ダレノガレ明美プロデュース JR東が新大久保駅に「ねこのいない、ねこカフェ」を開いた理由コーヒーを飲むだけで動物愛護(2/5 ページ)

» 2022年02月11日 05時00分 公開
[武田信晃ITmedia]

ドリンクやグッズを買うだけで寄付が可能な仕組み

 JR東が実施する「Tasty for Cats」は、K,D,C,,,でスイーツやドリンクを飲むだけで収益の一部をアニドネが認定した猫のために活動している14の団体に寄付される。新規事業として売り上げの拡大を狙うだけでなく、保護猫活動の認知と理解向上も図る社会性の強い企画だ。

 JR東日本東京支社事業部 企画・地域共創課山手線プロジェクトを担当する佐藤健自氏は「ここは食の交流拠点ということで、食を起点としていろいろな活動をする場所です。今回は、保護猫活動について共感しました。若い世代に影響力のあるダレノガレ明美さんにメニューなどもしっかりプロデュースしてもらうということで、K,D,C,,,を盛り上げていくことができたらと考えました」と狙いを話す。

JR東日本の佐藤健自氏

 プロデュースを担当したダレノガレ氏は「数カ月前にプロデュースのお話をいただいた時、私は猫が本当に大好きですし、カフェも好きなので、それが1つになったものを完成させられるんだとワクワク感を覚えました。そして、そのカフェをいかにして楽しめる空間にできるのか、ずっと考えてきました」と語る。

 このカフェの強みとして「新大久保駅に直結しているカフェなので、雨が降ってもぬれないで来店できます。女の子、カップル、親子連れなどで幸せな時間を過ごしてほしいと思いますし、スイーツを食べながら保護猫についても知ってもらいたいですね」と期待感を述べた。

 彼女がプロデュースしたメニューは「ざくろソーダー」(税込700円)、「ロイヤルミルクティ」(同700円)、「ネコ型パンケーキ」(同1200円)、「ねこカレー」(小=同1000円、大=同1600円)など6種類だ。他に猫の絵を飾ったアパレルグッズなども販売している。

ダレノガレ氏がプロデュースしたメニュー

動物愛護団体への寄付を簡便化

 今回の取り組みによる寄付額の目標は、ニャンニャンをもじって22万2222円だ。運営を寄付に頼っている動物保護団体は多く、そもそも運営に苦労している団体が少なくないだけに、今回の活動の意義は大きい。

 事実、アニドネが創立された理由もそこにある。西平代表理事は設立の経緯を教えてくれた。

 「2010年に立ち上げました。自分が犬と暮らすと決めたときに、いろいろと調べる中でペット業界の暗部を知ってしまいました。何とかしたいという思いでたくさんの情報を掲載したWebサイトを立ち上げようとしたのです。しかし、リサーチを続けると、持ち出しで保護活動をする人が多く、もっとお金があれば救える命があることを知りました。

 私も寄付しようとATMで振り込みをしようとしたら失敗した経験もあり、プロセスが面倒なところもあったので、Web上で寄付がしたい人と、寄付が必要な人をマッチングし、動物を救おうというのがもともとの始まりです」

 通常は、寄付額のうち15%を運営費に、残りの85%を各種団体へ寄付するという。今回のような寄付コラボレーションであれば約30%が運営費に充てられる。第11期(20年6月1日〜21年5月31日)の収支表によると、収入は6272万円で、支出は5225万円だった。寄付の5割は法人からだ。寄付総額は6115万円で、寄付先はアニドネが活動内容を正当なものか審査した24の団体となる。

 団体審査は公募制で、アニドネが応募団体をチェックし、公益団体であることから識者による審議をして認定する厳格な仕組みがある。それには半年ほどかかるという。

Tasty for Catsの理念

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