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» 2012年12月28日 15時00分 UPDATE

2012電力トレンドまとめ読み(9):電力供給の不安:火力発電の増強でしのぐも、コストが問題

夏の電力不足の問題は各地で適切な節電対策が実施されて無事に乗り切ることができた。供給面では原子力発電所の停止を火力発電の増加でカバーする状態が続いている。冬も北海道や九州では供給力が不足する心配があり、2013年以降に向けて長期的な改善策が必要だ。

[スマートジャパン]

 2012年も電力供給の不安は解消できなかった。夏は西日本の各地、冬は北海道で節電目標が設定され、万一の場合に備えて計画停電の準備も進められた。長らく原子力発電に依存してきた電力会社は火力発電を緊急に増設するなどして対応するが、根本的な問題は解決できていない。火力発電の増加が電気料金の値上げにもつながっている。

 とはいえ解決の方向は見えている。火力発電を最新の設備に切り替えて効率を上げるとともに、燃料を大幅に安く調達できる状況になりつつある。再生可能エネルギーは着実に拡大を続けており、電力需要のピークを抑制する仕組みも蓄電池やガスコージェネレーションの導入などによって広がってきた。

2012年の「電力供給」:スマートジャパン関連記事

計画停電から大規模ユーザーを除外、経済への影響を考慮(6月25日掲載)

関西電力をはじめ、夏の電力不足の心配がある北海道電力、四国電力、九州電力の4社が、「万が一の備え」として計画停電の実施プランを発表した。大阪を中心に節電・停電による経済活動の停滞が喧伝されたこともあって、「特別高圧」を利用する大規模ユーザーに対しては例外措置がとられる。


関西の節電目標さらに下がり、一番厳しいのは九州に(6月26日掲載)

電力やエネルギーに関する国家戦略を決める「エネルギー・環境会議」が今夏の節電目標を下方修正した。関西電力の供給量が増えるためで、従来の節電目標「15%以上」を「10%以上」に引き下げた。九州も同じ「10%以上」だが、関西はさらに目標値が下がることは確実だ。


関電が8月と9月の需給見通しを発表、原発再稼働でも他社頼み(7月31日掲載)

関西電力が8月と9月の需給見通しを発表した。5月の発表では8月の最大需要電力を2987万kWと予測し、最大供給電力を2542万kWとしていたが、大飯原子力発電所の再稼働でどれほど供給力を上積みできたのだろうか。


冬の電力需給が厳しい北海道、追加の緊急対策でも不足の可能性(9月6日掲載)

北海道電力が今冬の電力不足を回避する対策を進めている。緊急時に使用する電源設備の建設などによって供給力を高める一方、大口顧客との間で電力使用量を削減する契約を拡大する。それでも需要が供給を上回ってしまう可能性があり、追加の対策を検討中だが、具体策は出てきていない。


原子力なしで乗り切った東京電力、夏の最大需要は前年から3%増加(9月18日掲載)

東京電力が発表した今夏の電力需給状況によると、関東を中心とする管内の最大需要は前年よりも3%増加した。2010年と比べると15%の減少で、企業や家庭における節電対策の効果は引き続き大きく、原子力発電所を稼働させない供給体制でも需給率を93%にとどめることができた。


小さなトラブルが大ピンチに、いまだ綱渡りを強いられる電力供給体制(9月25日掲載)

北海道と関西で今夏の節電要請期間が終わり、日々の気温も下がり続けていたが、連休明けの9月18日、北海道と東北では電力供給体制が危機に陥った。両社は休止中の発電所の緊急稼働や、他社からの融通で危機を乗り越えたが、今後も気温の推移次第では同様の事態が発生する可能性がある。


[検証]関西電力の今夏の需給対策、データが示す来年の進路は(10月9日掲載)

今夏の電力需給で最大の話題になったのは関西だ。当初は大幅な電力不足が予想され、政府は15%以上の節電目標を設定した。その後に原子力発電が再稼働して、需給率は常時90%以下に収まった。関西電力の公表データをもとに、今夏の需給状況を検証し、来年の方向性を探ってみる。


冬の電力需給の見通しが出揃う、リスクが高い地域は北海道(10月15日掲載)

沖縄電力を除く9つの一般電気事業者による、この冬の電力需要予想と供給力の見通しが明らかになった。地理的特性から、北海道電力の供給が不足する可能性が高いという結果になった。


供給不足による停電も十分考えられる、今冬の北海道の電力事情(10月25日掲載)

一般電気事業者9社(沖縄電力を除く)が提出した、今冬の電力需要予測と最大供給力見通しについて政府は「需給検証委員会」を開き、各社の見通しを検証した。各社の予備率は最低限必要な3%を超えているが、北海道電力による供給が不足する可能性が高いことがはっきりした。


今すぐ始めよう!冬の節電対策 −北海道特別編−(10月29日掲載)

今年の冬は北海道の電力不足が心配されているが、火力発電所や本州連係線など複数のトラブルが同時に発生しない限り深刻な状況になることはないと想定されている。とはいえ効果的な節電対策を実施して、電力不足のリスクを可能な限り低減すると同時に、電気料金の削減を図りたい。


節電目標「7%以上」、計画停電を回避するプログラムも準備(11月2日掲載)

北海道の電力利用者に向けて「7%以上」の節電目標が設定された。実施期間は12月10日〜3月8日の3か月間で、大規模な火力発電所のトラブルなどが発生しても電力の供給不足に陥らないための措置である。企業に対しては緊急時の需要調整プログラムに協力するよう要請する。


最新の火力発電設備が試運転開始、関西電力の供給力が大幅増加(11月16日掲載)

関西電力の姫路第二発電所で最新の火力発電設備が試運転を開始した。1基の最大出力は48.65万kWと大きく、今後2年間で合計6基が稼働する予定だ。これにより供給力は従来と比べて127万kWも増加し、原子力発電所の1基分を上回る発電量になる。CO2排出量も30%減少する。


[緊急特集]大丈夫か?!東京電力の冬の供給力(12月3日掲載)

冬の節電シーズンを目前にした11月の最終週に、東京電力の需給率が97%を超える非常事態が発生した。この冬の電力には余裕があったはずで、政府は節電目標を設定していないのだが...。原因は供給力を低く抑えすぎたことにある。電力会社の判断に頼ることなく、利用者側で需要のピークを抑える対策が必要だ。


火力発電のコストは下げられる、石炭で高効率な設備が商用運転へ(12月6日掲載)

原子力よりもコストが高いとされている火力発電だが、新しい技術でコストの低下とCO2排出量の低減を図る取り組みが着実に進んでいる。燃料費が圧倒的に安い石炭を使った高効率な発電設備が福島県内で実証を完了して、2013年4月から商用運転を開始することが決まった。


供給力に余裕のある東京電力、すでに厳しい九州電力(12月11日掲載)

12月に入って全国各地で気温が低下して、電力の需給状況が厳しい地域も出始めている。10日(月)には中部電力で需給率が一時97%に達する状況に陥った。電力会社による事前の予測データを見ると、まだ供給力に余裕があるところ、すでに余裕がなくなっているところがある。


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