全量買取制度の買取価格原案、太陽光発電は42円法制度・規制

2012年7月から、再生可能エネルギーの全量買取制度が始まる。発電事業者にとって何よりも気になるのが買取価格だろう。経済産業省は、発電方式ごとの買取価格の案をまとめた。

» 2012年05月02日 06時30分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 ようやく全量買取制度が動き出しそうだ。経済産業省の調達価格等算定委員会は、これまでの協議の結果を踏まえ、発電方式ごとの買取価格と買取期間をまとめ、報告書を出した。今回まとまった買取価格と買取期間は図1の通り。この後、国民から広く意見を募り、集まった意見も考慮して枝野幸男経産相が買取価格と買取期間を最終的に決定する。

 報告書によると、買取価格は建設費(1kW当たり)と1年間の維持費(1kW当たり)に、「適正な利潤」を乗せて算出したという。適正な利潤は、事業収益率を表す指標の1つである「税引前IRR(内部収益率)」で算出した。IRRは、事業への初期投資額と、事業から得られる現金収入の現在における価値から算出する。一般に、リスクの高い事業ではIRR値は高くなり、リスクが低い事業では低くなる。

 例えば、地熱発電は事業として成り立つかどうかの事前調査にかなりの費用がかかる。費用を掛けて調査しても事業として成り立たない可能性もあるため、リスクが高い事業となる。その結果、IRR値は高くなる。一方、太陽光発電はそこまでのリスクはないため、IRR値は低くなる。

 報告書では再生可能エネルギーによる電気の利用率を上げるために、制度開始後3年間に限って、事業者の利潤に特別に配慮するとしている。ドイツやスペインといった全量買取制度をすでに実施している国の例を参考にし、3年限定の特別な配慮を加えた結果、標準的な税引前IRR値は7〜8%となった。

FIT Price 図1 全量買取制度における買取金額。発電方法ごとにまとめた

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