モバイルワーク時代、KDDIの強みはあらゆるレイヤーに対応できる総合力――KDDIの東海林氏スマートフォン&モバイルEXPO(2/2 ページ)

» 2012年05月17日 22時57分 公開
[柴田克己,ITmedia]
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KDDIの総合力が可能にしたモバイルワークスタイル事例

 東海林氏は、KDDIのソリューションによるスマートデバイスの導入事例として「さわやか信用金庫」と「プレミアネットワーク」の2社を紹介した。

 さわやか信用金庫では従来、ヘビーデューティ向けのフィーチャーフォン(E03CA)による渉外システムを採用していたという。ただ、最近では画面の小ささや処理スピードの遅さが懸案事項になっており、情報の視認性と操作性の向上、さらに処理速度の高速化を図るためにスマートフォン(IS11CA)の導入を決めた。

Photo さわやか信用金庫での導入事例。セキュリティに関してKDDI独自の機能を実装した

 金融機関では特に顧客情報の保護をはじめとするセキュリティの確保が重視されるが、KDDIが独自で提供するAndroid向けセキュリティサービス「KDDI 3LM Security」の信頼性が高く、DMA Packet Access(CPA)による閉域網へのリモートアクセスも利用できたこどから導入はスムーズだったという。「フィーチャーフォンの安全性を継承し、スマートフォンでも安心して使ってもらえるサービスとして提供した」(東海林氏)。

 もう1つの事例であるプレミアネットワークは、自動車事故や故障が発生した場合に作業車両を手配するロードサービスを提供している。同社では従来、電話での配車作業を行っており、現場付近の作業車両に対する出動要請に時間がかかっていたほか、口頭伝達による人的ミスが発生しやすいといった課題を抱えていた。同社では、この課題の解決のため、ヘビーデューティ向けタブレット(TOUGH ETBW11AA)を業務端末として利用する配車業務システムを導入したという。

 同社では新システムの導入に合わせて、手配業務のプロセスそのものも刷新。電話での問い合わせをやめ、現場付近で待機している車両に作業内容と場所を一斉送信し、出動可能な車両の中から最適な車両を選定して作業依頼を行えるようにした。これにより、従来のプロセスでは5分かかっていた手配時間を、約1分に短縮することができたとする。

 この配車システムの構築にあたり、KDDIでは遅延が少なく、信頼性の高いIPプッシュシステムを独自に開発。これにより、配車を依頼するデータの送信完了時間を、平均約5秒から約1秒程度にまで短縮した。このシステムはフィーチャーフォン時代にもあったものだが「タブレット端末での利用を前提に、改めて最適化を図った」(東海林氏)という。

Photo プレミアネットワークスの事例では、リアルタイム性の高いIPプッシュシステムを実装

業務分野で役立つ新技術を開発

 こうした事例を示しつつ、東海林氏は「業務で必要となる要件に最適なソリューションをトータルで提供できる点がKDDIの強みである」と強調する。また、さらにさまざまな業務分野に適用できる技術開発の例として、「VistaFinder Mx」と「Webブラウザ同期ソリューション(仮称)」を紹介した。

 VistaFinder Mxは、スマートフォンやタブレット端末からのHDライブ伝送を行える映像配信システムで、すでに一部の放送局などで実験的な採用が始まっている。放送以外での応用例としては、災害現場や医療現場の緊急レポート作成、建設現場での状況報告などが挙げられる。

 また、現在、KDDI研究所が特許出願中のWebブラウザ同期ソリューションは、既存のWebサイトに、ユーザー側でクライアントなどを導入する必要なく、オンラインサポート機能を実装できるものだ。従来の画面同期ソリューションと異なり、サポートセンターとユーザーの「ブラウザ操作」を同期させ、サポート担当者がユーザーの操作を代行できる点が特長だという。

Photo 特許出願中の「Webブラウザ同期ソリューション(仮称)」

 「コマースサイトでの買い物支援に加え、保険や住宅販売、遠隔での投薬指導、自動車販売などでの対面営業など、さまざまな応用シーンが考えられる。今後のスマートデバイスやネットワーク環境の進展に合わせて、商用化を検討している」(東海林氏)

 東海林氏は、「モバイルワークスタイルのさらなる進展のためには、インフラ、デバイス、ネットワーク、プラットフォーム、アプリケーションといったあらゆるレイヤーにわたって、業務に必要な要件をトータルソリューションとして提供できることがさらに重要になってくる。KDDIでは、今後もそのワンストップサービスを提供することで、ユーザーにおける業務効率化のお役に立ちたい」と述べ、講演を締めくくった。

Photo KDDIの強みは、デバイスからインフラまで、あらゆるレイヤーにわたるトータルソリューションを提供できる点だという
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