URLを変えずにスマホもタブレットも最適な表示に――CEOに聞く「MOBIFY」の設計思想

» 2012年11月12日 15時38分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
Photo ドーモ モバイル事業部の山崎明日花氏(画面=左)とMOBIFY CEOのイゴール・ファレッスキー氏

 今やWebサイトのスマートデバイス対応は、待ったなしの状況だ。スマートフォンは一般層にも広く普及し始めており、この秋、相次いで発表された7インチタブレットがユーザーのすそ野を広げつつある。対応の遅れは顧客離れにつながりかねず、ECサイトは売上に影響する可能性もあるため、対応を急ぐ企業が増えている。

 しかし、サイトのスマートデバイス対応には、さまざまな課題がある。対応させるための手法には、モバイル専用サイトの構築から自動変換ツールの活用、HTML5の採用、CMSの活用などさまざまなものがあるが、それぞれに一長一短があり選ぶのは難しい。また、厳しい経済環境が続く中では、いかに導入・運用コストを抑えられるかも重要な問題だ。

 そんな中、PCサイトと同じURLのままスマートフォンやタブレット端末に最適化したサイトを構築できることから注目を集めているのが、ドーモのクラウド型サイト自動変換サービス「Domobi」だ。

 Domobiは、PCサイトの資産を生かしながら、スマートフォンやタブレット端末に最適化したサイトを構築できるASP型のサイト変換サービス。さまざまなスマートデバイスの画面サイズに応じて最適なデザインを設定できるので、“タブレット向けのデザインはスマートフォン向けの表示を拡大しただけ”というおざなりな対応を避けられる。また、最初の設定を済ませると、あとはベースとなるPCサイトのコンテンツを更新すれば、その更新情報がスマートフォンやタブレット向けサイトに反映されるので、運用の手間を軽減できるのも強みの1つだ。

 これらの機能は、サイト変換プラットフォームとして採用している「MOBIFY」の機能によるもの。MOBIFYは、レスポンシブWebデザインの手法に加MOBIFYの変換/クラウド技術を組み合わせたアダプティブWebデザイン方式のサービスで、多大なコストや手間をかけずに導入・運用できるのが特徴だ。

 海外で雑誌「Wired」やVOUGE、米Starbucks、BOSCHといった大手サイトの採用実績があるMOBIFYの開発を手がけるMOBIFY CEOのイゴール・ファレッスキー氏に、サービスの特徴と競合サービスに対する強みについて聞いた。

Photo MOBIFYのCEOを務めるイゴール・ファレッスキー氏

――ITmedia 日本ではこの1年、一般層へのスマートフォンの普及が一気に進み、Webサイトをスマートデバイスに最適化させる需要が高まっています。北米市場はどのような動きを見せているのでしょうか。

イゴール・ファレッスキー氏(以下、ファレッスキー氏) 5年前からモバイルサイト向けソリューションの開発を手がけていますが、iPhoneやAndroid端末の普及が加速し始めた2年前くらいから、サイト変換の需要が高まってきました。北米では現在、eコマース利用の約4割がスマートデバイスを通じて行われているという調査結果もあるほどで、この傾向は今後、さらに顕著になると思っています。

―― サイト変換エンジンサービスを開発する上で、どのような点を重要視していますか。また、それを製品にどのような形で反映させていますか。

ファレッスキー氏 “いかに使いやすいサービスを提供できるか”という視点に立って開発しています。サイト開発者にとって重要なのは、ツールの扱いやすさと変換後のサイトの仕上がりだと考えており、ニーズに合わせて変換エンジンに磨きをかけています。

 例えば変換サービスの中には、ボタンを押せば一括変換するというように、自動化プロセスにフォーカスしているものもあります。しかしその場合には、例えば4インチのスマートフォンと9インチのタブレット端末が、同じUIで変換されてしまうなど、“全自動ながら画一的なサイト”になりがちです。

 MOBIFYは最初の設定は必要ですが、それさえ済めば、PCサイトをベースに、4インチ、7インチ、9インチ端末のそれぞれの画面サイズに合ったよりよいデザインに自動で変換できます。

 現在、Web管理者が最初に手動で設定するところを、簡単にするための手法を検討しているところです。Apple製品のように、直感的に操作できる製品にしたいですね。

 もう1つは、すでに“モバイルファースト”の準備ができている点です。MOBIFYは、PCサイトからスマートデバイスサイトに変換できるだけでなく、スマートフォンサイトをタブレット端末やPC向けサイトに変換したりといったように、どのデバイスからどのデバイス向けにも変換できるのが特徴です。例えば7インチタブレット向けのサイトをPC向けに変換したり、PCサイトを4インチのスマートフォン向けに変換したりといった具合です。

 今はPCサイトがベースになるケースがほとんどですが、今後はモバイルサイトを先に立ち上げるようなケースも増えると予測しており、すでにこうしたニーズに対応できるようになっているのです。

―― サイト変換システムには、導入・運用のしやすさも求められます。MOBIFYはどのような特徴がありますか。

ファレッスキー氏 MOBIFYはPCサイトもスマートフォンサイトもタブレット向けサイトも、ベースとなるサイトと同じURLで運用できるので、SEOやSEM、ソーシャルマーケティングなどの対策を個別に行う必要がありません。また、いったんスマートデバイス向けの表示設定を済ませれば、あとはベースとなるPCサイトのコンテンツを更新すれば、スマートフォンやタブレット端末にも変更が反映されるので、更新の手間を軽減できます。

 より多くの人に使っていただくために、この夏からGitHubを通じて無料版の公開も開始しています。商用サイト向けのサービスやメンテナンス、サポートはありませんが、個人のサイトやブログなら無料版で対応できると思います。

山崎明日花氏 変換エンジンにMOBIFYを採用したサイト変換サービス「Domobi」(ドゥ・モビ)は、モバイルCDNも用意したSaaS型サービスとして提供しているので、サイトのスマートデバイス対応のためにサーバを導入する必要がありません。月額料金も8万円からと比較的安価なので、新規にスマートデバイス用サイトを構築するのに比べて、導入・運用コストはかなり抑えられるのではないでしょうか。

―― 今後、サービスのどこをブラッシュアップしていきますか。

ファレッスキー氏 変換前の設定をもっと簡単に行えるようにしたいと思っています。今は最初にタグを作成する必要がありますが、テンプレートで対応できるようにすることを考えています。スマートデバイスでサイトを読み込む際の高速化も図っていきますし、(スマートフォン/タブレット向けサイトをPC向けサイトに変換する)モバイルファーストを実現する仕組みも高度化して、さらに高品質で使いやすいものにしていきたいですね。



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