KDDI中部の高い解約率は、スマートフォンのラインアップを強化し、またiPhone 4Sを発売した2011年後半から低下した。さらに、3月から「auスマートバリュー」がスタートしたことで、今はかなり落ち着いてきたという。auスマートバリューはFTTHやCATVなどの固定回線サービスと組み合わせると月額料金を割り引くサービスで、KDDIの中でも固定ブロードバンドサービスの激戦区である関西エリアでの利用が多い。
KDDIには中部エリアに中部テレコミュニケーション(CTC)というグループ企業があり、CTCが提供するFTTHサービスの「コミュファ光」は50万回線を超える。さらに地域ごとのCATVも数多くあり、エリア内で15社の固定通信サービスでauスマートバリューが利用できる。そのため、「関西に次いでauスマートバリューの利用率が高い。これは、CTCという柱になる固定サービスがあることに加え、(中部エリアは)個人世帯よりも家族で住む世帯が多いことも関係しているのでは」(對馬氏)と話す。
高いauスマートパスのセット率と、加速するauスマートバリューの普及率。KDDIが打ち出した「3M戦略」に沿う形で成長するKDDI中部エリアについて、對馬氏は「3M戦略を最も良い形で実現しているのが中部エリアだと思う」と自信を見せた。
さらにこのエリアの強力な武器となるのが、au NAGOYAだ。コンシューマ中部支社の直轄だけに、前述の解約理由などユーザーの生の声をダイレクトに入手。それを生かした新しい販売促進の形も迅速に発信できる。これは直営店だからできる面があると話す。
「あるauショップからのフィードバックを他店に紹介しても、『違う代理店の情報だから』と店舗で優先度が下げられることがある。しかしau NAGOYAからのフィードバックであれば、KDDIのオフィシャルな情報として最優先で実行してもらえる。スマートフォンの販売などではどんな細かいフィードバックでも重要になり、また店頭対応の品質も均一にしなくてはならない。au NAGOYAの価値はこうしたことができる点にある」(對馬氏)
実際に、au NAGOYAや周囲のauショップからはじまり、全国に広がった販売ノウハウも多いという。なぜKDDIが名古屋に旗艦店を設置したのか? スマホ激戦区の当事者を取材することで、その理由の一端が垣間見えた。
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