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» 2012年12月26日 09時00分 UPDATE

2012電力トレンドまとめ読み(3):節電対策:大企業から自治体まで浸透、LEDやBEMSの導入に課題

東日本大震災によって始まった電力不足の問題は2年目に入って対策が大きく進んだ。特に企業や自治体の取り組みが全国各地に広がり、空調や照明を中心に有効な対策が定着しつつある。しかし新しい機器やシステムの導入を伴う抜本的な節電対策は浸透していない。

[スマートジャパン]

 2011年度には東日本を中心に実施された節電対策だが、2012年度は西日本でも原子力発電所の停止に伴う電力不足の心配から多くの企業や自治体に取り組みが広がった。夏の計画停電は回避でき、冬も今のところ問題なく乗り越えられそうである。

 とはいえ消費電力を大幅に削減できるLED照明の導入は予想されたほどには進んでいない。企業内の電力使用量を制御するためのBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)に至っては、国の補助金制度が始まったにもかかわらず設置する企業はさほど増えていないのが現状だ。2013年には導入企業が大幅に増えることを期待したい。

2012年の「節電対策」:スマートジャパン関連記事

国内のBEMS市場拡大へ、認定アグリゲータ21社が決定(4月4日掲載)

総額300億円の補助金制度のもと、2012年度と13年度の2年間で6万棟以上のビルにBEMSを導入するプロジェクトが動き始める。この補助金の対象になるエネルギー管理サービスを提供できる「BEMSアグリゲータ」が21社に決まった。


LED照明と太陽光発電とBEMSを導入、22階建のビルで37%の省エネを実現(5月8日掲載)

三井住友海上火災保険は新築の本社ビルに全面的な省エネ対策を実施し、5月1日からオフィスとして利用を開始した。ほぼ全館にLED照明を導入したほか、屋上に最大出力30kWの太陽光パネルを設置し、ビル全体のエネルギー消費をシステムで制御する。


「節電7か条」を東京都が提案、事業所と家庭に向けた有効策に(5月15日掲載)

東京都は昨年夏に企業や家庭で実施された節電の実例をもとに、基本方針とすべき「3原則」と具体的な対策を「7か条」にまとめた。有効な対策に加えて効果の低い対策についても指摘しており、全国の企業や家庭に参考になる内容だ。


コンビニに太陽光発電やBEMSを導入、北九州で地域単位の節電へ(5月25日掲載)

ファミリーマートが最新の節電技術を取り入れたコンビニエンスストアを6月に北九州市でオープンする。太陽光発電と蓄電システム、BEMS(ビル向けエネルギー管理システム)を使って店舗の電力を最適に制御するほか、地域全体の電力需給バランスも調整できる。


神戸市内すべてを「節電所」に、電力需給レベルにより3段階で対策(6月13日掲載)

関西電力管内の大都市、神戸が全市を挙げて節電対策に取り組む。電力需給レベルを「90%以下」「90%超97%以下」「97%超」の3段階に分けて、市内の家庭や企業に節電対策の実施を求める。市の施設では空調機器などを停止する一方で、廃棄物焼却による発電量を増やす。


電話からLED照明のオン/オフが可能に、電力を6割以上も削減(6月28日掲載)

通信機器メーカー大手のシスコシステムズが大阪の新オフィスで、独自の技術による効率的なLED照明の利用法を開始した。通常の電力線を使わずに、社内のパソコンや電話をつないでいるイーサネットに接続して電力を供給する。この仕組みにより社員が電話からLED照明を制御できる。


県有施設に7万本のLED照明を導入、電気料金削減分でリース代支払い(7月12日掲載)

夏のピーク時における電力消費量を機器ごとに見ると、照明機器の消費電力量が全体の3割ほどを占める。照明機器を見直すだけで大きな節電効果を見込めるということだ。神奈川県はこの夏、県有施設の蛍光灯7万本をLED照明に入れ替える。


BEMSで2棟のビルを連携して節電、7月の電力を38%も削減(8月8日掲載)

自社で開発したBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)の導入施設を拡大中の清水建設が、研究所の2棟のビルを連携した節電に取り組んでいる。7月10日〜31日の22日間で、電力のピーク値をBEMS導入前の2010年と比べて38%も削減する効果を上げた。


今夏4か月で23%節電、関西電力管内の長浜市(10月23日掲載)

10%の節電が求められた関西電力の管内で、高い目標に取り組んだ自治体がある。滋賀県の長浜市で、市庁舎の電力使用量を2010年比で20%削減する目標を立て、実際に23%の削減に成功した。空調や会議室の使用時間帯を厳しく制限するなど、徹底した対策を実行した結果である。


夏の試験で能力は実証済み、ピークシフト型自販機を全国に設置へ(11月21日掲載)

日本コカ・コーラは、日中に冷却運転を停止しても飲料の冷たさを保持できる「ピークシフト自販機」を2013年1月から全国に設置していくことを明らかにした。今夏の試験では、日中の消費電力を95%も削減できたという自販機が全国に広がっていく。


ビル全体に直流で電力を供給、10%の節電に成功(11月30日掲載)

大成建設は、自社の研究拠点に直流の電力を供給するシステムを導入した結果、10%程度の節電効果を得られたことを明らかにした。交流と直流の変換回数を減らし、電力損失を抑えた結果だ。


大学のキャンパス内でスマートグリッドの構築が始まる(12月5日掲載)

東京工業大学の大岡山キャンパスに今春完成した「環境エネルギーイノベーション棟」と、キャンパス内のほかの建物を接続するスマートグリッドの構築が始まった。まずは、太陽光発電システムの発電状況と、電力需要に応じて、空調機器の運転を制御する機能から構築していく。


回復するかBEMSの補助金、特定のアグリゲータによる申請が急増(12月12日掲載)

オフィスの節電対策に有効なBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)を推進する国の補助金制度が揺れ動いている。夏から低迷していた申請件数が11月になって大幅に増えたものの、特定のアグリゲータからの申請が大半を占めており、まだ本格的な拡大には至っていない状況だ。


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