最後になるが、すべてのデータをローカルドライブに入れて持ち歩かないのは容量面が主な要因だと述べたが、それ以外にも理由はある。冗長性だ。
筆者がNASにデータを集約しているのは、現在のみならず過去のデータについても、ネットワーク上の複数のPCからシームレスにアクセスしたいことが1つ。あとはRAIDの恩恵を受けたいためだ。HDDである以上、ディスク障害はいつか必ず発生するわけで、RAIDによってそれに備えておこうというわけだ。
もっとも、これは世間でもよく誤解されがちな話だが、RAIDにしておけば耐障害性は万全かというと決してそんなことはない。電源が切れることで複数台のドライブが一気に破損する可能性はあるし、雷による過電流にも無力だ。無停電電源装置(UPS)にしても、機器の置き場所を変えようとしてUPSのスイッチをうっかりオフにし、接続しているすべての機器がシャットダウンするミスをやらかしたことがあり、ヒューマンエラーで足をすくわれる危険性も否定できない。
そのため最低限の備えとして、外付USBHDDへの週1回のバックアップは欠かさないわけだが、これにしても火事などの災害への対策にはなっていない。消火作業のなかで浸水したとしたら……と考えると、やはり同じ宅内でのバックアップには限界があると感じる。かといって本格的な遠隔地へのレプリケーションともなると、かかるコストが莫大で、あまり現実的ではない。
最近になって試用を始めたのが、遠隔地のローカルストレージに定期的にバックアップを取る方法だ。「CrashPlan」というサービスでは、別の利用者のPCのHDDを間借りする形で、相互にバックアップが行えるプランが用意されている。使い始めて日が浅い上、今回はノマドがテーマということで詳しくは紹介しないが、いずれ機会があればレビューしたい。
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