ビジネスを進める上でも、客室内での通話など周りの乗客への配慮が必要な場面もあることから、ビジネス向け車両の導入が必要となった。中西課長代理がこう続ける。
「このような背景もあり、新幹線車内で仕事を進めたいお客さまに特定の号車に集まっていただくことで、気兼ねなく仕事をしやすい環境を提供し、生産性向上などに役立てるのではないか。あるいは仕事をしないお客さまにとっても車内で過ごしやすい環境になるのではないかということを考え、東海道新幹線車内におけるビジネス環境を整備しました」
JR東日本では同様の施策を「テレワーク車両」として検討しており、これまでに2回実証実験をした。東北・北海道新幹線の「はやぶさ」1号車を用いたもので、こちらはまだ本格導入には至っていない。その点、JR東海はJR東に先んじて正式導入した形だ。
「S Work車両」は現状「のぞみ」の7号車のみ、「S Wi-Fi for Biz」搭載車両はN700Sの7、8号車の運用だ。JR東海によると、利用状況次第では今後増やしていくことも検討するという。「S Work車両」は現状普通車7号車のみの運用だが、新幹線車内で仕事する層がエグゼクティブ層に多いことが分かれば、8号車などグリーン車に拡大する可能性も考えられる。
一方で、特に労働者目線で言えば、本来快適なはずの新幹線の移動中にまで職場同様の仕事をしないといけないのかという疑問の声もある。移動のあり方が問われる施策でもあるだけに、どこまで乗客に受け入れられるかが注目だ。
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