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» 2012年12月17日 10時00分 UPDATE

FileMakerの使いやすさ、どのタブレットにも――上級副社長に聞く、ファイルメーカーのマルチデバイス戦略

FileMakerシリーズの特徴は、プログラミング歴のない人でも直感的な操作で業務に最適なシステムを開発し、iPadで展開できるところ。2013年はマルチデバイス時代を見据えた展開を図っていくという。

[後藤祥子,ITmedia]
Photo FileMaker Proで開発した業務システムの一例

 iPhoneやiPadの業務活用を検討する際に、自社の業務に最適化したシステムを構築したいと思ったことはないだろうか。業務には業界ごと、企業ごとに固有のルールやしきたりがあり、本来ならそれに沿った形で運用できるシステムを開発するのがのぞましい。

 しかし、企業のニーズに最適化したiPhone/iPad向けアプリの開発には手間やコストがかかり、自社で開発する場合はプログラミングの知識を持つ人材が必要になるなど課題も多い。そのため、やむを得ず汎用的なシステムを使っている企業も少なくないはずだ。

 ファイルメーカーは、プログラミングの知識を持たない人でも、直感的な操作で比較的安価に業務システムを開発できるソリューションを提供する企業。同社の「FileMaker Pro」は、ExcelやWordを扱うような感覚で業務システムを開発できるデータベースソフトウェアで、開発したシステムをiPhoneやiPadで利用するための無料アプリ「FileMaker Go」もそろっている。

 同社によれば、在庫管理や営業支援、POSレジ、フィールド調査、カタログなど、工夫次第でさまざまな業務用途のシステムが開発できることから導入事例も増えており、費用対効果をシビアに問われる中小企業での採用も増えているという。

 FileMakerシリーズは今後、どのように進化するのか。また、企業ユーザーに対する開発支援をどのような形で提供していくのか。FileMaker上級副社長のビル・エプリング氏とシニアプロダクトマネージャのテリー・バーウィーゲン氏に聞いた。

Web分野にフォーカス、マルチデバイス対応を強化

Photo FileMaker上級副社長のビル・エプリング氏(画面=左)とシニアプロダクトマネージャのテリー・バーウィーゲン氏(画面=右)

―― 2012年は、タブレットの業務活用がより本格化した1年でした。この1年のファイルメーカーを採用する企業の広がり、利用シーンの広がりをどのように見ていますか。

ビル・エプリング氏(以下、エプリング氏) (FileMaker ProとiPadを組み合わせた業務は)検査やデータ収集、イベントの登録などといった紙ベースの業務の置きかえが主流ですが、さらなる広がりもみせています。タブレットはノートPCを使うのが難しい環境でも利用できることから、活用シーンはますます広がっています。

 ポストPC時代が到来しつつあるということから、タブレット端末には多くの期待が寄せられています。しかし、実践的な使い道を発見できずに実験を重ねて、最適な解を模索している企業も多いと聞きます。こうした企業が実証段階に達し、実際にシステムが稼働する環境に入ってくれば、ますます採用の割合が高まってくると思います。

テリー・バーウィーゲン氏(以下、バーウィーゲン氏) 2012年は、ポストPCという変化の激しい時代に入ったといえるでしょう。タブレット端末も今やiPadだけでなく、ほかのOSを搭載した端末が続々と登場しています。

 FileMakerシリーズは、開発した業務システムをiOS端末で利用するための無料のネイティブアプリとして「FileMaker Go」を用意しています。加えてデータベースソフトのFileMaker Proは、Web公開機能も備えているので、Android OSを搭載したスマートフォンやタブレットでも業務システムを利用できるのです。

 企業にはそれぞれ異なるニーズがあり、使いたいと思うデバイスもさまざまです。こうした企業のニーズに対応していけるような、柔軟な体制を整えていきたいと考えています。

―― 昨今では、“必ずしもネイティブアプリである必要はない”と考える企業も増えていますが、Webアプリにもネイティブアプリと同等の機能やパフォーマンスが求められているのも事実です。FileMaker製品は、今のHTML5やJavaScript、CSSの技術を使うことで、Webアプリでもネイティブアプリと同等の機能を実現できるのでしょうか。

Photo バーウィーゲン氏

バーウィーゲン氏 ある意味ではそういう解釈ができると思います。数年前には見えていなかった新たな技術がどんどん出てきており、これは非常にエキサイティングなことです。Webは今後、非常に重要な分野になっていくので、私たちもWebへの投資を進めていきます。

エプリング氏 Webソリューションにしてもネイティブアプリにしても、ソリューションを開発して展開するのは、中小企業にとって非常に手間やコストがかかるものです。FileMaker製品ならどちらで展開するにしても容易に開発できますし、プロトタイプ化からテスト運用、実用環境での展開までを素早く行えます。

 急速に変化していくビジネス環境においては、アプリの内容も迅速に変えていく必要があるでしょうし、そのためには現場の意見を素早く反映させるような開発体制が重要になります。こうしたニーズを満たす上でもファイルメーカーが提供している開発環境は、ほかの開発プラットフォームと比べて優位性があると思います。

―― FileMaker Proは対応ソリューションの開発ベンダーが多く、iPadに対応する業務システムを一から開発してもらうこともできれば、自社開発したシステムを拡張する際の支援を依頼することもできます。こうしたパートナー企業を増やすために、どのような取り組みをしていますか。

エプリング氏 ソリューション開発のパートナー企業を増やし、質を高めるために、さまざまな取り組みを行っています。FBA(FileMaker Business Alliance:FileMaker向けソリューションやサービスの開発企業をセールスやマーケティング面で支援するプログラム)を通じて開発者の方々をスカウトしており、参加者は増えています。また、トレーニングや認定プログラムへの投資も強化しています。

 世界の技術者たちと知識やリソースを共有できる「FileMaker Technical Network」も無料化したので、開発者の方々はさまざまな開発リソースにアクセスして新たなソリューションを開発できるでしょう。ほかにもWebセミナーやビジネスセミナーを重点的に行うなど、各方面からエコシステムの強化を図っています。

Photo エプリング氏

―― FileMaker Proは、比較的安価に導入でき、プログラミングの知識を必要とすることなく自社の業務に最適化したソリューションを開発してiPadで利用できるのが強みだと思います。しかし、昨今では安価なiPad対応のクラウド型業務ソリューションも多数登場しています。こうしたソリューションがFileMaker Proの市場を脅かすことはないのでしょうか。

エプリング氏 ファイルメーカーでは、FileMaker Proをより安価に導入できる「AVLA」(アニュアル ボリューム ライセンス アグリーメント)を用意しています。1年単位のレンタル形式になっており、パッケージを購入するのに比べて初期導入コストも安く抑えられます(ライセンス料はパッケージ版小売価格の約3分の1)。クラウドサービスの観点では、ファイルメーカーのパートナー企業がホスティングサービスを提供しているので、それを利用することができます。

 パートナー企業が提供するソリューションと値頃感のあるアニュアルライセンスが、クラウド対応のさまざまな競合製品に対抗していくだけの大きな力になっているのです。

―― ファイルメーカーの2013年の戦略を教えてください。

エプリング氏 私たちは日本市場をとても重要視しており、日本の品質管理に合うような特別のテスト機構をつくるために人員も増やしています。2013年に向けた戦略はWeb分野に注力することで、これは全世界で同じ目標を掲げています。マルチプラットフォーム対応を、より強力に推進していくことになるでしょう。



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