最初にGTDを行うときに一番大切なのがこのステップです。頭の中に「やりかけの仕事」がある状態では、すっきりした頭で効率的に作業できません。まずは頭の中の「やりかけの仕事」をすべて書き出してしまいましょう。
それでは作業開始です。最低でも1時間はやっていただきます。WさんもMさんも心なしか緊張気味です。
かりかりと書き始めるお二人。なお、このステップでは紙の使い方は自由ですが、ステップ2で書かれた項目を上から片付けていくので箇条書きで書いていったほうが使い勝手がいいです。
見ているとWさんは無意識に矢印を使ったり、グループ分けをしていたのでリスト形式で書いてもらうように指示します。
しかし15分もするとペンが止まってしまいます。A4の紙に最低でも5枚分は書いてください、と指示していたのですが、1枚目の半分程度ですでに行き詰ってしまったようです。
途中、Wさんから「仕事とプライベートがまざってもいいですか?」と質問が。ここではとにかく頭の中の気になることをすべて書き出すことが重要です。プライベート、仕事の区別や、重要度の区別を気にせずにどんどん書いてもらうように指示します。
書けなくなったら「携帯や手帳を見てもいいですよ」と指示すると、「あ……そういえば」とさらに書き出せるようになりました。
しかしまた30分後ぐらいにペンが止まります。
そこでこちらからヒントとして「トリガーリスト」を読み上げてあげます。このリストには「やりかけの仕事」を思い出すためのいくつかの質問が書いてあります。
「同僚と今行っているプロジェクトは何ですか?」
「行きたい国がありますか?」
「どんなスキルを学びたいと思っていますか?」
これらの質問を読み上げていくと、またしてもペンが動き出したようです。結局80分ほどかけてA4が5枚、びっしり埋め尽くされました。
心なしか、MさんもWさんもすっきりした顔をしています。感想を聞いてみました。
「気になっていたことがすっかり書き出せてすっきりしました。日々漠然と感じていた妙な焦りがなくなったのがうれしいです。それから、自分では覚えていたはずのものでも、すっかり忘れているものだな、とも感じました。普段からきっちりメモしないと……と反省しました。」(Wさん)
「書き出すことでぼんやりと思っていた『やりたかったこと』を明確にイメージできて、やる気が出てきました。あまりやらなくていいと漠然と思っていたことも、書き出すとやりたくなったのは不思議でした」(Mさん)
「目の前にあるToDoはすぐに書き出せるのですが、それ以外のことはすぐに思い出せずに焦りました。またプライベートのToDoは普段あまり書き出さないことに気づきました。でも書き出すとたくさんありました。普段はこれらが気になっていたのですね」(Wさん)
「あまり『気になること』はないと思っていたのですが、書き出してみたら意外に多かったです。途中ペンが止まりましたが、また書き始められるようになると楽しくなってきました」(Mさん)
「書けなくなったときにヒントをいただけたのは助かりました。具体的に一緒に働いている人や、生活している場所を思い浮かべると、いろいろとまた『気になること』を思い出すことができました」(Wさん)
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