出版業界ニュースフラッシュ 2012年5月第5週

出版業界で起こったニュースにならない出来事をまとめてお届けする週刊連載。先週は、出版社への権利付与について議員立法化の方針が固まったこと、今年最大の落ち込みとなった日販分類別売り上げ調査などが注目されました。

» 2012年06月05日 10時30分 公開
[新文化通信社]
新文化通信社

「出版者への権利付与」が議員立法化へ

 5月30日、東京・千代田区で開催された第4回「印刷文化・電子文化の基盤整備に関する勉強会」(座長・中川正春衆議院議員)で、出版者への著作隣接権の付与について、今年の臨時国会か来年の通常国会で議員立法として上程する方針を固めた。今後、同権利の規定解釈や出版契約に関する指針を示すガイドラインを作成するという。

日販決算、14年連続の減収も大幅増益

 6月1日、第64期(平成23年4月1日〜同24年3月31日)決算を発表した。同社単体の売上高は5895億1800万円(前年比2.1%減)で前年から125億0700万円落ち込んだ。利益面では、営業利益147億2400万円(同5.0%増)、経常利益は41億3300万円(同8.4%増)、当期純利益19億2500万円(同43.0%増)。営業・経常利益は過去最高額。

 平林副社長は、パートナーズ契約による収益改善の状況を報告しながらも、「昨年度、東日本大震災で被災書店の請求を先送りするために貸倒引当金を計上していたが、当期にほぼ全額が入金されたことで増益となった」とし、実際は減益決算であると打ち明けた。

 子会社17社を含めた連結決算は、売上高7149億6000万円(同2.2%減)、営業利益173億6600万円(同5.4%増)、経常利益77億5000万円(同11.3%増)当期純利益32億4200万円(同12.8%増)。3月に発表された役員人事を含め、6月28日に行われる株主総会で承認される見通し。

【日販分類別売り上げ調査】4月期、前年同月比6.7%減に

 前年同月比は、6.7%減で24カ月連続のマイナスとなり、今年最大の落ち込みとなった。規模・立地別でも軒並み前年割れで、11分類すべてが同5%以上の減少。特に、「101〜200坪」(同7.3%減)、「商店街」(同8.3%減)、「郊外」(同7.4%減)のマイナス幅が大きかった。

 「雑誌」の売り上げは、同6.5%減。前年4月期は、通常5月1日発売のティーンズ誌や女性誌が繰り上がりで刊行され、売り上げが伸長。その反動もあった。「一般誌」のうち「週刊誌」は、昨年、震災報道の影響で総合週刊誌が好調だったことから同13.5%減と大幅にマイナス。

 「書籍」の売り上げは、同6.9%減。特に前月プラスだった「書籍コミック」は、前年の『テルマエ・ロマエ3』(エンターブレイン)や『銀魂あにめパラパラ館』(集英社)など売り上げ良好だった新刊銘柄の反動を受けて、同24.0%減となった。また「文芸書」も、前年の『謎解きはディナーのあとで』(小学館)や『心を整える。』(幻冬舎)といったミリオンセラーの影響で同18.0%減と二ケタ割れとなった。

角川GP、角川出版販売および角川書店の一部事業を吸収合併へ

角川グループパブリッシングは角川出版販売および角川書店とそれぞれ合併契約を締結し、7月1日付けで角川出版販売の権利義務のすべてを承継。角川出版販売は解散する。また、同日、角川書店の子会社・角川シネプレックスの管理事業を吸収分割し、承継する。

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