一方、Wさんの最初の「気になること」は「○○社の提案書を書く」でした。これについては次の図のようになり、きちんと時間をとって書きたいので「カレンダー」へ転記することになりました。
ここでWさんからは質問がありました。「提案書を書く、というのは『次にとるべきアクション』リストに行ってもいいような気もしますし、今やったみたいに特定の日付の作業として『カレンダー』に書いてもいいように思うのですが、どちらがいいのでしょう?」
GTD歴が長い筆者としてはの答えは、「どちらでもいい」です。ここで重要なのはどれかのリストに必ず入っていることです。極論をいえば、直感でどちらかを選んでもらってかまいません。
カレンダーに入れるか、「次にとるべきアクション」リストに入れるか、その違いは見直しの頻度でしかありません。GTDではカレンダーは一日に最低1回確認しますし、「次にとるべきアクション」リストは空き時間ができたらそのつど頻繁に見るものです。
一番重要なのはどのリストに入れるかではなくて、それがきちんとどこかに保管されていて、後日必ず見直しができるようにしておく、ということです。ここではあまり悩まずにどんどん直感的に仕分けしていきましょう。
ここまで説明したのちに、WさんとMさんには最初に書き出した紙の一枚目についてフローチャートに沿って処理してもらいました。慣れてくるとどんどん処理できるようになりました。1枚目が終わった時点で「残りの4枚についてもやってみますか?」と聞くと「もう慣れたのですぐに終わりますよ。やってしまいましょう!」とのこと。15分ほどかけてすべてを処理してもらいます。
この時点で、最初に書き出した頭の中の「気になること」はしかるべきリストにすべて転記されていることになります。
WさんとMさんにここまでの感想を聞いてみました。
「最初このステップで行うべきフローチャートを見たときは面倒そうだな、と思ったのですが、実際にやってみるとすごく簡単でした。これならすぐに分類できますね」(Wさん)
「どのリストに分類すべきか途中で迷いましたが、どうせ後日見直すからと説明してもらって気が楽になりました。間違えていたら来週また修正すればいいので、どんどん分類できるようになりました」(Wさん)
「免許証の有効期限を調べる、というのが以前から気になっていたのですが、よく考えれば財布を出して見るだけでしたよね。こういう細かいことが日々のストレスになっていたのか、と気づきました。ちょっとしたことですが、だいぶ気分がすっきりしました」(Mさん)
ここでは書き出したリストをそれぞれ自分の使い慣れたツールに落とし込んでいきます。「カレンダー」に書き出したものは手帳や電子手帳に書き込んでいきます。またリストも必要ならばオンラインのToDo管理ツールなどに書き込んでいきます。
WさんもMさんも基本は手帳と紙を使って作業をしているようなので、ここの作業はカレンダーに必要な作業を書き込んだぐらいで終了しました。
そこまで終わった時点で、では実際に直近で何をすべきかをレビューしていきます。書き出した項目を再度見直し、今日はこれをやろう、とイメージしていく作業です。
なお、このステップは初回の場合、ほとんどやることはありません。リストを作ったばかりなのでその内容は最新になっていますし、書き出したばかりなので何をやるべきかはすでにイメージされているはずです。
しかし、一週間終わった時点で行う「週次レビュー」では状況が変わっていたり、新しい情報が入ってきていたりでいろいろとやることがあります。週次レビューの具体的な方法については続編の「週次レビュー編」をご覧ください。
すべてのリストを見直したあとは実行あるのみです。実行するときは今おかれている状況、与えられている時間やエネルギー、そしてそれぞれのタスクの重要度を考慮していきます。
WさんもMさんも「あとはやるだけですね!」と、「次にやるべきアクション」リストを見直し始めました。職場に戻ってどんどん仕事を片付けてくれることでしょう。
ここまででGTDの実践、初回編は終了です。ただし冒頭でもご紹介したように、GTDは毎週リストの更新、見直しを行ってこそ効果があがってきます。
WさんとMさんは無事に最初の一週間を乗り切り、週次レビューを行うことができるでしょうか? 週次レビューの実際については続編、「週次レビュー編」をご覧ください。
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