バラバラの業務データ、統合するとここまで便利に――データベースとiPadが変える営業スタイル(1/2 ページ)

» 2012年01月20日 11時00分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
Photo バルーンヘルプ 代表取締役の浜地直美氏

 「マンションのライトをLEDに変えませんか」――。そういってマンション管理組合を訪ねてきた営業スタッフは、Excelベースのシートに情報を書き入れながら、LEDに変えることのメリットを説明したという。

 マンション管理組合の組合長を務める浜地氏は、営業スタッフの説明を聞きながら、こう思っていた。「iPadとデータベースソフトを使えば、このExcelデータをもとに、現場で入力したデータがそのまま本部のシステムに反映されるシステムをつくれるのに」――。

 これが、iPadを活用した営業支援ソリューション「Let's LED Go!」が生まれたきっかけだったと、バルーンヘルプ 代表取締役の浜地直美氏は振り返る。

業務システムのニーズに変化の兆し

 バルーンヘルプは、データベースソフト「FileMaker Pro」を活用した業務用システムの開発を手がける企業。企業が持つさまざまな情報を連携させ、必要な情報を集約したデータを自動で生成できるシステムを開発しており、企業のニーズをくんださまざまなソリューションを構築してきた。

 それは例えば、バラバラに管理していた商品の売上情報と顧客情報、地図情報を連携させ、売上伝票を自動で発行するシステムや、著者のデータと作品の管理情報から、著作料の支払いリストを作成するシステムなど、さまざまだ。

 こうした業務システムのニーズに、1年ほど前から変化の兆しが見え始めたと浜地氏。iPadが登場し、FileMaker ProのデータをiPhoneやiPadで扱えるようにするアプリ「FileMaker Go」がリリースされたことから、これまで机にしばられていた業務を「出先ですませたい」という考える企業が増えてきたのだ。

 さらに、システム構築の相談にくる企業の目的も変わってきたという。「すでにFileMaker Proで構築したシステムをiPadで扱えるようにしたいというのではなく、“iPadを導入したから、何か業務を効率化するソリューションを提案してください”という問い合わせが増えてきたのです」(浜地氏)

 冒頭のLEDの営業スタッフの訪問を受けたのは、ちょうどこのように、業務システムに求められるものが変わりはじめた矢先だったという。

現場の調査データをiPad 2で入力、帰社後の手間を軽減

 この営業スタッフの目的は、マンションに設置されているライトをLEDに変えてもらうことだ。そしてマンションの管理組合を説得するために、マンションにいくつライトがあるかを調べ、(1)それぞれをLEDに変えた場合の設備投資がどの程度になるか (2)電気代がどれくらい安くなるか (3)設備投資分のコストはどれくらいの期間で償却できるか――といったおおまかな見積もりデータを見せることになる。

 こうしたデータをはじき出すために営業スタッフが持っている資料は、マンションにどんなライトがいくつあるかを調べるためのチェックシートや、どのLEDに置き換えるかを調べるための製品リスト、営業にまわるマンション情報のリストなど。これらのデータはExcelで作成されており、営業スタッフは現場でライトの数や種類を紙のチェックリストに書き込み、会社に戻ってから撮った写真やデータをExcelに反映させた上で、ほかのデータとすりあわせて見積提案資料を作成していた。

 これを見た浜地氏が考案したのが、企業が持っている各種のLED関連情報をFileMaker Pro上で連携させ、自動で見積提案資料を生成できるようにする「Let's LED Go!」というシステムだ。

 これまで別々のExcelシートで管理していた現場のチェックシートやLEDの製品リスト、価格表、マンション情報などを統合したデータベースを本部のシステムとして開発。現場のチェックに必要な要素をまとめた軽量なデータベースを、iPadに入れて持ち出せるようにした。

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