ダレノガレ明美プロデュース JR東が新大久保駅に「ねこのいない、ねこカフェ」を開いた理由コーヒーを飲むだけで動物愛護(3/5 ページ)

» 2022年02月11日 05時00分 公開
[武田信晃ITmedia]

猫がいないカフェに足を運んでもらうには?

 社会性がある企画であることは紹介したが、問題はビジネス的に成功するか否かだ。猫がいないカフェであれば、猫好きの見込み客層も「猫がいないのなら行く意味がない」と判断して集客力が落ちる懸念もある。JR東の佐藤氏に疑問をぶつけると、こんな答えが返ってきた。

 「2022年2月22日の猫の日にちなむこと、慈善活動として開催されること、保護猫を助けることなどバックボーンがしっかりしています。新大久保に来るのはZ世代が多く、行動の背景を重視するので社会的意義があることに共感してくれる人が多いと期待しています」

 また、ダレノガレ氏は「猫アレルギーを持っている人も少なくないと思いますが、そういう人を気軽にカフェに誘うことができる」とポジティブな要素もあると話す。

 とはいえ、マネタイズをするためには告知の必要がある。

 「東京感動線には5万フォロワーのTwitterがあるので、202万のダレノガレさんの投稿をリツイートさせていただくなど連携をしながら情報の拡散を図っていきたいと思います。現在、新型コロナでタイミング的に難しい面はありますが、もし通常であるならば集客力の高いイベントになると思っています」と佐藤氏はJR東として協力は惜しまないとした。

 ダレノガレ氏にも猫のいないカフェの難しさを聞くと、「猫に会いたいのなら猫カフェに行ってもらえばいいのです」といい意味で割り切っている。

 「ただ、実際にカフェにきて、おいしいものを食べる一方で、こういう現実があるのだなと知ってもらえたらいいなと思っています」

 K,D,C,,,が入っている階の真下にはスターバックスが入っていた。同じカフェであるため、カニバリゼーションを起こしかねないのではないかと聞くと、佐藤氏はこう答える。

 「スターバックスに行きたい人はカフェではなく『スターバックスに行きたい』ケースが少なくないと思います。ですからK,D,C,,,に行きたい人とは住みわけができると考えています」

 アニドネ広報の亀井雪代氏は「ここは感度が高い10〜30代の女性客が多いようですが、寄付となると20代はあまりお金を持っていないなどの事情から行動に移しにくいです。しかし、ドリンクを買うだけで寄付になるのであれば、敷居は高くないはずです」と説明する。

 ダレノガレ氏は現在、5匹の猫(うち2匹は保護猫)を飼っていて、預かりの猫も1匹世話をしている。一般の人が保護猫を飼いたいと思っても現実問題として簡単には飼えない。そこで亀井氏は「預かったり、ミルクをあげたりするなどいろいろな種類のボランティアがあります。気持ちが大事だと思うのでできるところから始めてもらいたいです。アニドネは猫のエピソードを投稿するだけで寄付できる企画『STORY with PET』を実施しています。気持ちを形にしたいと思っています」と意気込みを話した。

 ダレノガレ氏が猫に関する活動を始めたきっかけを聞くと、「大人になってこんなにペットが殺処分されている現実を知って驚きました。何かしないといけないという気持ちになって、自分で発信できることは発信するようになりました」と教えてくれた。

ダレノガレ氏が世話をしている猫のメイちゃん

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