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ジャンプ「伝説の編集長」がFGO誕生に関わった“黒子”、電ファミニコゲーマー編集長と語る「才能を“超一流”に育てる極意」「マシリト」こと鳥嶋和彦が語るキャリア論【前編】(6/7 ページ)

» 2019年03月26日 07時30分 公開
[今野大一ITmedia]

ターゲットにいかにして訴求するか

――小沼さんにお伺いしますが、先ほどFGOの座組みについてお聞きしました。そこから作品ができるまでにはどんな悪戦苦闘があったんですか?

小沼: 僕自身は開発をしたわけではなく「誰に対してどう打ち出すか」について考えるお手伝いをしました。

 Fateが好きな人、好きになってくれるであろう人、つまりターゲットを徹底的に分析し、彼らに対し、どういう順番で、どういう情報を、どういうやり方でプレゼントすれば良いか、を考えました。FGOに限らず、われわれはお客さま(消費者)が喜ぶものを、彼らが喜ぶやり方で提供する必要があります。作品を渡すタイミングや包装紙を変えることによって、プレゼントの仕方を工夫するのです。

鳥嶋: 学生の時ビラ配りのアルバイトをしていたのですが、コツは横から渡すのではなく、その人が一歩踏み出すところに差し出すんですね。歩くと手を出すじゃないですか。そこにビラをさっと出すんです。そうすると受け取ってくれるんです。だからその人の直後の行動を予測しながら出すのが大事ですね。

小沼: 確かにそうですね。愛の告白でも相手にとって好きなシチュエーションや告げられ方があると思うんですね。電光掲示板に「愛してる」と映されて感動する人もいれば、LINEで「付き合おう」といわれて感動する人もいます。相手に合わせてうれしい言い方を必死で考えるのが大事です。

――逆にいうと伝え方のコンセプトさえ磨き抜かれていれば、時期は多少ずれても構わないともいえますか?

小沼: そうですね。具体的なプロモーションの計画は大して重要ではなく、そのぶれないコンセプトさえあれば、世の中が不景気になったり法律が変わったりしても、状況に合わせていけばいいのです。だからユーザーのことを必死で考えるしかないと思います。

phot ターゲットへの「渡し方」を語り合う平さん、小沼さん、鳥嶋さん

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