ダレノガレ明美プロデュース JR東が新大久保駅に「ねこのいない、ねこカフェ」を開いた理由コーヒーを飲むだけで動物愛護(1/5 ページ)

» 2022年02月11日 05時00分 公開
[武田信晃ITmedia]

 「ねこのいない、ねこカフェ」と聞いて、どんな印象を持つだろうか。

 JR東日本が展開する山手線ブランド「東京感動線」による新大久保駅直上のフードホール「Kimchi, Durian,Cardamom,,,(キムチ、ドリアン、カルダモン、、、 / K,D,C,,,)」では、この「ねこのいない、ねこカフェ」を2月27日までの期間限定で営業している

 プロデューサーには愛猫家であり、Twitterで202万、Instagramで144万のフォロワーを擁するダレノガレ明美氏を迎え、アンバサダーに就任させるなど力の入った内容になっている。2月22日の「猫の日」にちなんで保護猫活動を支援する「Tasty for Cats」というプロジェクトの一環だ。この取り組みのビジネス的な狙いを追った。

「ねこのいない、ねこカフェ」をプロデュースしたダレノガレ明美氏(撮影:苅部太郎)

ペット業界に存在する「暗部」

 新型コロナウイルスの影響によって在宅時間が増えた。その影響と、ここ数年のペットブームから飼育されているペット数が増えていて、特に猫は増加傾向にある。 

 一般社団法人ペットフード協会が発表した「令和3年 全国犬猫飼育実態調査」によると、猫の飼育数は前年の862万8000頭から894万6000頭に増加した。その一方、環境省が発表した「動物愛護管理行政事務提要(令和3年度版)」によると、猫の引き取り合計数は4万4798頭で、そのうち処分数は1万9705頭と、処分率に換算すると43.9%に上る。

 実に引き取った猫のうち44%が「処分」されている異常事態だ。ただ10年以上前は9割を超えていた状況なので改善傾向にはあるものの、それでも、一部は人間のエゴで誕生し、命あるものが人間の都合で殺される事実に変わりはない。

 この状況について日本初の動物関連に限定したオンライン寄付サイトを運営する「公益社団法人アニマル・ドネーション(アニドネ)」の西平衣里代表理事は「日本は人口が減っていますから、今後はペットの飼育頭数も減っていくはずです。この環境下で、飼育放棄などをせず、きちんと飼う人が増えれば、不幸な子たちを減らせるでしょう」と説明する。

 ペットを飼う入口となりやすいのがペットショップの存在だ。東京の繁華街などでも檻に値札が張られたペットを展示する店舗が散見される。一方で、先述したように飼い切れなくなって引き取りに出されるペットも相当な数に上っているのは、生物を生業とするペット業界の暗部であり、課題だろう。

 西平代表理事は「ペットショップはペットを好きになるきっかけになると最近まで思っていました。しかし、コロナ禍でペットの値段が上がったり、クリスマスセールで動物がかわいらしい格好をさせられて売られたりしているのを見て胸が痛みます。それがない国があるのであれば、日本もそちらに舵を切るタイミングなのではないでしょうか」と指摘する。

 西平代表理事によると、スイスやオランダなどの西欧諸国はペットを飼うための規制や虐待の防止などが法律的に規定されていて、先進的だという。

アニマル・ドネーション広報の亀井雪代氏(左)と、西平衣里代表理事
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