「iPhone 5は長期的にみると失敗作」とアナリストが主張する3つの理由

» 2013年03月12日 16時40分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 Appleが2012年9月に発表した「iPhone 5」は、第4四半期に最も売れたスマートフォンとする統計がStrategy Analyticsから公開されている。しかし、調査会社Raymond Jamesのアナリスト、トラヴィス・C・マッコート氏が、長期的には失敗作であると述べている。

 マッコート氏は、その理由について3つの要因を挙げている。

(1)アップグレード需要が少ない

 マッコート氏によると、前機種にあたる「iPhone 4S」(iOS 5)は、パーソナルアシスタントサービスの「Siri」、クラウドサービスの「iCloud」などの新機能を備えた製品だったことから、iPhone 5へのアップグレード需要に影響を与えているという。iPhone 4Sは「iPhone 4」から15カ月後に発表されており、需要は堅牢で既存顧客からのアップグレード数は予想を上回っているという。

(2)LTEの恩恵が受けられる市場は限定的

 iPhone 5の特徴の1つであるLTE対応だが、LTEを提供する通信キャリアは世界的にみると限定的であり、LTE対応によるメリットを享受できる市場は限られている。iPhone 5の第4四半期の実績は、LTEが普及しつつある米国では好調だったが、それ以外の地域では失望させる結果に終わっているとしている。当のApple側も、世界のiPhone 5購入者の半分以上がLTEネットワークにアクセスできない点を認識しているという。マッコート氏はこれも、iPhone 5へのアップグレード需要に影響していると分析している。

(3)大画面のトレンドを無視

 iPhone 5は、iPhone 4Sの3.5インチより大きい4インチ画面を搭載しており、Appleは大画面のスマートフォンを再設計する必要があるとマッコート氏は指摘している。大画面のトレンドを拒否するAppleの姿勢は、ストレート型にこだわった2004年のNokia、物理キーボードにこだわった2009年のBlackBerryに似ているとしながらも、2社と比べると修正は簡単だとしている。

 なお、AppleはiPhone 5発売から3日で500万台を売り切ったと報告している。登場当初は、地図アプリの変更、Wi-Fi関連の不具合などのマイナス面も指摘されていた。

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