出先の受注、社内で即座に作業へ――ワークキャムの「多品種小ロット生産」「短納期」を支えるiPadとFileMaker(1/2 ページ)

» 2012年10月18日 14時03分 公開
[柴田克己,ITmedia]
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 生鮮食品のトレーや総菜のパッケージ、飲み物のボトル、おもちゃを封入するブリスターパック――。こうした商品用パッケージのデザインから金型開発、試作品の製作までを一手に引き受けているのが、東京都中央区に本社を置くワークキャムだ。

 同社の強みは、小ロットでも引き受けるなど顧客の要求に柔軟に対応できる点と、「当日納品も可能」という納期の短さ。デザインや寸法などの頻繁な変更にも素早く対応し、クライアントの要望にあった高品質なパッケージを仕上げることから、注文が引きも切らないという。

 日々、さまざまなパッケージを届けている同社の現場を支えているのが、データベースソフトウェアの「FileMakerシリーズ」とiPad。自社の基幹業務アプリをFileMaker Proで自社開発しており、作業の現場ではスタッフがiPadを通じて業務システムにアクセスしている。

 FileMaker ProとiPadの組み合わせは、業務の効率化にどのように貢献しているのか。同社代表取締役社長の野崎幸一朗氏とシステム管理を担当する飛田茂克氏に聞いた。

機動性の高い事業展開のためにアプリを自社開発

 ワークキャムの業務は、いわゆる「試作品」や「サンプル」、および「金型」の製造販売である。多くの消費者が、日々、スーパーやコンビニエンスストアなどの量販店で目にしている食料品、日用品は、製造メーカーによって大量生産され、パッケージングされて店頭に並んでいる。

 これらの商品が大量生産される前の段階では、ごく少数の「試作品」が作成され、それを元に製造、販売、営業、宣伝などに関するさまざまな施策が同時進行することになる。もちろん、この段階では、パッケージについても、代替案も含めたさまざまな形やデザインの試作品が作られ、場合によっては部分的な変更などが加わることもある。

 ワークキャムでは、主に商品を封入するブリスターパック、スーパーやコンビニエンスストアの総菜が収められる食材トレー、化粧品や洗剤のボトル、パッケージの外装などの試作品を製作する業務を手がけている。また、大量生産に必要となる金型の企画、CAD/CAMによる設計、販売なども請け負っている。

Photo ブリスターパックや食品トレー、化粧品のボトルなど、さまざまな製品パッケージの設計から金型開発、試作品の作成までをトータルでサポートする

 野崎氏によれば、同社の強みは「営業からCAD/CAMによる設計、モデリング、型の削りだしと加工(マシニング)、成形、さらに出来上がった試作品を実際に売り場に置いたイメージを確認するところまで、1つのビルの中で完結できる設備を整えている点」だという。

 現在、同社で受注する案件は1カ月あたり約300テーマにのぼり、試作品としての性格上、納入は受注から1日から3日という短期になるケースが多い。小ロットの製品を、クライアントのさまざまな要望に応じて製作し、短期間で納入するという同社の強みを最大限に発揮するためには、受注と生産に関するあらゆるデータをデジタル化し、迅速かつ正確に共有できるシステムが必要不可欠なのだ。野崎氏は「案件をいちいち紙に出力し、対面で会議をやるようなペースでは、とても月に300テーマは処理できない」と話す。

Photo 設計からモデリング、削りだし、加工、成形までをトータルで請け負うことが可能な設備を保有している

Photo 短期間での対応を求められることから、業務の効率化は重要なテーマだという

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