これからのオフィスにはウェビナー配信スタジオが必要? 先進企業の事例に見るZoom活用法

» 2020年09月10日 10時00分 公開
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 新型コロナ感染拡大の影響で人々の働き方が大きく変化し、Web会議などの遠隔ツールを活用したコミュニケーションが当たり前のものになりつつある。そしてこれは、社内だけでなく採用面接や営業活動、決算発表といった社外向けの情報発信も含めて、オンラインを前提に検討・構築する流れを生みつつある。

 例えば、在宅勤務形態の導入にあわせてオフィスレイアウトを見直す際に、常設設備としてのWeb会議スペースを検討する企業は多いだろう。また、通常の会議室をWeb会議用にアップデートしたり、社内向けの研修や社外向けのセミナーをオンラインで実施するための、いわば“放送局”をオフィスにかまえる企業も増えるはずだ。

 Webサイトを核としたB2Bマーケティングの実行支援を行うタービン・インタラクティブは、社内にWebセミナー用の専用ルームを設け、代表の志水氏自ら月2回ほどのペースでB2Bマーケティングなどに関するセミナーを積極的に発信しているという。その狙いや効果、アフターコロナ時代における新しいオフィスの在り方を同氏に聞いた。

タービン・インタラクティブ代表取締役社長の志水哲也氏。B2B向けのWebマーケティング支援で20年以上の実績を持ち、14年より米国HubSpot社の認定パートナーとして日本でのインバウンドマーケティング普及に取り組んでいる

顧客コミュニケーションを加速する「八角カンファレンスルーム」

 タービン・インタラクティブが取引先とのコミュニケーションをWeb会議に移行して専用の会議室「八角カンファレンスルーム」を立ち上げたのは2017年。“ウィズコロナ”の今でこそWeb会議は当たり前になったが、当時は社外の取引先に対してWeb会議をするのはそれほど一般的なことではなかった。

八角カンファレンスルーム

 Web会議のメリットは明白だ。往訪・来訪に伴う移動の手間を省き、時間や場所の制約から解放されることで業務効率が一気に上がる。何より「その場で回答できることが増える」と志水氏は強調する。例えば、対面コミュニケーションの移動コストを考えると1人しか往訪できない場合でも、Web会議なら意思決定者も含めて複数人が参加しやすい。担当営業だけでは即答できない技術的な質問や、より高度な判断が必要になる顧客の要求にも、宿題として持ち帰る必要はなくその場で答えられる。打ち合わせの“質”という面では後者のほうが圧倒的に高い。

 とはいえ、取引先によっては「会いに来るのが当たり前」と考える相手もいる。そこで志水氏は、ラグジュアリー感のあるWeb会議向け八角カンファレンスルームを用意し専用機材をそろえることで、コミュニケーションの内容だけでなく、見た目でも質の高さをアピールした。これが奏功して取引先の理解も得られるようになり、ウィズコロナ時代に先駆けて“Web会議が当たり前”の文化を広めることができたと話す。「重要なのは、コストを抑えるためのWeb会議、ではなく、提案の質を向上させ、結果的に顧客満足度を上げるためのWeb会議であること」と志水氏は語る。

 そして今年、この八角カンファレンスルームを大幅にアップデートする形で、オンラインセミナーなどに利用できる対外情報発信用のスタジオとして刷新した。

配信用スタジオにアップデート

オンラインセミナー用の配信スタジオへアップデート

 現在、八角カンファレンスルームには3台のミラーレス一眼カメラと4台のマイクが設置されている。オンラインセミナーでは、それぞれのカメラで撮影している全景、ホスト、ゲストの映像をスイッチャーで切り替えながらZoom Webinarで配信する仕組みだ。

 カメラ映像はいったんMacBook Pro上のEcamm Liveでテロップなどを載せ、バーチャルカメラ(仮想カメラ)として出力、Zoom Webinarの映像ソースとして認識させている。スイッチャーはセミナーで司会を担当するホスト(多くは志水氏)側の席にあり、ゲストが話すときはゲストのアップに、またはスライドを表示しながらPinPでゲストの表情を入れるなど、志水氏自身がまるでDJのようにリアルタイムでカメラ映像を切り替えていく。

3台のミラーレス一眼が八角カンファレンスルーム全体と、登壇者のアップを捉え、スイッチャーで映像を切り替える

 以下にまとめた機材構成図を見ると、比較的安価な民生機クラスの機材が多いものの、一般的なウェビナーとは段違いのクオリティーと映像表現に驚かされる。ただし、現在の形に落ち着くまでは試行錯誤があったという。

 「別の会議室を使ったり、ウェビナー運営を専門にやっているスタジオで試したりもしました。ただ、当社の事業がマーケティング支援にあり、いかに顧客とのつながりを作るのか、リードを獲得するのかといった情報を発信していく立場でもあるので、もともとこの部屋(八角カンファレンスルーム)を作ったときから配信スタジオを作る構想はありました。この状況下でウェビナーの需要が高まっている今だからこそ、本格的に取り組むよい機会だと考えました」と志水氏は語る。

 また、さまざまな配信用アプリを試したが、安定性を考えてZoomを選択したという。「Facebook LiveやYouTube Liveに比べて画質面では少し不満はありますが、遅延がなく、仮に画質が落ちても止まったりせずに音声はきちんと生きているという安定性を重視しました。ビジネス向けセミナーの場合、利用者側の負担は少ないほうがよいので、その点でも広く利用されているZoomは適していると思います。また、HubSpotと連携してZoomウェビナーに参加された方の視聴態度を把握し、ウェビナーの改善やマーケティングに活用できる点も評価しています」(志水氏)

八角カンファレンスルームの機材構成

集客効果は3倍以上に 商談化率もアップ

 オーディエンスの反応は上々だ。19年2月と緊急事態宣言が出た4月以降を比べると、オンラインセミナーの集客は3倍以上で推移。セミナー後のアンケート回収率も最大で10倍、問い合わせや実際の商談にもつながっているという。

 「ウェビナーの最大のメリットは参加に対するハードルの低さです。例えば、リアルなイベントや展示会に参加する際は、その理由を上司に説明し、移動や時間のコストをかけ、終わった後にその内容をレポートする、といった面倒な手続きが必要になります。結果、セミナーのテーマに深い関心を持つ層しか参加しません。一方、ウェビナーでは少しでもそのテーマに興味がある、いわば潜在層も参加しやすく、イベントを開催するコストも抑えられます」と志水氏。「もちろん、(リアルイベントで得られるリードとは異なり)直接営業をかけるようなアプローチには不向きですが、ウェビナーを何度か開催してデータを取ったり、資料ダウンロードや無料相談会など、他のコンバージョンポイントと連携することで効果的に新規顧客を獲得するチャンスになると思います」

 とはいえ、オフィス内に専用の配信スペースを用意し、機材をそろえて高品質なウェビナーを開催するとなるとある程度の投資が必要になる。これに対して志水氏は、「どれだけコストをかけられるかは、マーケティング施策として、1回(のウェビナー)でどれだけ顧客を見込めるのかを考えるべき」と指摘する。「無料セミナーか有料セミナーかによっても異なりますが、高品質で配信トラブルが絶対に起こらない環境を考えるとコストはどこまでも上がってしまいます。ですので、まずはマーケティング施策としてのコストバランスを考えながら、小さく始めるのがよいと思います」

ウェビナー配信風景(出典:ブイキューブのHubSpot実践ノウハウ第2回の収録映像)

 なお、ウェビナーを開催する上で特に気を付けているのは「ライブでやることのメリットを生かし、感情に働きかけること」だと志水氏は語る。「例えば、質問を受け付けて内容を広げたり、バラエティー番組のような構成にしたり、映像が単調にならないようにすることです。よくあるのが、スライドをもらったら見る必要がないというもの。これではダメで、参加者が共感できることが大事です。商談などでプレゼンテーションスキルが求められるように、演者や映像表現も含めたウェビナー特有のスキルが重要になるかもしれません」

ゲストの発言にツッコミを入れたり驚いたりするとき、ゲストを映したカメラから自分のアップにさっと切り替えつつ、身振りも交えられるように、足元のフットペダルとビデオスイッチャーが連動して手を使わずに映像が切り替えられるようになっている

ニューノーマル時代のオフィス像

 テレワークが当たり前になる一方、オンライン化によるコミュニケーション不全が顕在化しつつあり、企業はITツールを活用しながら、特に社外向けの情報発信を意識していく必要がある。そのためには、ウェビナーとも親和性が高いZoomなどのツールがうってつけといえる。また、オフィスの再編に伴い、常設のファシリティとして、タービン・インタラクティブの事例で紹介したような配信スタジオは今後ますます重要性が高まりそうだ。

 ただ、今回の志水氏のように、社長自らが率先してスタジオを作り込む先進企業はともかく、具体的に何が必要なのか、どのように運用するのかの知見もなく、映像コミュニケーションのノウハウもない一般企業で“理想のオフィス像”を実現するのはなかなか難しいかもしれない。

 V-CUBE ミーティングなどのWeb会議ツールを開発・販売し、国内でZoomの販売パートナーも務めるブイキューブは、こうしたニーズに対してオンラインセミナーの構築・運用支援から、短期オンラインイベントのためのスタジオ貸し出しなども提供している。19年度のウェビナー実績は2500回を超え、20年度はそれを大幅に上回る勢いで問い合わせがあるという。

 同社でWebセミナーソリューションの設計を担当する菊地氏は、「何を目的にするかでウェビナーの規模や必要な設備は変わってきます」と話す。「現在、8つの配信スタジオを用意し、それぞれユーザーの目的に応じて提案しており、さらにスタジオを拡充しています。『自社でウェビナーを開催したいがどんな設備でやっているのか』『どんな方法があるのか』といった問い合わせが増えていますが、お客さまの目的に合わせて、豊富なノウハウをもとにした設備の提供や運営のお手伝いができますので、ウェビナーを検討している企業の担当者の方は是非お問い合わせください」(菊地氏)

ブイキューブ営業本部 エンタープライズソリューショングループでグループマネジャーを務める菊地 類氏

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提供:株式会社ブイキューブ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2020年9月16日

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