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ジャンプ「伝説の編集長」がFGO誕生に関わった“黒子”、電ファミニコゲーマー編集長と語る「才能を“超一流”に育てる極意」「マシリト」こと鳥嶋和彦が語るキャリア論【前編】(2/7 ページ)

» 2019年03月26日 07時30分 公開
[今野大一ITmedia]

人気スマホゲーム「FGO」誕生秘話

――小沼さんにお聞きします。「ペルソナシリーズ」や「Fate/Grand Order(FGO)」など、数多くのゲームタイトルのプロモーションに携わっていらっしゃいますが、例えばFGOのお仕事を始める際に、「これは行ける」という確信はあったんですか?

phot 有名ゲームのプロモーションに多く携わっている小沼さん

小沼: Fateに関して言えば、もともとゲームブランドTYPE-MOON(タイプムーン)さんが作った作品です。僕とFateとの出会いは、コンシューマーゲームとして展開した際です。「Fate/EXTRA」シリーズの際に、初めてタイプムーン代表の武内崇さんや、シナリオライターの奈須きのこさんとお会いしました。そこからFateとのお付き合いが始まっています。

 「FGO」との関わりは、タイプムーンさんに、ディライトワークスの庄司顕仁社長を紹介したところから始まります。

――じゃあプロモーションより先に、企画段階から参加されていたのですね。

小沼: そうですね。今うちの会社のスタッフがFGOの宣伝協力をしていますが、僕自身がしたことはディライトワークスを紹介したことと、初期のプロモーションをお手伝いしたことです。

――FGOは今、まさにビックタイトルになっていると思いますが、そうなるべき理由はあったのですか?

小沼: もちろんFateは奈須さんのシナリオが素晴らしいし、当時10年間くらいの物語の蓄積もあったのでファンも多く、当然ヒットはするだろうと思っていました。ではそれをスマホゲームとして作り上げていくに当たって、どんな人を紹介すべきかを考えたときに、「何が起きても作品を作り終えてくれる人」が適任だと考えました。つまり、すごく才能があるクリエイターというよりは、奈須さんや武内さんと「死ぬまで付き合える人」あるいは「死んでもヒットポイントがゼロにならない人」を紹介すべきだと思いました。それがディライトワークスの庄司社長だったんです。

――最初からビジネス的な成功を見込んでいたわけじゃないんですね。

小沼: はい。最後まで付き合ってくれる人。バイタリティーがあってメンタルも強くて、何が起きても死なない人。「やり遂げられる人」という観点で選びました。

――ということはタイプムーンさんの要求水準も相当高かったということですよね? 

小沼: 本当に才能にあふれた方たちなので、それを「受け止められる人」を紹介しました。実際にお引き合わせすると、双方が意気投合していたので、これはうまくいくと思いましたね。ゲームの企画がスタートした後は、Fateがどういうもので、どんなターゲットにいかなる訴求をしたらいいかというコミュニケーション戦略をお手伝いしました。

phot 小沼さんがFateに関わり始めた「Fate/EXTRA」シリーズ(公式サイトより)

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