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» 2012年10月31日 22時59分 UPDATE

ソフトバンクの上期決算は増収増益、設備投資積み増しでネットワーク強化へ

上期を増収増益で折り返したソフトバンク。弱点といわれたエリア展開は改善が進んでおり、下期に876億、2013年度に1000億円を追加で設備投資に充て、さらなるネットワークの改善を図る。

[後藤祥子,ITmedia]
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 ソフトバンクは10月31日、2012年度第2四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比3%増の1兆5861円、営業利益は8%増の4027億円で増収増益を達成。営業利益は7期連続で過去最高益となり、同社代表取締役社長の孫正義氏は「通期目標の営業利益7000億円を着実に上回ることができる」と自信を見せた。

 好調なモバイル事業が業績を支えており、9月21日から販売を開始したiPhone 5も「ばっちり売れている」(孫氏)という。テザリングで先行し、バッテリーの持ちのよさやネットワーク品質の高さをアピールするau版iPhone5との競争については「週を追うごとに圧勝してきているのが、実際の数値として出てきている」(同)と胸を張る。出だしは苦戦したものの、新モデルへの乗り換えにかかるコストを抑えられる下取りサービスや、テザリング対応の前倒しなどがユーザーに浸透したことから、現在は巻き返しているようだ。

Photo ソフトバンク版iPhone 5の販売数がau版を上回っていることを示す外部調査のデータもあるという

 弱点といわれていたネットワーク展開については引き続き改善を進めており、プラチナバンドの基地局は予定より早いペースで完成しつつあると孫氏。東名阪エリアで行った調査では、接続率の比較でNTTドコモを追い抜いたというデータも上がってきており、現在、これらのデータを社内で検証しているという。

 同社では、「予定よりも速くプラチナバンドの効果が出ている」(孫氏)ことや、上期に計画以上の利益を出せたことなどから基地局計画を前倒しで進める方針を固め、設備投資額を下期に876億円、2013年度に1000億円を積み増すことも明らかにした。これにより累計投資額は、2012年度に7000億円、2013年度に5500億円になる。

Photo 設備投資を積み増し、エリア展開を加速させる

 モバイル通信事業では、契約数と利用者1人あたりの平均収入(ARPU)を掛け合わせたものが利益の源泉となるが、孫氏によるとソフトバンクモバイルはトータルの契約数が伸びており、ARPUも一定水準を保っていることから、継続して売上と営業利益が伸びているという。また、昨年はKDDIが新たにiPhoneを扱うことになったために、多額の販促費を投入し、他社より安い料金設定にしていたが、今年は特別な販促費を使うこともなく、料金も他社と同様の水準に設定している。ユーザーの拡大につながるネットワークの設備投資も強化していることから、今後もARPUと契約数の増加が見込めると孫氏は予測する。

 さらに、家族に渡したお下がりのiPhoneを安価な月額料金で利用できる「iPhone 家族無料キャンペーン」で将来のユーザーを増やす種まきもできたといい、「細かな工夫のノウハウが貯まってきた」ことも今後の好材料として挙げている。

Sprintには「高い成長ポテンシャルがある」

 今後のさらなる成長に向けたカギとなるのが、海外戦略であり、先に買収した米Sprint Nextelについて孫氏は、高い成長ポテンシャルに期待を寄せている。

 Sprint Nextelは7〜9月期の決算で7億6700万ドルの赤字を計上しているが、これは2013年の6月にサービスを終了するNextelの加速償却が影響しているためで、その影響を差し引くと営業利益は黒字になり、純利益も膨大なマイナスにはならないという。

 利益の拡大につながる契約数とARPUについても、Sprintのみでみると増加率が上がっており、モバイルサービスの売上高も順調に増えている。ソフトバンクグループの経営参画のタイミングは、「(業績が)底を打ってリバウンドし始めた直後という絶妙なタイミング」(孫氏)であり、反転攻勢に向けた取り組みを強化する考えだ。

Photo 加速償却後の業績
Photo 加速償却前の業績

世界の強豪と戦えないと、国内でもダメになる

 Sprint Nextelの買収については、“なぜ新たな借金を背負ってまでリスクを冒すのか”という声も挙がっているが、孫氏は「世界で取り残され、世界の強豪と戦える体力を持てなくなると、国内でもダメになる」と指摘。企業は継続して健全な利益を出して初めて、最先端の設備投資ができ、その結果として顧客にサービスを提供できるという考えを示した。

 今やモバイル市場は、端末もネットワークも世界標準のものが主流となっており、「その中で規模の勝負をやり続けることが、国内で勝つ源泉になり、日米の顧客に最も優れたネットワークや端末、革新的なサービスを継続して提供することにつながる」と孫氏。「クレイジーで危険なことは認識しているが、敢えてリスクを取りに行く」と意気込んだ。

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