はじめてのGTD

ストレスフリーの仕事術、GTD。海外のナレッジワーカーには常識になりつつあるこの仕事術、あなたはもう試してみましたか?

» 2006年06月27日 00時00分 公開
[田口元,ITmedia]

 今回の特集では、「GTDって何?」という人から、GTDを始めたいのだけど……という人まで、その理論と実践の方法を分かりやすく解説していきます。

 →Getting Things Done(GTD)まとめページはこちら

GTDとは何か?

 GTDとは米国のコンサルタント、David Allenさんの著書、「Getting Things Done」のことを指します。この本で紹介されている理論が今、注目を集めているのです。さてこのGTDとはどういったものでしょうか? 一言でいうと「ナレッジワーカーのための仕事術」です。

 知識社会の仕事はますます複雑になってきています。「どこまでやったら終わりなのか」がはっきりしない上に、スピードが要求され、しかも降ってくる仕事の量は増えるばかりです。

 そうした状態では、従来までの仕事術である時間管理手法は全く役に立ちません。きっちりスケジュールを引いたとしても、次々と降ってくる複雑な仕事がスケジュールを再び混乱させてしまうからです。

 そして問題なのは、スケジュールが混乱すればあなたの頭の中も混乱してしまうことです。「あれ、やったっけ?」「次、なんだっけ?」と常に仕事に追われるストレスにさらされてしまいます。

 疲れ切った頭からはクリエイティブなアイディアは浮かんできません。大事なのは時間を管理するのではなくて、頭の中を常にすっきりさせ、必要なときに必要なエネルギーとアイディアをひっぱりだす手法です。

 GTDが提唱する、たった5つのステップを毎週行うことで、仕事にコントロールされるのではなく、自分が仕事をコントロールする感覚を取り戻すことができます。そこまでしてはじめて、今の仕事に本当に必要な、新しいアイディアが次々と頭の中に浮かんできます。

 あなたもGTDを始めてみませんか?

GTDの特徴とは?

 GTDは従来までの時間管理術や、付箋はこう使え! などのTips的な仕事術とは全く異なります。ではGTDにはどういった特徴があるでしょうか。ここでまとめてみましょう。

GTDはエネルギーとアイディアを管理する

 GTDで管理するのはエネルギーとアイディアです。これはナレッジワーカーが抱えるストレスを理解し、それに対処することによって実現されます。

 ナレッジワーカーが抱える仕事は終わりがはっきりしないものばかりです。それらをすべて頭の中に抱えていると日々のストレスは増大していきます。この頭の中の「やりかけの仕事」をうまく管理していく手法こそがGTDなのです。

 GTDでストレスが管理できるようになると、すっきりとした頭でさまざまなアイディアを生み出していくことができます。GTDはストレスフリーの仕事術であると同時に、最強のアイディア創出術でもあるのです。

GTDはツールを選ばない

 GTDは「うまくいく考え方」であって、ツールはどれでもかまいません。自分が今まで使っていたツールを変える必要は全くありません。手帳を使いたい人はそうすればいいですし、Webを使って仕事をしている人はそれをそのまま使えば大丈夫です。もちろん紙とペンだけでも実践できます。

 今まで使っていたものをそのまま使えるので、すぐに無理なく実践できます。新しく特殊な手帳やソフトウェアを買う必要もないのでコストがかからない点も大きな魅力です。

GTDは破綻したときのリカバリーが容易

 GTDがうまく実践できるようになると、常に頭の中はすっきりした状態になります。ただ、それ以上に重要なのは、また頭の中が混乱してきたときに「どうしたらまた頭の中をすっきりさせられるか」が身につくことです。

 たいていの仕事術は「いったんうまくいかなくなったときにどうリカバリーするか」を教えてはくれません。こと細かに「この順番で、このツールを使って」と指示してあったりするとさらに大変です。

 GTDでは、多少途中で間違えたとしても大きな流れにはあまり影響がないように組み立てられています。また途中でうまくいかなかったときに何をすればいいかも教えてくれます。破綻しにくく、リカバリーしやすいのがGTDの大きな特徴です。

GTDを始めるにはどうしたらいいの?

 「ちょっと今忙しいから新しい仕事術なんか勉強している暇ないよ……」というときこそ、GTDを始めるベストのタイミングです。仕事に追われているときこそ、GTDが最も威力を発揮するときです。逆に仕事に追われていないときにはGTDはあまり必要ありません(その効果を体感することもできないでしょう)。

 GTDは誰でも簡単に始めることができます。まずはGTDの大きな流れを理解しましょう。

  1. 頭の中の「やりかけの仕事」を「すべて」紙に書き出す
  2. それぞれの「やりかけの仕事」について望むべき結果を決める
  3. 定期的にそれらをレビューする

 これだけです。言ってみればあたりまえかもしれませんが、ちょっと考えてみてください。実はこれとまったく逆のことが日常的には起こっています。

 あなたは「やるべきこと」を「すべて」書き出したリストを持っていますか? 一部だけ持っている人はたくさんいます(今日やるべきこと、のリストとか)。「やりかけの仕事」を頭の中に持っている限り、頭の中がすっきりすることはありません。

 あなたは「やりかけの仕事」について「どこまでやったら終わり」と決めていますか? 何を目指しているのかがはっきりしない限り、どんな作業をしたとしてもその仕事が終わることは決してありません。

 あなたは「やるべきこと」を書き出し、それらについて望むべき結果を決めることを定期的に行っていますか? すっきりした頭を保つにはこれらを常に最新の状態に保っていることが絶対必要です。

 もしあなたが上の3つを実践できているとしたら、GTDは必要ないでしょう。すでに仕事でも高い成果を上げていることでしょう。しかし、当たり前のように見えるこの3つが実践できていないとしたら、GTDを試してみる価値があります。

GTD実践のための5ステップ

 この3つを具体的に実践していくには、次の次の5つのステップが必要です。これを毎週繰り返していくことでGTDは機能します。

  1. 収集 頭の中の「気になっていること」をすべて紙に書き出します
  2. 処理 書き出した事柄について、あるシステマチックなやり方にそって、しかるべきリストに仕分けしていきます
  3. 整理 作ったリストを、自分が使い慣れているツールに組み入れていきます
  4. レビュー 自分が置かれている状況、持っているエネルギーを把握しつつ、今何ができるかをレビューします
  5. 実行 今できることの中からやるべきことを実行していきます

 この5つのステップは、最低でも毎週繰り返し行う必要があります。

 例えるならばこれらの作業は濁った水を濾過していく作業です。普段の仕事をしているなかで、あなたの頭の中は「あれもやらなくちゃ、これも、それも」といった「やりかけの仕事」でどんどん濁ってきます。この濁りは毎週5つのステップできれいにしていく必要があるのです。

 またこれらは最低週に一度は行うことになりますが、「何かがうまくいっていないなぁ」というときも、このステップを再度行えばまたすっきりした頭の状態を手に入れることができます。

 これらの作業ステップの詳細は、「写真でわかるGTD」「週次レビュー編」をご覧ください。

今ならできるGTD


デビッド・アレン氏来日


理論編

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実践編

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コラム編


リンク集

  • GTD関連リンク集
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