年の瀬も押し迫った師走、仕事に追われているのは筆者だけではあるまい。特にクリスマスイブでもある今夜は、「大事な人との約束があったのに仕事が忙しくて」なんて断る人もいそうだ。GTDの原典を再翻訳した『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』(二見書房)はそんな人にオススメである。
「仕事の優先度が付けられない」「ほかにも仕事が残ってるんじゃないかと不安になる」「そもそも仕事が終わらない」「自分のやりたいことが分からない」――。年の瀬も押し迫ったこの時期、仕事に追われているのは筆者だけではあるまい。特にクリスマスイブでもある今夜は、「大事な人との約束があったのに仕事が忙しくて」なんて人もいそうだ。
結論から言うと、本書『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』(二見書房)はそんな仕事に追われている人にオススメだ。内容は、Biz.IDでも紹介している「GTD(Getting Things Done)」。原著はGTDの創始者であるデビッド・アレン氏の『Getting Things Done:The Art of Stress Free Productivity』で、2001年に『仕事を成し遂げる技術』として翻訳されたものだが、今回、新たに再訳。本誌でもGTDを紹介した田口元氏が監訳した。2001年当時に挫折した人も再チャレンジしてみる価値があるだろう。
GTDとはシンプルにいうと、自分のやるべきこと(ToDo)を洗い出し、そうしたToDoすべてを脳内から外部の何かに書き出し、それに優先度を付けて処理していき、定期的に見直していく、という手順である。やるべきことを書き出すと、やり残しを気にしなくていいし、それだけでもストレスから解放されるというわけだ。
もちろん本誌の読者には「もうGTDならやっているよ」という人が多いと思うが、何となく敬遠していた人や、GTDを知らなかったという人は間違いなく読んだ方がいい。というのも、内容が非常に具体的だからである。
個人的にハッとしたのは、やるべきことの優先度を付ける部分。行動を起こすべきではないToDoはゴミ箱に捨てるか、資料として取っておくか、「いつかやる/多分やる」リストに入れることになるのだが、ここでアレン氏はこう指摘する。
「いつかやる/多分やる」と「あとで判断するまで保留」は大きく違う。たまに「あとで判断しよう」というものを「いつかやる/多分やる」リストに片付けて安心している人がいる。しかし、こういう人は「時間ができたときにどうするか判断しよう」と自分に言い聞かせ、とりあえずそこに置いているだけだ。このようなやり方はお勧めできない。私の経験ではそのような人は、ほぼ例外なく“判断”をせず、積み上がったものから手が遠のいていくからだ。定期的にレビューしなければ、「いつかやる/多分やる」リストにメリットはない。
このように積み上げたり放り込んだしたものの大部分は捨てたほうがいいもので、残りは「@読む/評価」に回したり、「資料」としてファイリングするもの、あるいはカレンダーに記入したり、備忘録ファイルに入れて毎月または四半期の頭にレビューすべきものだ。(184ページ)
まさにここでいう「安心している人」が筆者だった。判断を遅らせて結局やらない。もちろんやらなかったことはいつまでも頭の片隅に残っているから、ストレスにもつながる。そこで、優先度を付ける際に面倒くさがらず、しっかり判断して処理を決めておけば楽になるというのだ。
もう1つ筆者が気になったのは、「自分との約束を守るには」(251ページ)である。
- 約束しない
- 約束を果たす
- 約束を見直す
何かをやろうと自分に課したことができないとストレスになる。まじめな人ほどその傾向は強いだろう。そこで上記の3つ。特に3番目の見直す――である。
先ほどの「いつかやる/多分やる」リストの運用と似ているが、「約束してしまったけど今週はできそうにない」ことをそのまま放置するとストレスになる。だから、定期的に見直しましょうというわけだ。
本書では全体を三部に分けて、第一部で概要、第二部でハウツー、第三部で補足説明という構成。中でも第二部に294ページ中162ページを割いた。ToDoの洗い出し方から、そのためのツール、ToDoの優先度の付け方、優先度を判断するための考え方など事細かに記した。
すでにGTDのことを知っていて、すぐに実践したい人は、いきなり第二部から読んでも構わない(と思う)。やってみてから第一部に戻ったり、第三部を読んだりするのもありだろう。
ともあれ、以前からGTDに興味はあったけど何となく始められなかった人はもちろん、GTDを知らなくて仕事に追われている人にもオススメだ。今年のクリスマスイブには間に合わないかもしれないが、来年こそは「今日は会えそうにない」などと伝えないためにも『ストレスフリーの整理術』であなたの仕事を整理してみてはいかがだろうか。
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