル端末を利用して決済できるソリューションや、端末のNFC機能を利用してユーザー間で送金できるAndroidアプリなどの開発を進めている。

 Googleで決済分野を率いるバイスプレジデントのオサマ・ベディエ(Osama Badier)氏は、「(Google Walletを含む)複数の“ウォレット”(=財布、決済)システムが出てくるだろう。これは利用者にとっても業界にとってもよいこと」という見方を示し、自社の狙いについては、「Googleのビジネスは広告」と言い切る。顧客である小売店は、「これまではオンラインでのセールスを狙ったオンライン広告を展開していたが、端末を利用した決済が“リアルの場”にまで広がれば、オフラインを含むあらゆるセールスを狙ってオンライン広告が打てるようになる。広告投資効果が改善する」と、Google Walletのメリットを説明した。「われわれは広告を変えた。今後も変えていく」とベディエ氏。なお、同氏は2011年はじめにGoogleに移籍するまでPayPalのモバイル決済チームに所属しており、PayPalはベディエ氏とGoogleに移籍したもう1人の元社員を、企業秘密の不正利用で提訴している。

 一方、PayPalが買収したZongの元CEOで、現在はPayPalのモバイル決済部門を率いるデビッド・マーカス(David Marcus)氏は、「さまざまなものが出てくるだろうが、ユーザーは最終的には1つを選ぶ」と見る。そして、(決済機能をモバイルに移すGoogleとは異なり)クラウドで決済サービスを提供するPayPalのソリューションの場合、オンライン、オフライン、モバイルの3つをカバーできる点を強調した。PayPalにはすでに1億人のアクティブユーザーがおり、「今後はアカウント――つまり『ウォレット』保有者に、いつでもどこでも決済サービスを利用できるようにしていくことが課題」と述べ、スタートしたばかりのGoogleを大きくリードしている点を強調した。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年06月14日 更新
  1. KDDIのpovo、「つながらない」に悩む楽天ユーザーを本気で救済開始か Xで意味深投稿 (2026年06月13日)
  2. シャープが「AQUOS」を中高価格帯へシフトする理由 メモリ高騰が直撃するエントリースマホの限界 (2026年06月13日)
  3. DAZNのW杯「月額980円」表示に落とし穴 ユーザーを困惑させた2つの“ダークパターン”とは (2026年06月12日)
  4. PayPayの誤送金トラブル、なぜ「強制キャンセル」できない? 広報に聞いた理由と自衛策 (2026年06月13日)
  5. スタバ長時間滞在、なぜ「一律ルール」設けない? “スマホでゲーム、PCで仕事も…広報見解は (2026年06月12日)
  6. ゲオの“今だけ”スマホ買い取り額UP、実はうそ? 消費者庁が厳しい目 (2026年06月12日)
  7. 「JALモバイル powered by ahamo」のお得度を検証 本家ahamoやIIJmio版とは何が違う? (2026年06月12日)
  8. 新エントリースマホ「arrows We3」発表 コンパクトな高耐久ボディーに5000mAhバッテリーや新カメラを搭載 (2026年06月11日)
  9. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  10. 追加料金なしで海外データ通信が使える快適さ そして外国で「シャッター音」を忘れて羽根を伸ばすスマホ (2026年06月12日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー