“withコロナ”を見据えた東京都のサテライトオフィス施設に「テレキューブ」を導入 その狙いとは

» 2020年08月31日 10時00分 公開
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 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、これまで緩やかに“働き方改革”という切り口で新たなワークスタイルの準備を進めてきた企業も、そうでない企業も、従業員の身を守るためにテレワークを導入せざるを得ない状況になった。

 今回の急激な情勢の変化もあり「テレワーク=在宅勤務」と捉えられがちだが、本来は「時間や場所を有効に活用する働き方」という定義であると、あらためて説明するのは、テレワークの活用によって自身も8つの名刺を持ち、パラレルワークを実践する湯田健一郎さんだ。

 湯田さんが事業責任者を務める「東京テレワーク推進センター」(東京都文京区)では、テレワークの体験促進と普及を目的とした「TOKYOテレワーク・モデルオフィス」を多摩地域に3カ所開設した。まさに今、モデルオフィスを開設した意図と、コロナ禍が収束した後の働き方について考えておくべきことを聞いた。

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「オフィスで働けない、自宅でも働けない」

 東京テレワーク推進センターは、東京都と国が連携してテレワークの普及を推進し、民間企業が優秀な人材の確保や生産性の向上を図ることを支援する目的で2017年7月に設立した。テレワークに関する情報収集や専門家への具体的な相談などを行えるため、テレワークを導入したいと考える企業にとっては頼れる窓口といえる。

 今回、7月20日に新たに設置したTOKYOテレワーク・モデルオフィスは実際にテレワークの一つの形態であるサテライトオフィス勤務を体験できる施設として、また、すでにテレワークを導入している企業が実務で利用できる施設として東京都が設立したもので、利用料は無料だ。

 フロアはそれぞれ「オープンワークスペース」「パーソナルワークスペース」「イノベーションワークスペース」に分かれている他、会議室やコピー機、リフレッシュスペース、そしてテレフォン(防音)ブースとしてブイキューブが提供している「テレキューブ」も備えている。

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 場所は府中、東久留米、国立の3カ所。いずれも多摩地域だが、その理由について湯田さんは「この地域には民間運営を含め、サテライトオフィスの数が少ないため」と説明する。

 「“職住近接”のライフスタイルを送りたいと思っても、都心部まで長い時間をかけて通勤しないといけないのが多摩地域なのです。そこに住んでいるビジネスパーソンに、『テレワークを活用すれば、こんな働き方ができる』ということを知ってもらいたいです」(湯田さん)

 モデルオフィスの構想を立ち上げた当初は、2020年夏に予定されていた大型国際スポーツイベントによる東京23区内への人の集中を避け、イベント開催期間中は「多摩地域の人は、多摩地域で働けるように」というメッセージを打ち出す計画だった。

 しかし、新型コロナの影響で大型国際スポーツイベントは延期。さらにビジネスパーソンの多くが、在宅勤務を“なし崩し的に”余儀なくされてしまった。

 「東京都が2020年4月に実施したテレワーク導入率の緊急調査結果によると、4月には都内で62%の人がテレワークを行っていました」と湯田さん。しかし、問題も浮き彫りになったという。

 「生産性本部調査によると、テレワークを行っていた人のうち、緊急事態宣言後も約6割の人がテレワークを続けたいという意思を持っていた一方で、7割近くもの人がテレワークで仕事の生産性が下がったと答えたのです」(湯田さん)

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 単身者であれば、家で仕事をしていても邪魔されることなく効率も上がるかもしれないが、小さな子供や、介護を必要とする親などが同居していると事情は変わってくる。仕事に集中する環境を整えるために気苦労が多いのだ。

 「自宅よりオフィスのほうがパフォーマンスは上がるが、通勤すれば3密は避けられない。企業としても、従業員には効率よく仕事を行ってほしいが、オフィスに集まるわけにはいかない──そんなジレンマが、この緊急事態で起きていました」(湯田さん)

 そこで活用を提案しているのが、居住地の近くに設置されたサテライトオフィスだ。これなら長時間、人々が密着する通勤電車に乗らなくて済み、オフィスほど隣の人との距離が近くない。

 「サテライトオフィスを設けるという選択肢は、資金的に余裕のある企業だけのものでした。でも、今後はそう言っていられない。コロナ騒動があったからこそ、必要性を実感できるようになったと考えています」と、湯田さんはテレワークを取り巻く考え方の変化について解説した。

テレワークだから実現できる働き方

 8つの顔を持つパラレルワーカーの湯田さんは、なぜTOKYOテレワーク・モデルオフィスの責任者に就任したのか。それには湯田さんのこれまでの働き方が関係している。

 湯田さんはパソナ、パソナグループ、パソナテック、プロフェリエなど民間企業の他、クラウドソーシング協会といった非営利団体、経済産業省、厚生労働省、総務省などでマネジャーやアドバイザー、委員など、8つの企業や組織に勤めるパラレルワーカーだ。さらに8年ほど2地域居住を実践し、家業の支援もしている。これらが実現できるのはテレワークあってこそだ。

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 湯田さんは「パラレルワークは社会人2年目から始めました。当時はITがここまで発達していなかったのでテレワークではありませんでしたが、所属していたパソナがモバイル勤務を推進するようになり、会社の基盤が変わった2014年を境に、組織を超え、場所や時間にとらわれない働き方をするようになりました」と当時から現在までを振り返る。

 パソナの社内でテレワークを推進する立場にいたこと、2014年からクラウドソーシング協会の事務局長をしていたことなどがきっかけで、東京テレワーク推進センター事業にも携わることになったという。

 「個人で『テレワークをしたい』と思っていても、社会全体ではなかなか実現しません。企業が業務遂行の戦略としてテレワークに着目し、組織を変えるように動く必要がある。東京テレワーク推進センターは、国家戦略特区の施設でもあり、多くの企業に働きかけられますし、それによって社会全体にアプローチできるのではないかと考えたのです」(湯田さん)

 同センターを開設した2017年当初は、「テレワークとは?」といった根本的な質問や、「会社を巻き込む方法を知りたい」という相談が多かったが、近年は「どのようなツールを使えばいいか」という、実務的な相談に変化。また、同センターの利用者も昨年度は6000人を超え、本年度は月間1200人超にまで拡大しているという。

 「大企業、中小企業、小規模事業者──それぞれ3分の1ずつの割合でセンターを活用されています。テレワークに対する企業の向き合い方のフェーズが確実に変化してきたと感じています」(湯田さん)

モデルオフィスで見られる工夫の数々

 TOKYOテレワーク・モデルオフィスには、単に働くための机を提供するだけでなく、生産性高く働くための環境整備や新型コロナウイルス感染症対策の工夫も多く盛り込まれている。

 まず、サブディスプレイをいくつかのブースに設置。テレワーク環境でもデュアルディスプレイの作業効率の高さを実感してもらうためだ。貸し出し用のディスプレイも用意したが、返却されたものをどのように消毒するかなど、新型コロナの時代ならではの新たな対応を検討し、見本として実践していく必要があると考えているという。

 座席は今後の状況によって稼働率を変えられるように、あえてコロナ前と同じ間隔で設置。「ここには座らないでください」というサインを置く運用にすることで、ソーシャルディスタンスを利用者に意識させ、自社にアイデアを持ち帰ってもらえることを期待している。

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 目線や気分を変えて、新しい発想を生むための「イベーションワークスペース」には、65インチのタッチ対応ディスプレイを設置。小型のPCを接続して、Web会議中にタッチした箇所が他の拠点でも確認できるといった、距離を感じさせないシステムの可能性を見せている。

 「画面越しでも近くで会議をしているような感覚を体感していただけます」と、離れていてもつながって働ける“リンクワークスタイル”を推進する湯田さんらしいアプローチだ。

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 テレワークを行う従業員の健康にも配慮すべきというメッセージに気付いてもらうべく、人の集中力を高めやすくするアロマや、デスクワークでもカロリー消費や体幹強化の可能なバランスチェアを設置。ストレス軽減につながるとされるグリーンの要素も室内の随所に配置した。グリーンといっても、本物の草木ではなく、フェイクグリーンの他、ウォールアートやカーペットをグリーンカラーにするなど、緑視率確保によるストレスコントロール効果を考慮してレイアウトをしている。

 「ナチュラルなグリーンだとお金も手間もかかるので、企業によっては採用しづらい場合もあります。インテリアについてもコストバランスを考慮しつつ、すぐに環境を変えられる、コントロールしやすい場を作ることも工夫のしどころです」(湯田さん)

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 そして、グリーンのウォールアートには、ある意味が隠してあるという。

 「よく見ると、通勤電車を横から見たイラストになっています。これまで皆さんが毎日の通勤で経験していた“ラッシュアワー(RUSH HOUR)”です。しかし、テレワークをうまく仕事に取り入れれば、それは“豊かな時間(LUSH HOUR)”になる。そういうことに気付いていただける場所にしていきたいですね」(湯田さん)

オープンなスペースならではの課題、どう解決?

 TOKYOテレワーク・モデルオフィスをはじめとするテレワーク向けの施設は、基本的にオープンスペースが中心となっている。周囲のようすが見えることで自身のモチベーションを高めたり、あるいは異業種によるオープンイノベーションのきっかけが生まれたりと可能性を秘めている一方で、業務を行う際には注意が必要だ。

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 特に今はテレワークが中心となっている企業も多くあり、周囲に聞かれてはいけない機密性の高い内容のWeb会議などを行う機会も増えている。

 そこで湯田さんは、ブイキューブのスマートワークブース「テレキューブ」に目を付けた。テレキューブは電話ボックスのような見た目をしているが、中には椅子と机、電源などが設置されており、防音になっている。これなら機密性の高いWeb会議でも、人目を気にすることなく集中できる。設置に工事が必要なく、家具のように移動できる点もモデルオフィスにぴったりだった。

 「テレキューブ自体は、情報収集をしている中で以前から着目していた」と湯田さん。「内部が想像以上に広いこと、換気できること、抗菌がしっかりとされていること」「1カ月単位でリースできること」が決め手だった。

photo ブイキューブが提供するスマートワークブース「テレキューブ」(左からソロ、グループ1型、グループ2型)。TOKYOテレワーク・モデルオフィスにはソロとグループ1型が設置されている

 「オフィス作りの検討材料になると思い、テレキューブを導入しました。買い取りではなくリースできるとなると、企業も取り入れやすいはずです。オフィス内で動かすこともできますし、増やしたり減らしたりと、柔軟なレイアウトも可能です。賃貸オフィスでは原状復帰もしやすくなるといったメリットもあります」(湯田さん)

“ニューノーマル”時代に求められるもの

 TOKYOテレワーク・モデルオフィスは、場所を提供しているだけでなく、それぞれの企業がニューノーマルな働き方が求められる時代に、ワークスペースを作る際のヒントを発信するという役割を担っている。

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 コロナ禍が収束した後の働き方の将来像について、湯田さんは「テレワークで仕事ができる会社、ということも仕事を探す上での条件の一つになるのではないでしょうか」と語る。

 「平成に入ったばかりの頃は、週休二日はスタンダードではありませんでした。しかし、今やそれが一般的となり、“週休二日”以外の企業に応募したくないと考える人が多くなっているからです」

 「職種や業種によって、また規模も関係しているので全ての会社がテレワークに移行することはないでしょうが、それが働き方の一つの選択肢になるし、テレワークに取り組んでいる企業の方が採用も雇用継続も上手にできるのではと考えています。もちろん、生産性も上がるでしょう」(湯田さん)

 コロナ禍で、テレワークの環境を突貫工事のように取り入れた企業は少なくない。TOKYOテレワーク・モデルオフィスのような施設が多く利用されることで、各企業のテレワーク環境が底上げされることを願うばかりだ。

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提供:株式会社ブイキューブ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2020年9月30日

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