高級百貨店ノードストロームのサービスはなぜ伝説になったのか:藤沢烈の3秒で読めるブックレビュー
「ノードストローム」はサービスが“伝説”として語られていることで有名な米国の高級百貨店だ。その精神の根底にある考え方をまとめたのが『サービスが伝説になる時』である。「伝説のサービス」とは、人に話さずにはいられなくなるような意義のある取り組みだと著者は言う。
米高級百貨店ノードストロームはサービスが“伝説”として語られていることで有名。その精神の根底にある考え方をまとめたのが『サービスが伝説になる時』。サービスへの貢献が認められたことにより、一販売員の立場からノードストロームの上級副社長にまでなったベッツィ・サンダース氏が著者である。
顧客からの評価を二分する原因とは
消費者が企業から離れる原因は何か。商品が不満なわけでも、競合他社が優れているからでもない。サービスを提供しているスタッフの態度で決まることが多いという。
その理由は、苦情の実態をみると理解できる。スタッフの接客に不満を持った顧客は、そのことを平均9〜10人の友人に話す。その友人もさらに触れ回るだろう。一方で、不満が解決さえすればその大半は再び商品を買ってくれるし、解決したことを5〜6人に話してくれる。
不満をそのままにすれば、あっという間に悪い評判が企業を覆ってしまう。一方で苦情を解決し続ければよい口コミが出回る。苦情を言ってくれる顧客は不満を持つ顧客の4%に留まるから、常に現場で顧客に関心を持ち、苦情の解決を図り続けることが、企業の評判を二分することになる。
伝説のサービスとは何か
さて、冒頭の伝説だ。ノードストロームでは、ホームレスの女性が店内に入っても販売員が笑顔で暖かく出迎え試着をすすめたという。その様子を神父が見かけ、そのことを説教先の各地で伝えたことでノードストロームのサービスは伝説となった。人に話さずにいられない意義あると取り組みが「伝説のサービス」だと著者は言う。伝説を作るためには、顧客との接点を最重視する努力が必要となる。
著者紹介 藤沢烈(ふじさわ・れつ)
RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在1200冊超。
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「これからの日本に必要なのは、革新的な経営感覚を持った若き経営者だ」――そう考え、有望な人材の発掘・育成のサポートに日々邁進する経営コンサルタントがいる。藤沢烈、33歳。マッキンゼー出身、現在は独立してベンチャー企業のコンサルティングを行う、彼の日常とは? - 1人シリコンバレー創業プロジェクト、そして――藤沢烈さん(後編)
「エゴは罪悪ではない」「200年先を見据えて考える」――思案しながら藤沢さんが選びだす言葉は非常にユニークだ。その彼が企画したのは“起業経験がない若い人に、1億円出資します”という一大プロジェクト。彼の思いは、そこに至るまでの人生とは……?
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