「auスマートパス」加入率が日本一 スマホ激戦区の中部地区で受け入れられる3M戦略:KDDI中部(1/2 ページ)

» 2012年07月13日 22時45分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
photo KDDIコンシューマ中部支社長の對馬圭介氏

 全国的に携帯電話市場のスマートフォン化が進むなか、特にスマホ普及率が高く激戦区として関係者の注目を集めている地域がある。それが名古屋と静岡を擁する中部・東海地区だ。

 このエリアでは、ボーダフォンやJ-フォンのころから伝統的にソフトバンクモバイルが強く、そのためiPhoneの普及率も高いといわれている。全国平均以上の“iPhone1人勝ち”の構図に変化が生じたのは、2011年10年にKDDIがiPhone 4Sを発売してから。それまではエリア内の純増シェアで3位になることが多かったKDDIが、4S発売後はソフトバンクに次ぐ純増数をコンスタントに獲得している。そんなスマホ激戦区で陣頭指揮を執る、KDDIコンシューマ中部支社長の對馬圭介氏に話を聞いた。

 KDDIの中部エリアとは、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県の5県を指す。5県の合計人口は約1715万人と、東京・大阪に次ぐ商圏規模だ。この中部エリアのKDDIの累計契約数は、6月末時点で約414万2400契約。しかしソフトバンクは東海エリアが岐阜、静岡、愛知、三重の4県で、累計契約数が413万5200契約。東海地方では今でもソフトバンクの強さが光る。

 對馬氏も「J-フォンやデジタルツーカーのころから(ソフトバンクモバイルの)シェアが高い地区。それだけに設備投資も集中していたようで、エリアの広さに対する不満などもあまり聞かれなかった」と、ライバルの強さを認める。

 さらに、「画期的な割賦販売を導入したこと、またiPhoneを先んじて発売したことが、もともとの高いシェアの東海エリアで背中を押す格好になったのでは」(對馬氏)と、販売方法や商品力で“先手”を取られたと振り返る。だがそれが今では、KDDIに利する面もあるという。

 「先行してiPhoneを市場に浸透させてもらったおかげか、KDDIの中でも中部エリアはiPhone 4Sの販売比率が高い。iPhone 3Gや3GSから買い換えるユーザーが、エリアに加えてつながりやすさを比較して、『よくつながるほうを』とau版iPhone 4Sを選んでいただいている」(對馬氏)

photo 名古屋市内のある販売店で使われていたPOP

 それだけに對馬氏は、iPhone販売で先行するソフトバンクの“プラチナバンド”を多用したマーケティングに警戒感を隠さない。「auはすでに800MHzのプラチナバンドを使っており、つながりやすさへの評価も高い。まるでソフトバンクのプラチナバンド“だけ”がすばらしいものと勘違いされてはいけないですから、この点については店頭でもきちっと説明するよう指示しています。ただ、正確な情報をお伝えできるのであれば、これは良い機会かもしれないですね」(對馬氏)

関西とは違うシビアなコスト目線

 中部エリアのユーザー像について對馬氏は、「特に名古屋と静岡は物作りの街。関西とは違ったお金へのシビアさがある」と話す。

 「関西だと毎月がいくらか、使い続けるといくらかが重視される。一方中部では、ランニングコストよりもイニシャルコストを重視する印象。新しい物を買うとき、最初にいくらかかるのか、が勝負になる。だから(ソフトバンクが)割賦販売を始めたとき、販売奨励金をかなり積んで0円で配るように販売して、エリア内のシェアを伸ばした」(對馬氏)

 また、新しいもの好きという面もあるため、販売奨励金制度にしろ割賦販売制度にしろ、携帯電話やスマートフォンは0円に近い金額で使い始めるユーザーが多かった。「いろいろと安く使い始めてみて、良いと思ったもの、価値を感じたものは維持費が少々かかっても使い続ける傾向があると思います。信頼感を得ることができれば、長く使っていだくユーザーが多い」という。

 それを最も表しているのが、「auスマートパス」のセット率の高さだ。具体的な数値は明かしてもらえなかったが、中部地区はKDDI全体の中でもauスマートパスに加入するユーザーの比率が多いという。

 「auスマートパスのスタート直後から多くの問い合わせがあり、またセットする割合がずば抜けて多かった。今では追いついてきた別エリアもありますが、まだまだ全国でauスマートパス比率はトップです。月額390円でいろいろなアプリとサービスを試せる点が、価値を重視する中部のユーザーには受けているのでは」(對馬氏)

ユーザーの流動を止める「auスマートバリュー」

photo

 またユーザー動向で特徴的なのが、キャリアを乗り換える際にいったん解約して新規契約するケースが多いことだという。對馬氏は個人的な見解としつつも、「携帯電話の番号が変わることについて、おそらく全国で一番抵抗がないエリア」と分析する。これも、シェア2位と3位のキャリアが拮抗してきた歴史的な背景があるためだ。

 「MNP開始以前からキャリア間の乗り換えが多く、思いついたら別キャリアの端末を購入して、今の回線を解約するという動きが多かった。直営店のau NAGOYAで解約したユーザーに理由を聞くと、今でも『別キャリアのケータイを契約してきたから』という声が多い。ということはMNPではない。電話番号が変わることについては『連絡をすれば済むこと』と気にとめる様子がない」(對馬氏)

 もちろんMNP利用も多いが、それだけでは測れない流動率の高さがこのエリアの特徴だと對馬氏は話す。そのためかつては、解約率が「KDDIの中ではトップクラスに高かった。今では落ち着いてきたが、それでも全国平均よりも高い。おそらく、他キャリアでもこの地域の解約率は高いのでは」(對馬氏)と振り返る。

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